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「汁?出た出た!」って、どこからどんな汁を流すんだよ・・・さすがに映画館内では臭いもわからなかったが、近寄り難い存在の汚ギャルであった。その汚ギャル様を殴り倒し金を奪うという、謎の酒乱巨乳の坂井真紀。どこにそんな豊満なお肉を隠し持ってたのか、かなり危険な存在でしたが、その彼女に出会ったことで野球に賭ける青春を取戻そうとする27歳コンビニ店員ナランバ(竹原ピストル)だったのだ。
何をやってもダメな男にも甲子園出場という輝かしい過去があったのですが、エースの石岡(安藤政信)から頭にデッドボールを受けて以来、世の中がオレンジ色に染まったようです。そのオレンジ色だかよくわからない、フィルムにフィルターのかかったような暗さが独特の効果を生み出している。これはもしかすると“甲子園ノワール”と呼ぶべき犯罪映画か?とも思わせ、カツアゲされる中学生、新人コンビニバイト、汚ギャルの仲間、やる気のない石岡巡査等々が社会のゴミ貯めを這いずりまわっているかのような悪を演じている。
とは言っても、悪から抜け出せなくなったような究極の悪ではなく、まだまだやり直すことができるような悪だったと思いたい(寺島進のキャラはダメかもしれない・・・)。かすかな希望はラストに見られるけど、やる気を出した原因もたいしたことないし、火をつけた中学生はその罪を一生背負わなければならないことを考えると、何が言いたい映画なのかもわからなくなってしまいます。
でも、バットを振ることによって青春を取戻そうとしたり、どうすればいいのかわからなくてもがき苦しむ人間もいるということ。能天気な野球バカに救われる人間もいるかもしれないし、ちょっとしたことで立ち直ることだってあるんですよね・・・
【2006年10月映画館にて】