ハロルドとモード 少年は虹を渡るのレビュー・感想・評価
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人生に絶望している青年を救ったのは
「高く飛びたければ高く、低く飛びたければ低く♪ どんな風だって飛べるさ。やり方はいくらでもある♪」人生に絶望している19才の青年に、長い人生を強く明るく生き今は最期を心づもりしている79才の女性が歌いかける。
女性の80才の誕生日までの数日間の交流を通じ、狂言自殺を繰り返していた青年が自分の人生を生きる希望と自信を得るまでを描くファンタジー。
モードが最高の贈り物だと言ったばかりのコインを海に投げてしまうシーン。「これで心の中に永遠に残るわ。」物ばかりを与える毒親の母親とは対照的な描写。そして腕に刻まれた戦争の傷を一瞬見せることで、彼女が真の人生の絶望の淵から生きて帰ってきた女性であることがわかる。
最初は初体験の相手が60才上でいいのか⁉︎と思ったけど、狂言自殺を繰り返していた青年を蘇生するには人生の大先輩との恋愛が必要だったというお話もありだと思った。
青年役の男性も、ファッショナブルな冷たい母親役の方もいいが、モード役の女優さんの目がキラキラしていて本当にチャーミングで印象に残った。
面白かった
主人公の表情と変な間の取り方が面白い。かっこいいジャガーを霊柩車に改造していて、なんて勿体無いことをするんだと思ったが、それはそれでかっこよかった。
おばあさんとやっていたのは引いた。余裕ある金持ちの戯れ事だという思いもあるのだが、そんなスノッブな感じがよく活かされているセンスが魅力的だった。鼻持ちならない感じはしなかった。主人公が本当に苦しそうだったからだろうか。
いたずら映像みたいな演出が面白い。人に勧めたくなる映画だった。
秀作
予想以上に気味悪い男の子と頭のおかしなおばあさんが出てきて、何だこの話って思いながら観てたら、それぞれの事情(生きることに臆病、ホロコーストの生き残り)がわかってから急に引き込まれた。
理解しようともしない周囲の人間に目もくれず楽しそうなふたり、観てて心があったかくなった矢先。
自殺行為に逃げずに、バンジョー鳴らす方を選んだハロルドは、きっと生きがいを見つけられるやろうなあ。
何にも縛られずに死期すら自分で決めるモードの生き方、私の理想やった。さすがにもうちょい社会の規範には法りたいけど。笑
また何回も観返したい。
個人的に小さな恋のメロディーのもっと現実的バージョンって雰囲気と思った。
服装とか時代も似てるし。
自由は大事だけど
枯れた木1本のために、他人の車(努力の結晶)を平気で盗む人に
自由や愛を語ってほしくない。
些細な描写かもしれないけど、
どんな自由のために何が犠牲になっているのかというのは、
このテーマの根本的な部分だと思うので、説得的に描いてほしかった。
と思ったが、そもそもそんな思慮深い婆さんじゃないんだろうから、見方が違うか。
その辺に目を瞑って、フワっと見れば、
ブラックジョークに彩られた人間賛美の秀作なのかなと思う
ハロルドの顔が映画的
良い評価を聞くのでかなり期待していたのだが自分的にはヒットしなかった。。
72年制作ということでその頃の雰囲気が色濃く出てる感じ。
(フィルムの質感のせいかもしれない)
やや助長と感じるシーンが多い気がした。
モードおばあさんは魅力的なのでもっと時間をかけて描けば良かったのに。
(逆に前半のハロルドが長すぎ)
ハロルドの決断もラストも唐突な感じしかしなかった。
警官や軍人をおちょくるのは当時の世相を反映してるのかな?
反撥と賛歌。
名画座にて。
H・アシュビー初期の傑作だそうだが、私はぜんぜん知らなかった^^;
1971年はアメリカン・ニューシネマ全盛時代。ヒッピー全盛ともいえる。
その思想をこれでもかと汲んだ描き方(音楽に至るまで)に懐かしい~と
思うか、え?こんな作品観たことない!と思うか、年代で様々だと思う。
いずれにせよ、今じゃこんな作品は観れないだろうな^^;と思う。
暴力と反撥に彩られた作品群の中では異彩を放ったんじゃないだろうか、
と思える作品だった。もちろん背景にはそれがあるにせよ、明らさまな
描写で描いてはいない。どちらかというと、その行為の背後にあるのは、
人生賛歌、この時代を生きるためのあくなき探求心を煽る作品なのである。
そしてその行為を青年に促すのが、79歳の老婆だというところが面白い。
ハロルドは一見なんの不自由もない家庭で育ち、親から全てあてがわれた
ような生活をしているにも拘らず、生きることへの価値を見出せていない。
自殺願望だけが先行し、何度も(ジョークで)繰り返すものの、実際に行動を
起こすことは出来ず、他人の葬式に参列しては欲を満たしている変わり者。
そんなハロルドの前に現れるモードという(葬式に参列している)お婆ちゃん。
何だ!この婆さんは!(汗)と思うほど彼女のぶっ飛んだ行動には恐れ入る。
まだ青年のハロルドの思想をぶった切るような^^;破壊的な行動力に次第に
ハロルドは惹かれていくのだが…。
何といっても音楽がいい!キャット・スティーブンスによる数々の挿入歌
(しかも字幕付き)がやたらと流れる導入部、今時これほど音楽をかき鳴らす
ドラマは映画ではほとんど観ない…(こないだ観た角川の映画であったな^^;)
俳優の演技を邪魔する音楽とは違い、その風情にピタリと合う選曲が為され
あの時代を彷彿とさせる(イージー・ライダーの選曲もこんな感じだったですね)
反撥を胸に、活き活きと自由を謳歌しようとする若者たちが横行した青春時代、
なぜ79歳のお婆ちゃんにそんな行動ができたのか…。
二人が親密になった後半、サラリとモードの真実が映し出され、
彼女の本意が明らかになる。身を持って生きることの素晴らしさをハロルドに
訴えた(つもりだと思う)モードは、自身も生き長らえて良かった…を胸に、あの
最後の決断をしたのだろう。その真意があの時点でハロルドに理解できたかは
分からないが、とりあえず彼の選択は…あれでよかったなと思う。
いずれハロルドが歳をとって、自分の子供に手を焼いて^^;、困った、困った、
この子にはどう生きる楽しみを教えてやろうか。。なんて悩んだあかつきには、
こんな悪戯好きのお婆ちゃんがいたことを話してやるといいかもしれない。
モラルやルールを飛び越えて、精一杯命あることを楽しめる人生こそ、彼女が
味わいたかった歓びであり、過去に失われてしまった幸福そのものだったのだ。
この時代特有の描き方なので、賛否は分かれるところかなぁーと思えるが、
監督の訴えそのものが見えてくると、実に深遠なテーマだったと分かる佳作。
(やっぱりこの時代はバイクですねぇv警官の白バイ盗んじゃうのはマズいけどね)
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