「SF映画史に残るマスターピース」ブレードランナー としぱぱさんの映画レビュー(感想・評価)
SF映画史に残るマスターピース
1982年公開当初はあまり収入が芳しくなかったと記憶している。公開後にその独特な世界観からカルトな人気が爆発し今に至る。高校生の頃に観た時の記憶は流石に薄く再度観賞。巨匠リドリー・スコットは映像や独特の視点で映画を作るから割とストーリーが置いてきぼりで難解な解釈がついて回る場合がある。今作はそのラストシーンについても不安に思ったワーナーが事前にアンケートをとりそれにより変更になったと聞く。つうかワーナーはハリソンを担ぎ出した時点でSFアクション物で広告展開したらしいから、所謂スターウォーズの二番煎じをねらっていたのではないでしょうか。巨匠はそれに納得しておらず、後にディレクターズエディションとファイナルカットも公開された(こちらは別レビューにて記す) 若い自分に観たブレードランナーはとにかくその世界観が一言カッコいいという印象だったが当時の記憶。空飛ぶ先進的なスタイルのパトカーや電子銃、レプリカント捜査官、ワクワクしたなあ。さらに今でこそアジアの文字が並ぶ映画セットは珍しく無いが当時は後に有名になったわかもとの看板CMだけでオーッとなったものでした。合わせて何せスターウォーズに続いてハリソン・フォードが出演したSF作品だから、それは観る以外の選択肢はなかった。しかしハリソン演じるデッカード捜査官は傲慢で全然ニヒルでもカッコよくもない。レプリカントを下に見ていてある意味差別主義的な考えの男である。そのデッカードがある捜査を命じられて自分がレプリカントではないかと疑心暗鬼になってゆく。前述でもあるがストーリーがやや難解で細かいプロットが結構雑。劇中のセリフで逃亡したレプリカントは6人、1人は死亡。だから残りは5人のはずが何故か4人となっており、それ故デッカードが残りのもう1人では?という意味深な話の流れがコアなファン心理を煽り人気がでたという裏話を読んだことがあるが私も観た時にそう考えたってことは当時から十分映画オタクだったんだなあ(笑)その先が読めない展開に人間とレプリカントの愛(デッカードのはやや屈折しているけど)や作られたレプリカントであるのに人間より寿命が短い葛藤や焦りが盛り込まれている。ある意味道を踏み外して行く捜査官の逃亡劇中に自分はレプリカントではないかという疑心暗鬼により狂気的にも見えるハリソンの演技はとても素晴らしかった。でも割とデッカードがあまり人間味よりひどくない?って行動が多く、感情移入は出来なかった(笑)また、全編にわたりほぼ雨が降り続く夜のシーンが多くまさにダークワールドな世界が描かれている。これらが相まって希代のマスターピースは生まれたのであった。また、脇を支えた悪役レプリカント役のルトガー・ハウアー、自前のブロンドヘアーと相まって、とても印象的でした。この作品から続々と主役級の作品に出演して名俳優になっていく。明るく楽しいSFアドベンチャーが、スターウォーズならブレードランナーは対局のSFダークノアールである。観てない方は是非ご覧ください。