劇場公開日 1992年2月22日

バグジーのレビュー・感想・評価

全12件を表示

3.5ラスベガスを創った男‼️

2025年12月16日
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活動写真愛好家

4.0【83.3】バグジー 映画レビュー

2025年12月8日
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1991年に公開されたバリー・レヴィンソン監督による『バグジー』は、砂漠の蜃気楼に夢を託した一人の男の狂気とロマンティシズムを描き出した、ハリウッドの黄金時代への憧憬に満ちた野心作である。本作の完成度について考察するならば、映像美と役者のアンサンブルが極めて高い水準にある一方で、脚本における物語の構築には、実録犯罪映画としてのリアリティと、悲劇的なロマンスとしての美学が衝突し、不協和音を奏でている部分が否めない。主人公ベンジャミン・シーゲルは、冷酷な殺人者でありながら、ラスベガスという巨大な娯楽都市を幻視したクリエイターとして描かれる。映画は彼の暴力性よりも、その倒錯した純粋さに焦点を当てているが、その「美学」を完結させるために、キャラクターの一貫性が犠牲にされている点は、本作の評価を分ける分水嶺となるだろう。それでもなお、破滅へと向かう男の哀愁と、それを彩る豪華絢爛な美術・衣装は、観る者を1940年代の夢幻的な世界へと誘う引力を放っている。
監督のバリー・レヴィンソンは、本作において非常に洗練された演出を見せている。『レインマン』などで見せた人間心理への洞察はここでも健在であり、血なまぐさい抗争の最中でさえ、登場人物たちの会話劇をウィットに富んだリズムで処理している。特に、殺人の直後に自分の身だしなみを気にしたり、家庭的な一面を見せたりするシーンの挿入は、シーゲルの異常性を際立たせると同時に、彼を単なる悪党ではない、どこか憎めないキャラクターへと昇華させることに成功している。
キャスティングと演技に関しては、当時のハリウッドを代表する名優たちが集結し、火花を散らすようなアンサンブルを見せている。
ウォーレン・ベイティ(ベンジャミン・"バグジー"・シーゲル役)
本作の製作も兼ねたベイティにとって、この役は彼のキャリアを象徴する重要な一作である。彼はシーゲルという人物を、単なる粗暴なヤクザとしてではなく、洗練された語り口と子供のような癇癪を併せ持つ複雑な人物として造形した。スクリーンに映る彼は、自身が抱く野望に対して盲目的であり、その瞳には常に現実離れした光が宿っている。自身のスター性と役柄の自己顕示欲を見事にリンクさせ、観客を惹きつけるが、時折その演技にはナルシシズムが透けて見える瞬間もあり、狂気的な怖さよりも「演じられた狂気」という印象を与える場面もある。とはいえ、破滅に向かって突き進むエネルギーは十分に魅力的である。
アネット・ベニング(ヴァージニア・ヒル役)
シーゲルの愛人であり、彼と対等に渡り合う女性を演じたベニングの存在感は本作の白眉である。彼女は単なるファム・ファタール(運命の女)の枠に留まらず、金銭への執着と愛への渇望の間で揺れ動く女性の強さと脆さを完璧に体現した。ベイティとの共演が私生活での結婚に繋がったことも頷けるほど、二人の化学反応は凄まじく、激しい口論のシーンには性的な緊張感と演技を超えたリアリティが漂っている。
ハーヴェイ・カイテル(ミッキー・コーエン役)
シーゲルの右腕となる武闘派を演じたカイテルは、画面に登場するだけで不穏な空気を醸し出す。彼の演技は動物的であり、論理よりも本能で動く暴力装置としての役割を全うしている。しかし、その中にもシーゲルに対する歪んだ忠誠心や、どこか滑稽なまでの直情径行さが垣間見え、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのも納得の怪演である。
ベン・キングズレー(メイヤー・ランスキー役)
組織の頭脳であり、シーゲルの長年の盟友を演じたキングズレーは、静謐な演技で映画全体を引き締めている。感情を爆発させるシーゲルとは対照的に、常に冷静沈着で論理的なランスキーを抑えたトーンで演じることで、組織の不気味さとリアリティを底上げした。友情とビジネスの狭間で苦悩する微細な表情の変化は、名優の貫禄を感じさせる。
エリオット・グールド(ハリー・グリーンバーグ役)
かつての仲間でありながら、組織を裏切らざるを得なかった男を演じたグールドは、悲哀に満ちた道化の役割を担っている。彼の存在は、華やかな夢の裏側にある裏社会の過酷な掟を象徴しており、その弱々しい笑顔と怯えを含んだ演技は、観る者の心に深い爪痕を残す。彼がいることで、シーゲルの非情さがより一層浮き彫りとなる重要な役どころである。
脚本を担当したジェームズ・トバックは、史実をベースにしつつも、本作を「現代の神話」として昇華させようとするあまり、物語の構成において強引な飛躍を招いてしまった。セリフの応酬は知的で鋭利だが、シーゲルが砂漠で啓示を受ける場面や、終盤のヴァージニアの行動原理などは、ドラマチックな結末ありきで構築されており、それまで積み上げてきたキャラクターの心理的整合性を欠いている。本来、金と欲望で結ばれていたはずのドライな関係性が、クライマックスに向けて急速に「純愛のメロドラマ」へと変質してしまった点は、ハードボイルドな世界観を期待する観客にとっては、ご都合主義的な甘さを感じさせる瑕疵と言わざるを得ない。
映像・美術・衣装に関しては、文句なしの最高傑作レベルにある。1940年代のハリウッドと、建設途中のラスベガスの対比が見事に映像化されている。撮影監督のアレン・ダヴィオーによる暖色系のライティングは、過去の記憶を美化するフィルターのような役割を果たしている。特にアカデミー賞を受賞した美術セットと衣装デザインは、当時のグラマラスな雰囲気を完璧に再現しており、シーゲルが身に纏うスーツの質感や、ヴァージニアのドレスの色彩は、彼らの虚栄心を視覚的に表現している。
音楽は巨匠エンニオ・モリコーネが担当した。彼のスコアは、悲劇的な予感を孕んだ叙情的な旋律が特徴であり、砂漠の孤独や登場人物たちの心の闇を優しく包み込む。劇中で使用される「Accentuate the Positive」などの当時の楽曲や、モリコーネによる重厚かつメランコリックなオーケストレーションは、映画のトーンを決定づける重要な要素となっている。
賞レースにおける実績も本作の質を証明している。第64回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞(ウォーレン・ベイティ)、助演男優賞(ハーヴェイ・カイテル、ベン・キングズレー)を含む最多10部門にノミネートされ、そのうち美術賞と衣装デザイン賞を受賞した。また、第49回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)を受賞している。
総じて『バグジー』は、アメリカンドリームの光と影を描いた秀作であり、美術や衣装の素晴らしさは特筆に値する。しかし、脚本におけるロマンティシズムへの偏重が、作品全体に漂う緊張感を緩和させてしまった点は否めず、完全無欠の傑作とは言い難い。それでもなお、夢に憑かれた男の生き様を美しく映像化した一点において、映画史に残る価値ある作品であることに変わりはない。
作品[Bugsy]
主演
評価対象: ウォーレン・ベイティ
適用評価点: A9(×3 = 27点)
助演
評価対象: アネット・ベニング(S10)、ハーヴェイ・カイテル(A9)、ベン・キングズレー(A9)、エリオット・グールド(B8)
適用評価点: 平均9(合計36点÷4名 ×1 = 9点)
脚本・ストーリー
評価対象: ジェームズ・トバック
適用評価点: B+7.5(×7 = 52.5点)
※神話化への偏重による整合性の欠如を考慮
撮影・映像
評価対象: アレン・ダヴィオー
適用評価点: A9(×1 = 9点)
美術・衣装
評価対象: デニス・ガスナー、アルバート・ウォルスキー
適用評価点: S10(×1 = 10点)
音楽
評価対象: エンニオ・モリコーネ
適用評価点: A9(×1 = 9点)
編集(減点)
評価対象: スチュ・リンダー
適用評価点: -0
監督(最終評価)
評価対象: バリー・レヴィンソン
総合スコア:[83.3]

