劇場公開日 2007年6月23日

「近頃真っ当な日本映画」アヒルと鴨のコインロッカー ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0近頃真っ当な日本映画

2009年5月5日
鑑賞方法:DVD/BD

その独特の文体とユーモアで知られる伊坂幸太郎の小説を映画化した本作は、小説と同様に何とも魅力溢れる作品だった。

気取っている、と一言で片付けるのは簡単だけど、それだけでは片付けられない、抗いがたい魅力が本作にはあった。正直に言えばテンポはあまりよくないし、あまりに演出が優等生過ぎるような気もする。だがしかし、よくぞまあ、あの映像化が難しかったであろう原作を、ここまでの映画に仕上げたなぁ、というのが素直な印象だ。原作のテイストや魅力を理解できないまま、話題性だけで映画化され、死屍累々と並ぶ作品が多い中、本作に限って言えば、近頃真っ当な日本映画だと本当に思った。

なお、中村監督は本作をきっかけに(?)「チームバチスタの栄光」の監督へと抜擢されたが、彼を選んだプロデューサーの見る目は確かだったと思う。メジャーでは自分の思うような作品が撮れず苦労している気がするけど、それでも才能を持った監督であることは間違いないと思うので、中村監督の次回作「ゴールデンスランバー」に期待したいと思う。(「フィッシュストーリー」は未見)あと、監督は違うけど「重力ピエロ」も楽しみだ。

ダース平太