昼下りの情事のレビュー・感想・評価
全26件中、21~26件目を表示
たのしかった~
オードリーの美しさの一瞬
この映画の中で私がとても惹かれたのは、最初にゲーリー・クーパーとオードリーがスイートルームで出会うシーンでした。大人の男の余裕を前にしてオードリーが恥じらいを感じつつどうしようもなく惹かれている様子がとてもよく感じられ、特にドアの近くの壁際で、オードリーが壁を背にしてゲーリー・クーパーと顔と顔が近づくところでは、オードリーの横顔が圧倒的な美しさを見せていました。
ただ、ちょっと全体としてはリズム感がバラバラだったような気もしましたですね。ビリー・ワイルダーが自らの師としていたルビッチだったら、もうちょっと小気味よい映画に仕上げられたような気がしますし、実際オープニングのシーンなどからは、そうしたルビッチ的なものを目指していたのだと思います(うまくはいってないと思いますけど)。
あと、私はあまり脚本の整合性とか気にならない方ではあるんですが、やっぱり大富豪とはいえ、とんでもない遊び人の年上男性にあそこまで女性がのめり込んでいくかなぁ、とか(しかも再開場面で忘れられてるのに)、父親、もっと大反対しないか?とか、そんなことが気になってしまったというところはありましたですね。
オードリー『昼下がりの情事』~アリアーヌ巻き
BSシネマで観る。私立探偵(モーリス・シュヴァリエ)の一人娘、清純無垢な乙女アリアーヌ(オードリー・ヘプバーン)は父親の捜査資料を盗み読みするうちこともあろうに大金持ちの実業家で父親ほど年上のプレーボーイに強い関心を抱く。なんとか近づきになれたらと願う。ふとした機会に機転をきかせフラナガン(ゲーリー・クーパー)の浮気現場の窮地から彼を救い近づきになる。アリアーヌにはミシェルというボーイフレンドはいるが頼りなさに飽き飽き。こういうことは今の日本にもみられるのではないだろうか。同世代の男たちには飽きたらず親子ほど年上の男性にしか惹かれないという風潮が。
アリアーヌはフラナガンのプレーボーイぶりに内心ヤキモキしながらも背伸びして男性経験豊富なプレーガールを演出して彼の気を引こうとする。こういうことは、あまり好きでもない男とその仲のよさを見せ付けて本命の男性の嫉妬を煽り注意を自分に振り向かせようという切ないまでの女心に通ずるものがあるのではないだろうか。
やがてフラナガンもアリアーヌの新鮮な可憐さに魅かれてゆく。ここでアリアーヌは背水の陣を敷く。彼のビジネス用レコーダーに居もしない男たちの架空の職業や名前を立て続けに録音していっていかに男たちにモテ男性経験が豊かであるかということを知らしめようとする。
録音を聞いたフラナガンの嫉妬は爆発しこともあろうにアリアーヌの父親に彼女の素行調査を依頼する。そして総てが明らかになる。フラナガンは父親の意を汲んでパリを後にする決意をする。
何も知らないアリアーヌはリオン駅まで彼に付き従い別れに涙する。列車はすべるように走り出す。キリリとスカーフを巻いたアリアーヌは架空の男たちの名を叫びながら追いすがる。
このラストシーンはこの映画のクライマックスでありオードリーの魅力と演技が極まる。なんといじらしく一途な事か。久しぶりに映画の醍醐味を味わった。
オードリー流の旅行鞄の閉め方
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:60点|音楽:65点 )
「ローマの休日」からまだ四年後のオードリー・ヘプバーン主演の恋愛劇。だがこちらは喜劇色が強くて気楽に観られる。そして大女優の貫録の出る前の、若くて華奢な彼女の姿がとても新鮮で可憐だ。気になる大人の男の前で、何かと大人のふりをするのがかえってあどけない。荷物を詰めすぎて締まらない旅行鞄の閉め方も可愛らしいくて、そんなオードリーの魅力で楽しめる作品。最後のまとめもいいし、父親役もいい味をだしている。ただし公開当時56歳のゲーリー・クーパーとの恋愛は、歳の差がありすぎでは。
全26件中、21~26件目を表示