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honey

4.0並外れたバイタリティ

2025年4月27日
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 ベン(ウォーレン・ベイティ)は数日しかロサンゼルスに滞在しない予定なのに他人の豪邸を買い取ったり、いきなり容赦の無い暴力を振るったりと、中々イカれている。だがこのイカれっぷりは彼の並外れたバイタリティの表れでもある。これほどバイタリティのある男でないと、ギャングとして成り上がり大仕事をすることなどできない。中途半端に金をケチるような男では、「フラミンゴ」のホテル事業を成功させられなかっただろう。ヴァージニア(アネット・ベニング)も大物女優なので、並の男では物足りない。そのため、ベンのように暴力的だが魅力がある男に惚れた。桁外れの2人が結びつくからこそ、ドラマが生まれる。

 今作は『グッドモーニング!ベトナム』『レインマン』『スリーパーズ』等の良作を生み出したバリー・レヴィンソン監督の映画ということで鑑賞した。今作も強烈で面白い映画で、彼の力量の高さが分かる。

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根岸 圭一

2.0ノーマル

2021年11月5日
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はじめの方に人がたくさん出てきて、誰と誰がどういう関係なのかよく分かりません。
要するにフラミンゴホテル作る話ってことがわかってればいいんですが。
ドラマチックもサスペンスフルもダイナミックもありません。
話がダラダラ続く印象です。

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越後屋

3.5わかる

2020年5月31日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

公開当時、就職したばかりで、付き合っていた妻と新宿でみた。

当時わからなかったが、バグジーの気持ち、すごい今はわかる

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昔から映画好き

2.0 金を盗んだとか、返せとか、そんな話ばかり・・・完全にヤクザの世界...

