劇場公開日 2007年6月1日

「買い物の腕前もプロだ!」ザ・シューター 極大射程 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0買い物の腕前もプロだ!

2022年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 引退したスナイパーが山奥でひっそり暮らしているところへ、突如重要任務を要請される・・・なんてのは『山猫は眠らない』のパターンかと思っていましたけど、スワガー(マーク・ウォールバーグ)はいきなりハメられちゃうんです。山猫の場合は政府・CIAの命令の言いなりになっている印象がありましたけど、映画の展開としては断然シューターのほうが面白い!こうしたアクション映画には主人公のピンチの連続なんてのが必要不可欠かと思います。

 こうした伝統的な米アクション映画に登場する“敵”は、米ソ冷戦時代の始まりから一貫して米国外に求めていたように思われます。冷戦終結、9.11テロを経て、国内(テロリスト以外)の敵が徐々に増えてきているような気がします。今回の敵は政府やCIA、それにアメリカそのものといった雰囲気。しかも黒幕の上院議員のネオコンぶりを見ていると、いかにアメリカの政治経済が腐敗しているのかもわかり、腹立たしくもなってきます。

 「民主主義の敵だ!」などとネオコンは言う。最近の政治家や権力者たちはなにかと「民主主義」という言葉を用い、都合の悪い者を排除しようとしている。人を「勝ち組、負け組」という短絡的な言葉で二極化しようとする態度もしかり、最近の世相をも反映しているかのような台詞も多い作品でした。しかし、ハリウッドライクな勧善懲悪的な流れをみると、社会派映画とはなっていないことに不満も残る。

 マーク・ウォールバーグのアクションぶりを見ていると、マット・デイモンと被って見えてしょうがなかったのですが、個人的には甲乙つけがたいところ。ストーリー的にはシューターのほうが面白いと思います。ダニー・グローヴァーはそれほど悪人にも見えないところに意外性があってよかったし、マイケル・ペーニャはそのまま“いい人”を演じていたようで良かった。

【2007年6月映画館にて】

kossy