「鈴木敏夫による、アニメ作りの才能は遺伝するのか否かを確かめるための実験作品。」ゲド戦記 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
鈴木敏夫による、アニメ作りの才能は遺伝するのか否かを確かめるための実験作品。
終焉に向かう世界を舞台に、破滅の原因を探る大賢人ハイタカと、心に闇を抱える王子アレンの冒険を描くファンタジー・アニメ。
主人公アレンを演じるのは『木更津キャッツアイ』シリーズや『東京タワー』の岡田准一。
闇の魔法使いクモを演じるのは『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』『もののけ姫』の、レジェンド女優・田中裕子。
クモの手下、ウサギの声を演じるのは『嫌われ松子の一生』『ゆれる』の香川照之。
原案は『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』の、宮崎吾朗監督の父でもある巨匠・宮崎駿が、1983年に発表した絵物語「シュナの旅」である。
2020年、スタジオジブリの作品が4つリバイバル上映された。
その4つとは『千と千尋』『もののけ姫』『ナウシカ』そして本作『ゲド戦記』である。
『ゲド戦記』…?何故このラインナップの中に『ゲド戦記』…!?
数あるジブリ作品の中でもダントツで評価の低い『ゲド戦記』をレジェンドの中に打ち込むとは、これはもはや宮崎吾朗監督に対するいじめではないだろうか?いじめかっこ悪い!!
…まぁ実際には今冬放送予定の宮崎吾朗監督作品『アーヤと魔女』の宣伝を兼ねているのだろうけど、この作品を上映するのは逆効果だと思いますよ、まじな話。
4作品を制覇してみましたが、やはり『ゲド戦記』の人気のなさはヤバい!
一番遅い時間の上映だったとはいえ、日曜日に観にいってガチのマジで貸し切り状態!
自分以外誰一人シアターにいないという状態は初体験だったかも。
どんだけ人気ないんだ『ゲド戦記』!!
10数年ぶりに見返してみましたが、やはりこれはアカン…。
平凡な絵。平凡なお話。平凡な音楽。どこをとっても平凡。素人が教科書通りに作りました、って感じ。
平凡なお話なのに説明不足なため、意味不明な物語に仕上がっている。
そして物語は説明不足なのに、登場人物はみな説明口調。アニメはRPGじゃないんですよ!?
主人公はネクラな殺人鬼アレン。終始暗すぎる。碇シンジくんの100倍暗い。
メンターである大賢人ハイタカ。ぶらぶらしながらたまに農業する。体が光る。パチモンブランドを見抜くという特技がある。そして無能である。
悪の魔法使いクモ。顔が怖い。部下が10人くらいしかいない。一般人にも住所が知られている。舐めプ野郎。
ヒロインのテルー。正体は龍。意味不明。
キャラクターには一切の魅力がない。躍動感もないし、派手なアクションもない。
宗教団体が作ったアニメみたいな説教くささを感じる。
原画には宮崎駿作品にも名を連ねる様な大物が参加しているのに、ここまで絵的にダメなのが不思議。やっぱり監督でアニメって決まるんだなぁー、と勉強になった。
冒頭の龍が共食いしているところが唯一良かったところかも。
アレンを追うカゲが実は光だったと判明するところとか、命は有限だから素晴らしいのだとテルーがアレンに説くところとか、なかなか感心するシーンもあるのだが、演出が悪すぎるせいで今ひとつ感動できない。
作品に込められたメッセージはなかなか良いものだっただけに残念。
まぁでも、宮崎吾朗という監督も気の毒ですよね。どう頑張っても天才・宮崎駿と比べられるんだから。
まずは一スタッフとしてアニメ制作に関わらせておいて、経験を積んでから監督させてあげれば、本人的にも気が楽だったんじゃないのかな〜、とか要らん心配をしてしまいます。
余談ですが、宮崎吾朗を監督に据えるという出来事からも、鈴木敏夫という人物がいかに悪党かというのが分かりますね笑
確かに4作品の中で一つだけ不人気。
吾朗監督はそれだけ父親の偉業がプレッシャーだったのかもしれませんね。
今日は『もののけ姫』を観てきました。
やっぱ音がよかった・・・