ナイト・オン・ザ・プラネットのレビュー・感想・評価
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夜にしがみついて、朝で溶かして…その窓に映る景色と思い出
松居大悟監督の最新作『ちょっと思い出しただけ』を更に楽しく観るための予習として鑑賞。初めて観る、ジム・ジャームッシュ作品。凄いオシャレなのに着飾ってない。
ジム・ジャームッシュ監督も東京を撮りたかったと言っていたらしい。そんなことを聞いたのは、東京国際映画祭で観た『ちょっと思い出しただけ』のQ&Aのとき。自分が知らなかっただけだが、見るキッカケに。クリープハイプと名付けたのもここからだとか。ある種の原点回帰を、尾崎世界観さんも松居大悟監督もしたということだ。
舞台は5つの都市のタクシー。それぞれ行われる密室での会話。何気ない会話に見えて、次第に核が浮かび上がるような感覚。会話劇としてのプラットフォームはしっかりしつつ、道路のように状況は1つとして被らない。なんというか、飾らないのにオシャレだし、その深みが分かる大人っぽさを感じる。オムニバスなので合う合わないは出てくるものの、なかなかクセも無くて楽しめた。
印象的なのはやっぱりパリかな。「パイプ」を取った部分は分からなかったけど、色や視覚が与える先入観に目を凝らす必要はない、そんな気づきが言葉のイロハに含まれていて引き込まれる。過度に色づいた様に見えても、実はソレも計算なんだろう。
そして何より、各国で扱われるカラーがまるで違うのも凄い。人の数だけドラマがあって、青春から恋、喜劇にドラマ…芳醇な映画の香り。次はどんなお酒を片手に観ようかな。
そして東京。第6の街。松居大悟監督はどう意識したのか。両者が原点回帰をした本作。1周したあとに見る景色はいかに。1度観たのに期待が膨らむ。
ウィノナライダーの一話目が見ごたえありすぎて、二話目以降が霞んでし...
1992年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
『JIM JARMUSCH Retrospective 2021』にて鑑賞(初見)。
何が幸せで不幸かなんて人それぞれ…
だいたい自分の事しか普通は見えていないもんですよねぇ…。
とても幸せな2時間でした!💖✨
*盲目の女性を演じていたのは、『屋敷女』(フランス版)であの殺人鬼を演じていた女優だと初めて知りました!…ショック‼️笑
【旅⑤/旅をするのは…】
ジム・ジャームッシュのデビュー作から6番めまでの作品は、全て旅がモチーフだと思う。
出会い/集い、良し悪しではなく、その成り行きを見つめているのだ。
そして、出会い/集い、旅するのは、僕達のことではないのか。
(※ これら6作品のレビューは書き出しが同じです。すみません。)
書き出しを最初の6作品とも旅を巡る物語と一緒にしているが、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」のオムニバスの物語は旅自体がモチーフじゃないし、5つの都市のタクシーを巡る5つの物語でしょという方がいそうなのは分かる。
でも、考えて欲しい。
ロスアンゼルスから始まって、並んだ時計の針が動いて、他の4つの都市を巡るのだ。
僕達が、旅をしているのだ。
僕達は海外旅行をすると、その街でタクシーをよく利用するではないか。
タクシーは身近な移動手段だ。
そして、タクシー運転手とは、一定の密な時間を狭い空間で過ごすじゃないか。
僕は、この5つの都市のほとんどでタクシーを利用したことがあるけれども、国内でも、どこかでタクシーを利用したことがあれば、その土地土地の雰囲気が理解できることは想像できるし、僕達は、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」で、それぞれの都市ならではのタクシーを巡る物語を目撃する旅をしているのだ。
(以下ネタバレ)
(ロサンゼルス)世界に誇るエンタメシティで、その業界で働く人は、世界を意のままに出来るかのように振る舞うが、どんなに個性的でキュートでも、着実に我が道を生きて行こうする人はいるというアイロニーだ。ウィノナ・ライダーがやっぱりかわいい。
(ニューヨーク)ほとんどのタクシードライバーは移民のように思う。東ドイツからの移民って、オートマ運転出来ないんだってみたいな、意地悪もあるが、ブルックリンの黒人が明るくて、率直で、そして親切で良い。
(パリ)パリも移民のタクシードライバーは多いし、黒人も多い都市だ。盲目のパリジェンヌのお客は、プライドが高くて、予想通りなのだが、目が見えるかのように感じ取るだけじゃなく、近い未来も予言できちゃう気がする。僕達は実は色んなことが見えていないのかもしらない。ほくそ笑むの姿が面白い。
(ローマ)多くのカテドラルと、バチカン市国を抱え、うっるさいイタリア人と厳粛な宗教が混在する都市だ。
神父は自分の命と引き換えにしても、懺悔を聞かないといけないのかというアイロニーだ。
ところで、僕はイタリア人の友人がいるが、とにかくよくしゃべるし身振り手振りもデカイ。「ダウン・バイ・ロー」のロベルトや、「ミステリー・トレイン」のルイーザも、そうだったが、あのまんまだ。ここで、これを記すことができて、なんか嬉しい。
(ヘルシンキ)高福祉国家では、幸福じゃなくて不幸話を競うのだろうかという皮肉だ。
僕は、2月のヘルシンキに行ったことがあるが、本当に極寒で、歩くなんて考えられないくらいだ。ヘルシンキ湾の島にも、凍った海をバスで渡ったりする。
まあ、僕のレビューでは、その都市ならではの物語を見た気にはならないと思うけど、僕は、旅した気になってます。
面白かった。
昔観たのに、覚えていなかった...(苦笑)
5話になっていて、そのどれもが面白くて粒揃いな良作品。中でも良かっ...
