劇場公開日 2009年6月20日

「実直な作品作り」劔岳 点の記 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5実直な作品作り

2009年6月24日
鑑賞方法:映画館

知的

「誰かが行かねば、道はできない」当時、測量隊が山に対して向き合ったであろう自然への畏怖と挑戦、それと同様の精神で撮影を敢行したスコープ・サイズの映像は、文句なしに美しく壮大で険しい。そんな自然を背景に、柴崎は淡々と任務を遂行し、それを見守る長次郎の目が優しい。このふたり、どちらが主役といってもおかしくない名演だ。
映画的な面白さという点では、「黒部の太陽」や「海峡」の枠を出ないベタな内容だが、作品作りが実直である。なんの前触れもなく浮かび上がるタイトルからも見て取れる。こうした時間と手間を掛けた映画は、ハリウッドを含めてももう作られることはないかもしれない。
そんな作品に関わることができた人々の誇りと歓びが、肩書きのないエンド・クレジットに威風堂々と表れていた。

マスター@だんだん