パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド : 映画評論・批評
2007年5月29日更新
2007年5月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
退屈なストーリー展開だが、見るべき物もある
この映画をストーリーで見ていくと、退屈するかもしれない。簡単に言えば、七つの海の制覇を目指す東インド会社VSジャックたち海賊の戦いってことになるんだけど、海賊側の態勢がなかなか整わない。誰がリーダーになるか、どんな戦術を取るかで、堂々巡りの争いが延々続く。シーンが変わる毎に、手を組む相手が変わり、裏切るヤツが変わり、リードするヤツが変わりで、観客を置いてけぼりにして登場人物たちだけがワーワーやってるという感じ。物語の太いうねりで見る者のハートを掴んでワクワクさせる、アドベンチャーのセオリーを忘れてしまったようだ。
だからと言って見るべき物がないというわけではない。ウィルやエリザベスが海の墓場にジャック・スパロウを救出に向かうシークエンス、波の下を無数の死体が流れていくビジュアルにオオッと感嘆してしまった。ソルトフラットに乗り上げたブラック・パール号のシーンも美しい。ゴア・バービンスキーが意地を見せたのはこの辺りかも。ジョニーはもちろん楽しくてチャーミングだが、もう満腹。ジョニーがジャックのモデルにした本家キース・リチャーズがさすがの貫禄で超カッコいい。本物の不良オヤジ健在だ。
(森山京子)