「【ひょんなことから道連れとなったドイツの作家の青年と少女の道連れ旅と不思議な交流を描くロードムービー。ドイツの名バンド”CAN"によるオリエンタル調の哀愁漂うメインメロデが印象的な作品でもある。】」都会のアリス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ひょんなことから道連れとなったドイツの作家の青年と少女の道連れ旅と不思議な交流を描くロードムービー。ドイツの名バンド”CAN"によるオリエンタル調の哀愁漂うメインメロデが印象的な作品でもある。】
■仕事で依頼された旅行記が書けず、自信を失っていたドイツ人青年・フィリップ(リュディガー・フォグラー)。
ある時、ニューヨークで9歳の少女・アリスと出会う。
彼女の母が失踪し、途方に暮れたフィリップは、仕方なくアリスを連れ、ドイツに住む彼女の祖母の家へ向かうことになる。
◆感想
■結論から書くと、今作はヴィム・ベンダース監督が、今や巨匠となる前に暗中模索をしていた時代の作品であると思う。
では、今作が面白くないかというとそうではなく、しみじみと面白いのである。
それは、血縁なき少女アリスの母が失踪した中、ペンが動かず只管に風景をポラロイド写真に収めるフィリップがアリスを故郷に届けようとする善性溢れる姿が、何となく、当時足掻いていたヴィム・ベンダース監督の姿と被ってしまうからである。
彼は、少し面倒な幼きアリスをドイツに住む彼女の祖母の家に届けようとする。
だが、その過程で、二人は子供の様にいがみ合ったりしながらも不可思議なる関係性を築き、旅を続けるのである。
<今作の風合を醸し出しているのは、劇中頻繁に流れる、CANのオリエンタル調の哀し気な短調の曲である。
昨年、公開された「Perfect Days」を観ても、ヴィム・ベンダース監督の曲の選択のセンスは素晴らしいな、と感じた作品でもある。>
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