劇場公開日 2021年11月5日

「やっぱり「この世」(人間界)が佳境か。」ベルリン・天使の詩 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0やっぱり「この世」(人間界)が佳境か。

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

浮世に生きている評論子らにしてみれば、食べるためには働かなければならないなど、
何かにつけて苦労の多い人間界ですけれども。

実際、ブランコ乗りのマリオンにしてみても、戦争が終わったばかりの不安定な経済下
で、サーカスの破産や、季節雇用の不安定さが、評論子の印象には残りました。

しかし、天使ダニエルは、モノクロで生活実感のなく、そして「天使」とは言いつつも
自殺者の一人も止めることができなかった自分の無力さから、天使界よりも人間界を選
んだということになりそうです。
加えて、「そういう者はたくさんいるよ。」というピーター・フォーク役で出演してい
るピーター・フォークのセリフも、妙に沁みました。

十分な佳作であったと思います。
評論子は。

(追記)
作中で言及されるように、子供の頃は、自分が何者であるかすら意識していなかったは
ずで、そういう意味では母親の胎内から生まれてきたという確証すら、本人にその記憶
がない以上、どこにもないことになりそうです。
そういう「何者か分からない」まま長じた今の自分は、自らの意識で「何者であるか」
を求めていかなければ、いつまでも「何者か分からない」ままなのかも知れません。

talkie
talkieさんのコメント
2024年7月1日

トミーさん、いつもコメントありがとうございます。
鎧の話は、私も面白いと思いました。
「人生に必要な物は、勇気と想像力と、サム・マネー」は、『ライムライト』か何かでのチャップリンのセリフですが。
やっぱり、天使と言えども、下界に降りたらメシを食わないといけないので「サム・マネー」が必要なのでしょう。
ピーター・フォークのセリフだったと思いますが、そちらも面白いと思いました。
「そりゃあ、安く売ったもんだねぇ。もっと高く売った者もいるよ。」
天使から下界に降りる「人」は少なくないのだろうなぁと思いましたし、「じゃあ、ピーター・フォークはいくらで売ったのかなぁ」とも思いました。

talkie
トミーさんのコメント
2024年6月30日

共感ありがとうございます。
ちょっと的外れですが、鎧の取り扱いが面白いですね。三途の川の渡し賃? 出所時に呉れる当座のお金? 神の慈悲なんでしょうか?

トミー