ラフ ROUGH : 映画評論・批評
2006年8月15日更新
2006年8月26日よりシャンテシネほかにてロードショー
“ラフ”さが魅力の若手スター、将来性をチェックして!
競泳中に怪我をした大和は、試合後に見知らぬ少女から「人殺し」と罵倒される。驚く大和だったが、入学した高校でひどい言葉を投げつけた亜美と再会。なんと彼女も水泳部員だった!?
なかなか想いを伝えられないティーンの甘酸っぱい恋愛とスポーツをミックスさせたあだち充の同名漫画を大谷健太郎監督が映画化した青春ドラマ。祖父の代までさかのぼる確執を抱えた大和と亜美の関係がぶつかりあいながらも互いにひかれ合うという展開は、王道アイドル映画における胸キュンの様式美。野暮な突っ込みはせず、自分のなかの少女の覚醒を待つべし!
そして物語を彩る若手スターのフレッシュ&粗削りな魅力を堪能するのも正しい見方だろう。競泳界の王者を兄のように慕いつつも大和に好意を抱く亜美を演じたのは、「タッチ」で南ちゃんを演じた長澤まさみ。“少女以上、大人未満”な彼女が男性2人の間で揺れる姿に男性ファンの心も揺れる。情感を素直に表現する演技に女優としての可能性が伝わる。相手役の速水もこみちは、日本一スタイルがいいとの評判に恥じないかっこよさだ。少しぶっきらぼうなセリフ回しも彼独特の魅力となっていて、単なるアイドルでは終わらない予感が立ち上る。「NANA」続編に抜擢された市川由衣や阿部力らブレイク直前の役者も多数出演しているので、青田刈りが趣味の映画通は劇場に急げ!
(山縣みどり)