5話になっていて、そのどれもが面白くて粒揃いな良作品。中でも良かったのは1話目のロサンゼルスの生き様みたいな話と、4話目のローマの死ぬやつ。観ているだけだから笑ってられるが、実際にこんな運転手さんにあってキモい話を延々と聞かされたら死ぬかもしれないな、と思った。
タクシーあるある、かしら。
一言「掘り出し物!」。
オムニバス(本でいう短編集)形式で、プラネット?宇宙物?。
全然違いました。
タクシーの中には、運転手とお客のみ。外は真っ暗闇の中。
そんな2人(組)の、密室での会話劇。
広い世界の片隅で、いろんな人が生きている。
その30分ほどの間だけ、狭い世界を共有する。
運転手がそれぞれ個性的。
・デカいタクシーを乗り回す、へービースモーカー(ウィノナ・ライダー!)。
・ベラベラ1人で喋り、お客が神父さんと知って車内で懺悔し始める(ロベルト・ベニーニ!)。
・アメリカに来たばかりで、言葉も運転もイマイチな移民。
心温まる話もあれば、クスッと笑っちゃう皮肉な話もあり。
タクシーの中って、いろんな人生模様が詰まってるなあと。
今回wowow の「ミニシアターに愛を込めて」(by斎藤工さん)で特集されていて。
そうそう、ミニシアターの小さな箱で見ると。
より味わい深かったかもね。
予備知識ゼロで見たので。1991年、今から30年前の作品となるとこんな人も。
ジーナ・ローランズ!。
ピンヒールにシュッとしたスーツ。できる仕事人役が、惚れ惚れカッケー!。
ウイノア・ライダーとの共演。最高でした。
5編で2時間ちょっと。気楽に見れる「ポップコーン映画」に認定🍿。
5都市のタクシーの運ちゃん
ロスはウィノナ・ライダーのタクシーにジーナ・ローランズが乗ってくる。
NYは不慣れな運ちゃんの代わりに客が運転する。
パリでは盲目の客ベアトリス・ダルが一枚上手。
ローマでは喋り続けるロベルト・ベニーニのタクシーに乗った神父さんは運が悪い。
ヘルシンキで乗ってきた不幸な客が運ちゃんの不幸に負ける。
面白いオムニバスだ。
タクシーの思い出、 いくつもいくつも思い出されてきました・・
Tom Waitsのしわがれた歌がタイトルバックに流れて、夜通し働いたタクシー運転手たちの 泥のように疲れた体をいたわってくれているようだ。
思い出せばいろんなタクシーに乗ったな。
誰にとはなしにポツリポツリ喋る運転手さんもいるし、喋りたくないオーラの運転手もいる。乗せてもらうこちらも同じくその時その時だ。
・お金ないとき、メーターを早めに倒してくれた運転手さん。感涙。
・ぶちキレられて急ブレーキを踏まれたこともあるし、
・お互い初めての街で一緒にカーナビを見ながら超遠回り。歩いたほうが早かった。
済まなさそうに「お金もらえません」と 東北から山梨に昨日来たばかりの運転手さんだった。なに言ってんですか不安なのは僕も一緒。握手して別れた。HAGしたかった。
「タクシーの車内」という狭い空間を、そのいっとき たまたま共有する。あすこは一期一会の地球(プラネット)の縮図なのだ。
日本の深夜労働者は600万人だと聞いたことがある。
Tom Waitsのドラムビートは労働歌。日本でならヨイトマケの唄か岡林信康の山谷ブルースが流れそうなエンディングってところだろうか。
「深夜食堂」冒頭の新宿の大ガードのシーンが大好きな僕。タクシーがたくさん映ります。
・・若者の軽快なタクシー乗車なら宇多田ヒカルの「トラベリング」なのでしょうが、やっぱり白眉は吉田拓郎が由紀さおりに歌わせた「ルームライト」です。
これ以上の夜のタクシーの唄はありませんね。
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《おまけ、付記》
人間をお客として乗せるわけではないが、夜通し走るトラック運転手の僕としては、本作品は言葉不要のシンパシー、=仲間意識に満たされる5つのオムニバスであった。
12月24日、クリスマスイブにも、当然 夕方から朝までのお仕事な訳で。
10トントラック一杯の荷物を積み下ろししながら、僕は同僚たちと笑ったものだ
・ケーキ食べたいね
・サンタさんってさ、深夜労働者なんだよなー
・奥さん今夜もお家でひとりぼっちなんだね
・辛いけど頑張ってるよな年寄りなのにね
・俺たちとおんなじ運送業やろ?サンタさんって仲間だし、なんかさぁ“友だち”って感じするよなァ
タクシーの運転手さんたち、
どうぞ心も体も壊さないで下さいね、
ご安全に。
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ジム・ジャームッシュの魔法
古びれない
ジャームッシュの作品の中で一番好きだったので、約30年弱振りに改めて鑑賞しました。やっぱり今観てもかっこいいし、全然古びれていないのが凄いですね。この時のジーナ・ローランズが60歳超えているなんてびっくり!年齢の事を言うのは良くないですが、それにしてもカッコ良すぎです。ハイヒールいいなあ。
女優よりも整備工になりたい人がいて、目が見える人よりも目が見えない人の方が見えていて、タクシー運転手を横に乗せて代わりにタクシーを運転する人がいて。夜の街で出会う人間模様が、ユーモア有り優しさ有りで、出会いってやっぱりいいなあと思ってしまいました。ジャームッシュは、こういうちょっとした会話劇が上手いですよね。コロナが落ち着いたら、私もふらりと旅に行こう。
"GoodOldWorld"
偏愛、いや、素直な愛
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