劇場公開日 1986年12月6日

「祝!4Kレストア版 上映決定!」トップガン アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0祝!4Kレストア版 上映決定!

2022年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『トップガン マーヴェリック』大ヒットの勢いをかりて、我が国でもついに4Kレストア版でのリバイバル公開が決定しました。

この作品は公開当時の国内最大級スクリーンと思われる(テアトル東京は既に無く)、東宝系フラッグシップ館「新宿プラザ劇場」のD150方式対応スクリーンで鑑賞しています。
ここではそれ以前にも『トラ!トラ!トラ!』や『ブルー・エンゼル』といった航空系作品を鑑賞済みという経緯から劇場選択に迷うことは無かった。

因みにD150方式というのは、視野角150度を謳った上映(専用撮影版あり)方式=ディメンション150の略で、その対応スクリーンは超湾曲大スクリーンなので、開館当時は主に70mmフィルム作品の上映がされてました。
特に、’70年代までは70mmフィルムによるアナログ磁気トラックでの多チャンネルじゃないと「立体音響」上映にならず、35mmフィルムの2トラックの磁気トラックではステレオ音響しか得られないという事情もあり、’80年代辺り(「未知との遭遇など」)からドルビー・システムの採用による「立体音響」が可能になったという要因も大きいでしょう。
(ドルビー以前は、立体音響のために、35mm撮影したネガから70mmフィルムへブローアップという手法も取られたくらいで。)

ということで、実はこの作品、残念ながら’70年代までは良く採用されていた、純粋なワイドスクリーン用の70mmなどで撮影された作品では無いのです。
’80年代は既に家庭用ビデオデッキやLDの普及と、レンタル・ビデオのブームとなっていたため、劇場での上映方式に特化した撮影よりも、その後の二次使用時での素材として、画角を変更(調整)までを見据えた手法を取るように変わっていった、それ以前とは事情が変わってきた経緯によるものです。
ドルビー・システムの登場もあって、この時代では大作級の映画でも、基本的に通常の35mmフィルムの”ビスタサイズ”収録が基本になりました。
これにより、ワイドスクリーンの劇場上映時には上下をトリミング(マスキング)して横長の”疑似ワイドスクリーン上映”に、ビデオ発売やTV放映時には適度に上下の情報量をある程度増し、左右は逆にトリミングして合わせ、当時のTV画面フォーマットの4:3の画面アスペクト比に調整されています。
要するに、どちらの場合であっても”撮影時のまんま”じゃなく、トリミングが施されていてちょん切れています。
(現在の地デジTV以後は、画面アスペクト比は16:9になりました。)

初期に出たビデオ等で「”ワイドスクリーン”じゃなくガッカリ」の声が上がりましたが、後にLDの高額版などワイドスクリーンを売りに追加発売されたものの、上記の理由により画面(フィルム)を完全収録ということではなく、あくまでも劇場でのワイドスクリーン上映版(上下トリミング)の再現に過ぎないものです。

しかし、今となってはムシロ上記のように元の素材が”ビスタサイズ”だったことから、逆に『IMAX版』を制作するのには好都合だったんじゃないかとも考えられるんですけど、今回上映予定の4Kレストア版というのが一体どうなっているのか?
実は、米国では『トップガン マーヴェリック』に先立って『トップガン IMAX版』が記念上映されているのです。
それを我が国でもやって欲しかったのにと思っていたんですが、今回決定した4Kレストア版上映にそれも含まれているのか、期待してしまいます。
今回のイベント的連続上映企画では、『IMAX版』上映は実現しないでしょうかね?

CGも多用された『トップガン マーヴェリック』とはまた違う生の迫力感がどの程度感じられるか、初公開時とはまた一味違った『IMAXバージョントップガン』、観てみたいですね。

(時々ある、ただのBlu-ray Discを使っての”4Kレストア版”上映だったりしたらガッカリですけどね.....)

参考までに、画面サイズ(比率)で比較した場合、「スタンダードサイズ」と呼ばれていた元々の映画の標準サイズ横縦比が1.33:1で、曾てのアナログTVの4:3と一緒。
「ビスタサイズ」は横縦比が1.66:1(ヨーロッパビスタ)程度の横長の画面サイズのものと、アメリカンビスタという1.85:1のものがある。現在のハイビジョンTV画面は1.78:1(16:9)なのでほぼこの2つの中間と言える。
映写機に4K(ツイン)レーザープロジェクターを使用する「IMAXレーザー (GTテクノロジー)」では、フルサイズで1.43:1という事になっているので、「スタンダードサイズ」の1.33:1と「ヨーロッパビスタ」の1.66:1との2つの概ね中間と言えます。
従って、アメリカンビスタで撮影されていたと思われる元祖『トップガン』を「IMAX化」した場合に、横方向をワイドに生かして35mm撮影したネガをそのままノートリミング使用したとしたら、IMAXスクリーン上では多少上下幅が詰まった印象にはなりそうです。

アンディ・ロビンソン