2018年11月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 金を盗んだとか、返せとか、そんな話ばかり・・・完全にヤクザの世界だけど、暴力的なところ以外は実業家と変わらない。ベン・シーゲル。「20人の小男が・・・」といつも同じ発声練習している。

 妻子ある身なのにバージニアという誰とでも寝るような女にうつつをぬかす。最終的にはそのバージニアが200万ドルを盗んだとされるが、実際はどうだったんだろう。彼が死んでから金を返したようだが・・・その後自殺したというのも納得だ。フラミンゴホテルなんて発想は純粋な気持ちの表れ。遠くまで飛べないところが、この男の末路を示しているかのようだった。本人は虫だと思ってたようだけど。

 やっぱりバブル期に作られた映画。今観ても何の感動もないのかも・・・

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kossy

3.0気になっていたが。

2018年2月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

ついつい観ずに今まで。脅しつける感じがよかったが、もっとえげつないのがいっぱいあるしね。昔の映画だしね。まあ何とも。

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khapphom

3.5ギャングが怖くない!?

2018年1月31日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

W・ベイティが演じるベンは明るい能天気な男で行動が滑稽にとてもマフィアには見えない。

頭がキレているようで詰めが甘いというか周りの仲間からの信用を失い家庭を捨ててまで選んだ女は問題アリで「グッドフェローズ」の主人公H・ヒルの奥さん同様にイライラするがドッチも実話で。

H・カイテルは地味な存在感で本作で描かれるM・コーエンは物静かな物分かりの良いバグジーの子分的扱いで腑に落ちない!?

危機が迫ったり恐怖心を感じたり窮地に陥った焦りなどの描写が皆無で実話のギャング映画としては若干、物足りないが自伝映画としては楽しめる。

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万年 東一

3.0狂気の沙汰

2017年7月22日
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まぁ、最後にはこうなるとは思った。
ベガスのカジノが誕生した裏には、こんな男がいたとは‼︎興味深く鑑賞しました。

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おのもん

3.5賭博の街

2015年11月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

田舎のカジノタウンだったラスベガスに豪華なカジノホテルを築いたギャングスター。
華やかで破天荒な半生。

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take

4.0夢見る男の波乱の人生を眺める

2013年7月14日
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鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

興奮

総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )

 自ら選ぶおしゃれな服に身を包む伊達男で、企画力や行動力はあるけれども、派手で傲慢で気分やで緻密な計算は出来ない。金遣いの荒そうな自分の女一人に好き勝手に金の管理を任せ、建築計画を現場で見ては急に変更させてしまい、当初計画の6倍もの予算超過をするほどの大雑把さと無計画性を示してしまう。
 自ら道を切り開く起業家精神はあっても真の起業家というよりは所詮ヤクザにすぎなくて(それに別に本人も自分を起業家だとは思ってはいないだろう)、必ずしも彼を偉大だとは思わないし好きにはなれないのだが、それでも夢を見て行動をして現実社会に大いなる足跡を残した男の波乱に満ちた人生を興味深く眺めることが出来た。ラスベガスの街は派手で軽薄で上辺だけ取り繕っている感じがして必ずしも好きではないが、それでも世界に知られた娯楽の街として大人気なのも事実で、彼の先見性があったということだろう。衣装と当時のセット・出演者の演技・演出もなかなかの質。

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Cape God

3.5ギャングスターの夢とは・・・・。

2013年1月13日
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鑑賞方法:TV地上波

興奮

ラスベガスのフラミンゴホテルを建てる夢にとりつかれた、
実在の人物ベンジャミン“バグジー”シーゲルをウォーレン・ビーティ
が軽やかに、また華やかに演じています。
まさにうってつけの役。

少し古い映画ですが、エキセントリックなギャングの夢が実現する
までのすさまじい執念とそれに賭ける生き様がシリアスに描かれています。昔の映画でも灰汁の強い素晴らしいギャングを観る事が出来ます。

満足の1作です。

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としぱぱ
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