「「推定無罪」の驚愕のラストの方が…」隣人 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「推定無罪」の驚愕のラストの方が…
「大統領の陰謀」を観た関連で、
名作「ソフィーの選択」の
アラン・J・パクラ監督作品として
評価の高い作品だったので初鑑賞。
しかも、主演俳優が「ソフィー…」で
狂気ながらも苦悩のソフィーを優しい心で
包む役を演じたケヴィン・クラインと
「アビス」や「訴訟」で
夫婦愛や親子愛復活を見事に演じた
メアリー・エリザベス・マストラントニオの
共演だったので更に期待が高まった。
しかし、この作品、
社会派タッチの内容ではなく
「推定無罪」に近いサスペンスものだった。
しかも、途中から、これは隣の夫の
己の妻殺しのための罠かと思ったのだが、
途中から主人公の妻が絡んでいるかの
思わせ振りにも係わらず、
結局はやはり隣の夫が犯人だったという、
ただただ観客を幻惑する構成に落胆した。
また、この保険金詐欺事件の全ての
キーマンは反道徳な仲間の医師なのだが、
彼は一切画面に登場しないし、
その自動車事故の保険金の受け取りに
妻は安易に同意するわ、
死んだはずの犯人の妻は
実は別人だったりと
都合の良すぎる設定が満載だ。
また、後段で保険金の成果なのか
監視ゲートがあるような屋敷に、
何故妻は怪しくなってきた犯人と
暮らしているのか、
暮らしていないといけないのか私には謎だ。
マストラントニオは前記2作品では
自立する女性像を見事に演じたが、
この作品では夫に対しても犯人に対しても
まるで主体性のない
受身の判断しか出来ない女性像で落胆した。
理解の及ばない点が多過ぎる展開だが、
それだったら「推定無罪」のように
最後の最後に、実は愛情に溢れていたはずの
夫婦の妻が主犯だったという位の
劇的性の方が良かったのではないかと
感じるばかりで、
パクラ監督作品として
「ソフィー…」に継ぐ評価作品としては
どうしても思えない内容だった。