劇場公開日 2008年8月2日

  • 予告編を見る

スカイ・クロラ The Sky Crawlers : 特集

2008年7月31日更新

そして本作には、一見これまでと同じようでいて、押井映画を見たことがある経験者なら「新しさ」が分かるポイントもある。

今度の押井守はココが新しい!
<押井作品経験者編>これまでの押井映画と同じようで違う

新しい中にも“らしさ”はいろいろ残っている
新しい中にも“らしさ”はいろいろ残っている

■男女の肉体関係を描く、ラブストーリーが変貌!

これまでのそれとは赴きが異なるラブストーリーに
これまでのそれとは赴きが異なるラブストーリーに

押井監督は「初めてのラブストーリー」と語っているが、これまでの押井作品もラブストーリーといえばラブストーリー。「イノセンス」もまた、バトーの素子への愛を描くラブストーリーではあった。が、本作では押井アニメで初めて、キスや抱擁、セックス(を暗示する描写)が直接的に描かれる。「攻殻」や「イノセンス」では人間の魂と肉体の境界線の曖昧さを描き、男女が直接的に触れ合う描写のなかった押井作品だが、「スカイ・クロラ」では何故これらの表現が必要だったのか。その答はスクリーンで確かめるしかない。

■戦闘機バトルが超充実!

押井監督は大のレシプロ(プロペラ)戦闘機好き。これまでも戦闘機が登場するシーンはあった。が、今回は戦闘機はもうひとりの主役。その動きは、機体の軽さから、搭乗者の感情までをも表現。さらに雲の上での戦闘機同士のバトルシーンの映像は圧巻。空と雲しかない舞台ならではの特質を活かして、画面の天地軸を自在に動かし、想定カメラ位置をあらゆる地点に移動させながら描き、空中バトルの表現を新たな次元に突入させている。

空中戦およびレシプロ戦闘機の描き込みは実写以上
空中戦およびレシプロ戦闘機の描き込みは実写以上

また、コクピット内の計器の細かい描きこみや、機銃を撃ち合うシーンで大量の薬莢が排出される部分などは、兵器・戦闘機マニアでもある監督の本領が如何なく発揮されている。

■音楽が“泣かせ系”に変化!

音楽は、これまでほとんどの押井監督作を手掛けてきた川井憲次。だが、その音楽はこれまでと同じではない。川井はこう語る。「いままでの押井監督の作品は、絵とシンクロするよりも、画面の中の出来事から一歩ひいたところに音楽がありました。でも、今回はキャラクターの心情を中心に表現するよう押井監督からリクエストがありましたので、前作に比べて、絵と音楽のシンクロ度は高くなっているかもしれません」(プレス資料より)。この言葉通り、これまでの音楽は世界を描いていたが、今回の音楽が描くのは登場人物の心情を直接的に表現する、いわば「泣かせ系」の音。音楽から受ける印象はかなり異なるのだ。

◇ ◇ ◇ ◇

バセットハウンドはやっぱりいます
バセットハウンドはやっぱりいます

<オマケ>この押井印はやっぱり健在!

■犬

とはいえ、押井作品に不可欠な「犬」は健在。実際の押井が13年7カ月生活を共にした愛犬バセットハウンドのガブリエルは今年4月3日に永眠したが、本作にはその愛くるしい姿が描かれている。

<<押井作品初心者編

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」の作品トップへ