「やっぱり「この世」(人間界)が佳境か。」ベルリン・天使の詩 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり「この世」(人間界)が佳境か。
浮世に生きている評論子らにしてみれば、食べるためには働かなければならないなど、何かにつけて苦労の多い人間界ですけれども。
実際、ブランコ乗りのマリオンにしてみても、戦争が終わったばかりの不安定な経済下で、サーカスの破産や、季節雇用の不安定さが、評論子の印象には残りました。
しかし、天使ダニエルは、モノクロで生活実感のなく、そして「天使」とは言いつつも自殺者の一人も止めることができなかった自分の無力さから、天使界よりも人間界を選んだということになりそうです。
加えて、「そういう者はたくさんいるよ。」というピーター・フォーク役で出演しているピーター・フォークのセリフも、妙に沁みました。
十分な佳作であったと思います。
評論子は。
(追記)
作中で言及されるように、子供の頃は、自分が何者であるかすら意識していなかったはずで、そういう意味では母親の胎内から生まれてきたという確証すら、本人にその記憶がない以上、どこにもないことになりそうです。
そういう「何者か分からない」まま長じた今の自分は、自らの意識で「何者であるか」を求めていかなければ、いつまでも「何者か分からない」ままなのかも知れません。
きりんさん、コメントありがとうございました。
自分の出自(過去)よりも、今を大切にしなさいというメッセージとして、私は受け取りました。
しっかり生きていかないと、やっぱり大変ですから。この人間界は。
トミーさん、いつもコメントありがとうございます。
鎧の話は、私も面白いと思いました。
「人生に必要な物は、勇気と想像力と、サム・マネー」は、『ライムライト』か何かでのチャップリンのセリフですが。
やっぱり、天使と言えども、下界に降りたらメシを食わないといけないので「サム・マネー」が必要なのでしょう。
ピーター・フォークのセリフだったと思いますが、そちらも面白いと思いました。
「そりゃあ、安く売ったもんだねぇ。もっと高く売った者もいるよ。」
天使から下界に降りる「人」は少なくないのだろうなぁと思いましたし、「じゃあ、ピーター・フォークはいくらで売ったのかなぁ」とも思いました。