「純愛と価値観・性格の違い」追憶(1973) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
純愛と価値観・性格の違い
クリックして本文を読む
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 80
物語はありふれた恋愛ものである。好きだけど価値観と性格が違った。たったそれだけのこと。こんな話なんてどこにでもころがっているだろうに、せつなさの残る映画だった。
純粋でひたむき、一度こうと決めればそれに対してまっしぐらな女ケイティ。本気で好きになった人を何年会えなくても思い続ける。だけど堅物でやたらと視野が狭くて周りが見えず、自分の価値観に合わなければすぐに感情的になって攻撃的になる。これでは衝突は不可避だろうし不幸も招き悲しみと孤独に暮れることも多いだろう。
だが彼女がひたすらに貫く純粋な愛情の深さがわかる。だから後先考えずに行動する子供っぽい彼女でも、その思いはまっすぐに伝わってくる。そんな中盤までの透明感のある物語のせつなさがひしひしと響いてくる。彼女の思いと同様に透明感のあるせつない音楽がそれを助長する。
後半、大きな社会の中で生活する彼らは、自分の好きなようには生きられない。赤狩りのうねりと自分たちへの影響、何でも好き勝手にやることなど出来るわけがない。そんな現実を認められない彼女の青臭い価値観が二人を分かつ。社会で働き出せば理想を食べて生きていくわけにもいかず、純粋なままにはいられない。大人になって世俗にまみれていく男と、それでも価値観を変えられない女の、せつないけれど自然な結末だろう。それでも最後には二人の気持ちが染み入ってきた。
コメントする