「いつか、もう一度観てちゃんと書く、気になり続けている映画」時計じかけのオレンジ CBさんの映画レビュー(感想・評価)
いつか、もう一度観てちゃんと書く、気になり続けている映画
30年以上前に観た時、バイオレンスが比較的苦手な俺は、正直、好きな映画とは思わなかった。当時、「2001年」でキューブリック監督を知り、本作と「博士の異常な愛情」を名画座で観ることができた。「2001年…」と「博士の…」はジャストミートで満喫できたが、本作はどちらかと言えば、嫌いな映画。しかし、評価は非常に高いので、今でも気になっている映画。
たしかに、体制と自由、管理と反逆といった主題で、もう一度ちゃんと観たい映画かな。
2024/5/16追記
俺は、「個人の自由」と「社会の安定」のバランスを取るのが「政治」と理解している。
主人公は前者を極限まで拡張した存在(好き勝手にやり放題)、主人公に施されたロボトミー手術は後者を極限まで拡張した施策(多数の安心のためには少数の人権を侵害してもかまわない)。
「さあ、あなたはこの両者の間のどの辺りだと心地よく過ごせると感じますか?よく考えてね」と聞かれているような映画。
政治はゼロイチではなく、「多数決アンド多数派が少数の意見を汲み取ること」なので、万が一大多数が「(多数の)安定のためにはロボトミーも当然」、「それで(少数である)彼の人格が破壊されてもしょうがない」と考えたら、それが集団の意思となる。
日本国憲法はそれを防ぐために「基本的人権の尊重」を冒頭にうたっている。政治は、ともすれば集団の安定のために、少数派をないがしろにしがちだから、なのだろう。
前者は主人公という個人だからその存在が明確だが、後者は「ヤツにロボトミー手術をして大人しくさせてしまえ」という(個人でなく) "集団の意思決定" なので、その存在はやや曖昧。だから、俺たちが観ている際に、「この映画では、自分は集団の側にいる。集団の中の一人だ」と気づけるかどうかはわからない。
かく言う俺は、観てから40年経った今、初めて、これを追記している。お恥ずかしい限り。
両者のデフォルメが極限まで拡張されてるので、怖いまでの映画になってるが、きっと、言いたいことはそれなんだと思う。
ratienさんのレビューにある通り、暴力のオンパレード。まさに前者後者両者の圧倒的な暴力の応酬という映画なのだろう。
しかし、そういったことを映像化しているのだとしたら、やっぱり凄い映画だったんだなあ、とあらためて感服。
…という訳で「4」となりました。
誤解されぬよう念のために。
俺は、主人公のやりたい放題や暴力には微塵の魅力も感じません。強烈に辟易! ただ、それを抑える策が個人の尊厳を破壊するロボトミー手術だという点は主人公を遥かに超える暴力で全く同意できないだけです。
コメントありがとうございます。
そして、自分の拙いレビューから新たな想いを導きだして頂き感謝してます。
まさに自分の想いの中のモヤモヤが明確な文として示された感じでスッキリしました。
やっぱり他の人の意見って、大切ですよね。時には、全く異なる想いであったとしても、共感してしまうことあります。そして、自分の言いたかったことが、明確に文章で記されることもあって。
今後も楽しいレビューをよろしくお願いします。