「ジャンレノ演じるハードボイルドで純朴な殺し屋の無双感とナタリーポートマン演じる少女との絆」レオン(1994) スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャンレノ演じるハードボイルドで純朴な殺し屋の無双感とナタリーポートマン演じる少女との絆
90年代の不朽の名作の1つでもある本作。
舞台はニューヨークマンハッタンのイタリア人街
女と子供以外は殺さないという矜持を持つ孤独な殺し屋レオンは
隣の部屋に住む顔見知りの少女マチルダの家族が悪徳警官たちに皆殺しにされたところから物語は始まる。
マチルダはレオンに命を助けられるが、
愛する弟を殺された敵討ちをしたいとレオンに懇願。
いつしかレオンはマチルダに「暗殺」のレクチャーを始める。
孤独に生きてきた脛に傷持つおじさんはそんなマチルダに振り回されながらもなぜか放ってはおけず、いつしか「親心」のようなものが芽生え、自分にできるのはこれくらいしかないと言わんばかりに「殺し屋」としてのスキルを教えながら次第に彼女に対して心を開くようになる。
一方、恵まれない家庭環境から大人を信じられず、また前述の事件で追い打ちをかけられるように絶望の淵にいたティーンエージャーはレオンに対して復讐を助けてほしいという願いとともに少女ならではの背伸びした淡い「恋心」に似た感情を抱き、彼に思慕を寄せる。
この物語の結末は何とも言えなかった。
刺し違える形で敵討ちには成功するものの、その相手は今までレオン自身が請け負ってきた「殺し」の依頼主だったという皮肉。
はっきりと描写こそされてないものの「暗殺」の仲介屋であるトニーが二人を売ってしまったのではないかという疑惑等々
圧倒的な強さを誇るレオンを取り巻く環境はとても救いのないものだったということをを感じ取れた。
マチルダとこうして関わるまでは。
しかし、レオンの死後、学校へと逃れたマチルダがレオンの昔からの「友人」である観葉植物を
鉢植えから日の当たる学校の校庭に植えた描写はとてもよかった。
それはまさに孤独に歩んできた男がやっと根を下ろし、いろいろな意味で一筋の光があたった瞬間だったのだ。