「超衝撃、超暴力!」時計じかけのオレンジ めまめさんの映画レビュー(感想・評価)
超衝撃、超暴力!
間違いなく今まで見た映画の中で衝撃的な映画でした。この衝撃を超える映画はないかもしれないです。
キューブリックの作品といえば、ユーモアのあるセリフ回し、とても効果的な音楽の挿入の仕方などが印象的でよく挙げられますが、この『時計じかけのオレンジ』では、他のどの作品よりもユーモア抜群、とくに、音楽の使い方は印象的でした。
この作品の中でも、ベートーベンの交響曲第9番に代表に、名シーンと言われるかたりべで主人公アレックスが「雨に唄えば」を歌いながらタップ・ダンスを踊るレイプシーンはかなりキチガイで狂気的です。この狂気でキチガイじみたシーンはおおく、ほとんどの暴力シーンはコミカルで、どこか楽しげで、雰囲気は明るく、アップテンポな音楽が使われます。(アレックスのナンパ後のプレイシーンなど。)まるで、超暴力に浸るアレックスは罪という概念を持ち合わせていないかのようにもみえます。 それとは対照的に、暴力シーン以外ではどこか控えめな雰囲気や、おどろおどろしい表現が多くありました。特に、アレックスがとある治療を受けた後では特に顕著でした。どこにも居場所のない絶望感はいきなりの衝撃でした。
このような表現のせいか、作品全体からどこか皮肉るようなジョークのような雰囲気を感じました。
考えさせられることも多く、人間の罪と罰、人間の本性をキューブリックは描き出していると思います。
アレックスは、あの治療で本当に罪という概念を覚えたのか、今までの罪を反省したのか、治療後の拒絶反応で苦しむアレックスは、女性の胸を掴もうとして苦しんだし、殴ろうとして苦しんでいたし、やっぱり、罪という概念を覚えたわけではなく、ただ、苦しいのが嫌だから暴力をやめています。本当にこれは、罰になっているのだろうか?かつての仲間からの裏切り、妻を殺された作家のやり返しや大臣の身勝手な治療と政治利用。
ラストシーンはかなりショッキングで、フラッシュの中での握手、アレックスの表情の変化、戯れのシーン、はこの後の出来事を予感させます。極めつけは、あのセリフ。鳥肌がたちました。
とにかく、文書にして書き表すのはとても難しい作品です。絶対に一見の価値はあります!