劇場公開日 2021年3月5日

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「インディ・ジョーンズは映画の秘宝」レイダース 失われたアーク《聖櫃》 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0インディ・ジョーンズは映画の秘宝

2023年6月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

最新作前に、シリーズ再見。
1981年の第1作目。

映画史上屈指の人気作。
娯楽映画のスタンダード。
冒険活劇の金字塔。“アクション・アドベンチャー”と言うより往年の作品を彷彿させる“冒険活劇”と言った方がぴったり。
その誕生の経緯は…

『スター・ウォーズ』公開前、失敗を恐れ、ハワイに逃げていたルーカス。
そこで休暇に来ていた盟友のスピルバーグと奇遇にも会う。
話が弾み、ルーカスは兼ねてから構想していた企画を打ち明かす。かつてのような娯楽冒険活劇を再び。
『007』を監督したいと思っていたスピルバーグ。
それらの醍醐味を併せ持ちつつ、全く新しい作品が練り上がる。
そうして誕生したのが…、

我らがインディアナ・ジョーンズ!

考古学者と冒険家の二つの顔。
考古学者として教鞭を執る際は、眼鏡を掛け、スーツ姿。そのスマートな佇まいに、女生徒たちはメロメロ。
そしていざ冒険の場に出たら、お決まりの帽子にムチを持って。タフでワイルドに。
クリント・イーストウッド×三船敏郎×ジェームズ・ボンドを目指したというキャラ像。
幾多の危機を乗り越え、勇敢で恐れ知らずだが、唯一苦手なのはヘビ。名冒険家も珍獣ハンターもヘビが苦手。誰だって苦手なものはあるんです。
そんなギャップすらユニークで魅力的。

今ではハリソン・フォード以外に考えられないが、当初のキャスティングはトム・セレックだった。
ずっと男臭い風貌のセレックだったらそれはそれでまた魅力あり、彼以外に考えられないと当たり前のようになっていたかもしれないが、スケジュールの都合で役はハリソンへ。
何だかんだ、やはりハリソンで良かったと思う。
正統派の二枚目のカッコ良さ。
人柄感じるユーモラスな一面や同性から見てもセクシーな魅力も滲ませる。
宇宙のアウトローや逃亡医師や大統領まで演じてきたハリソンだが、個人的にはこのインディ役が一番好き。

話はシンプル。
神秘の力を宿すと言われる“聖櫃”。
インディも考古学を志したきっかけ。考古学界の幻。
ナチスがそれを狙っている。
ナチスと“聖櫃”を巡って繰り広げられる攻防劇。

当時の評で、“ディズニーランドを一周するより楽しい”。
よく言われるのが、“全編手に汗握るスリルとノンストップ!”。
これはちと語弊。見せ場の間に小休止だってある。さすがのインディもずっと動いていたら疲れるし。
この合間合間も、ユーモラスだったり、サスペンスフルだったり、ロマンチックだったり。
同僚や知人との掛け合い。
ライバル学者、ねちっこいゲシュタポ・エージェント、聖櫃発掘現場のナチス指揮官…三者三様の敵。彼らの最期も見物。
そして、男勝りのヒロイン。特技は酒の飲み比べ。インディとは昔恋人同士。快活でタフだが、ドレスアップした姿は美しい。カレン・アレンが華を添える。
これらもメリハリあって飽きさせない。

だけどやはり、血湧き肉躍る大冒険&大活劇!
もはや代名詞。開幕早々の巨岩ゴロゴロ! パロディは数知れず、バラエティーでもお馴染み。ここだけでも伝説を作った。
行く先々でピンチとアクションを挟み、
最大の見せ場と言っていいのが、奪われた聖櫃を追え!砂漠のトラック・チェイス! 本当にこここそ、手に汗握る!
有名シーンやエキサイティング・シーンたくさん。でもひょっとしたら“ある意味”最も有名かもしれないシーンは…
カイロにて、大きな剣を持った敵を銃一発で瞬殺。本当は派手な大立ち回りになる予定が、ハリソンがカイロの水に当たって腹を下し、とてもとてもそんなシーン撮れず…と、有名な逸話。
意表を付いたユーモアたっぷりのシーンで、災い転じて福となす。

娯楽冒険活劇だが、ただのそれだけじゃないのがミソ。
クライマックス。遂に、聖櫃が開けられた時…!
この超常現象的な展開も、大冒険の果てのカタルシス。我がミステリー心が大いにかきむしられる。

作品がクラシックなら、音楽もクラシック。
高揚感満点のテーマ曲もさることながら、雄大な間奏部も余韻に浸れる。
ジョン・ウィリアムズは音楽で、作品の全てを見事表した。

ルーカスが目指すのはいつだって、かつて自分がワクワク楽しんだ他愛ない娯楽活劇。
『JAWS/ジョーズ』『未知との遭遇』を連続で大ヒットさせ、本作も大ヒット。続く『E.T.』も更なる大ヒット。当時飛ぶ鳥落とす勢いだったスピルバーグの手腕が躍動しまくる。

いつ見ても面白い。いつまで経っても面白い。全く色褪せる事なく。
秘宝を求め、世界を駆けるインディ・ジョーンズ。
本作こそ、秘宝だ。

近大