UDON : 映画評論・批評
2006年8月22日更新
2006年8月26日より日劇2にてロードショー
「踊る大捜査線」シリーズの監督による「大いなる自主映画」
「踊る大捜査線」シリーズをヒットさせた本広克行監督への、フジテレビからの御褒美企画。本広監督が故郷・香川の自然、人、そして食文化への愛情をたっぷりこめた御当地映画だ。本広監督は「大いなる自主映画」と笑うが、それでも長年、娯楽映画のジャンルで“観客を楽しませるツボ”を体得してきた監督は違う。「へぇ~」ボタン連打の讃岐うどんに関するトリビアを並べつつ、物語の根底には万人の琴線に触れる親子愛をきっちり描いている。「うどん屋に夢はない」と家を出た香助(ユースケ・サンタマリア)と父親(木場勝己)が、まさかのうどんブーム到来で違いを理解し合っていく展開はお約束とはいえ、やはり胸に迫るモノがある。
本広映画マニアを刺激する「うどんタクシー」や、同じく香川で撮影した「サマータイムマシン・ブルース」のキャストが登場するなど相変わらず遊び心に富んでいてニヤリとさせられるのだが、劇中に登場するアニメ「キャプテンUDON」は正直、余計。それがオチにも関わっているから尚更苦言を呈したくなるのだが、内容もルックスもイマイチ。加えて、キャラクターグッズ発売という商魂も見えてしまう。それも「ヒットの法則」の一つかもしれないが、そこはほどほどにお願いしたい。
(中山治美)