「 戦争映画は数多くあれど、捕虜収容所ものの映画は少ない・・・という...」第十七捕虜収容所 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争映画は数多くあれど、捕虜収容所ものの映画は少ない・・・という...
戦争映画は数多くあれど、捕虜収容所ものの映画は少ない・・・というナレーションで始まる。そして影の薄いクッキーの目線で語られる。
最初に脱走を試みた2人が射殺されるが、その後のスパイ容疑は微々たる事件の連続。順番が違ってたらもっとスリリングだったに違いないと思いつつ、ワイルダーの意図は完全に娯楽作を目指してたのだと考えを改めた。ドイツ兵に賄賂を贈り、ネズミ競馬を仕切ったり、ひどい味の酒を売ったりと、セコく稼ぐ男セフトン(ホールデン)。悲観論者というより、捕虜生活を楽しんでるとしか思えない。そして脇を固めるキャラにハリーとアニマル(ロバート・ストラウス)。このコンビには何度も笑わせてもらった。向いにあるロシア女の収容所に関するネタが多いのだが、望遠鏡では飽き足らず、白線を引きながら堂々と覗きに行くシーンは爆笑モノ。プレ『大脱走』を想像してたのだが、アメリカ人の陽気な部分を見せてもらった感じ。日本人捕虜だとこうもいかなかったろう・・・
スパイ容疑も皆からリンチを受けてひと段落ついた頃、チェスの駒を使った通信に気付いたセフトン。その頃、新たな2人の入所者があったが、その一人ダンパー(テイラー)が列車を爆破したことを仲間に語り、それが密告され拷問を受ける。最後はダンパーを救出するというストーリー展開になるのだ。
真犯人は警備係でもあったプライス(ピーター・グレイブス)。『スパイ大作戦』のジム・フェルプスの若かりし頃だ。皆で殺したらナチに報復されるだろうから、復讐のやり方をずっと一人で考えてたセフトン。ダンパーを救出すれば金持ちの母親から報奨金をもらえると踏んだ彼は、自ら救出&脱走を志願するのだ。そして、プライスを陽動作戦に使い、ドイツの哨兵に殺させる。「真珠湾攻撃はいつだった?」という質問が渋い。そりゃドイツ時間だ!てな感じで。
音楽には“When Johnny Comes Marching Home”(「ジョニーの凱旋」)がテーマ曲のように使われていたが、それよりも米兵たちが“ジングルベル”をアカペラで歌うところが一番気持ちよかった。