ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 : 映画評論・批評
2004年2月16日更新
2022年10月28日よりグランドシネマサンシャイン池袋、TOHOシネマズ新宿ほかにてロードショー
やっぱ興奮するのはビジュアルでありアクション
「エモーショナルな演技と物語は、どんな特殊効果にも優る」――不可能と言われた「指輪物語」の映画化に挑戦し、見事それを可能に変えたピーター・ジャクソンは、今回の経験を通して前記のことを学んだそうだ。でも、そんなことないんだよね。やっぱ興奮するのはビジュアルでありアクション。つまり映画ならではの醍醐味につきてしまうのだ。
たとえば今回のハイライト、ぺレンノール野の合戦。オリファントとゴンドール軍のバトルなんて、原作を読んで頭に描いた絵を軽く上回る。もっと言うなら「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」の惑星ホスのバトルさえ凌駕する、悔しいけど。そもそも物語はすでに分かっているわけだから、あとはそれをどう見せるか。それが監督の腕前であり、この手の映画のお楽しみだと思うのだ。と言うことは、このシリーズの勝因は、ビジュアルに手を抜かなかったこと。ダークな世界をそのまま創り、クリーチャーたちをリアルに動かし、アクションをしっかり描いたから。そこにこだわったからこそ、トールキンの語りたかったことが伝わったのだ。そのこだわりが炸裂したこの最終章、素晴らしいの一言です。
(渡辺麻紀)