風が吹くまま

劇場公開日:

風が吹くまま

解説

イランの巨匠アッバス・キアロスタミが、小さな村を取材しに来たテレビクルーと個性豊かな住民たちの交流を描き、1999年・第56回ベネチア国際映画祭で審査員グランプリを受賞した人間ドラマ。首都テヘランから、クルド系の小さな村を訪れたテレビクルーたち。彼らはこの村独自の風習である葬儀の様子を取材しに来たのだが、村を案内する少年ファザードには自分たちの目的を秘密にするよう話す。テレビクルーは危篤状態のファザードの祖母の様子をうかがいながら、数日間の予定で村に滞在する。しかし数週間が過ぎても老婆の死は訪れず、ディレクターはいら立ちを募らせていく。特集企画「そしてキアロスタミはつづく」(2021年10月16日~、東京・ユーロスペースほか)にてデジタルリマスター版を上映。

1999年製作/118分/G/フランス・イラン合作
原題または英題:Le vent nous emportera
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2021年10月17日

その他の公開日:1999年12月4日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1999 MK2 PRODUCTIONS-ABBAS KIAROSTAMI

映画レビュー

5.0くねくね道がキアロスタミは大好き

2025年1月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

くねくね道がキアロスタミは大好きだ。

映画の冒頭映像は
TVクルーたちの乗ったRV車のくねくね道だ。

道案内のメモは・・
「十字路のあと木が1本」、
「そして高い木が1本」。
「おいおい、1本の木ばっかりじゃないか(笑声)」。

緩い感じで土煙の道を走る姿をカメラが追うのだが、そこからして旅の迷走が予言されていて、何だか可笑しいのだ。

そういえば、
アメリカの道案内ジョークで
この道を4時間まっすぐ行きなさい。
大きな岩が見えたらUターンをして1時間ほど戻ると最初の角を左折だ
というのがある。
岩は動かないから目標としてはイイね!だ。

しかし、僕は運送業なのだが、
「ラーメンの屋台の軽トラを見たら、その次の角を右折しなよ」と教えてくれた大先輩がいて、これは今でも社内で伝説になっている。

東北でも僕は迷って、通行人のおばちゃんに声を掛けたこともある。どんなに聞き返しても何をおっしゃっているのか聞き取れず、お礼を言って諦めた事件も有った。

キアロスタミの映画は、そうなのだ。みんな道しるべを失って、右往左往で無我夢中で走っている。
どれもこれもが行きつ戻りつの人生だ。この「道路のつづら折り」の形状でもって僕たちの迷子の人生をば象徴的に見せてくれる。主人公が大人でも子供でも同じだ。そして一生懸命道を歩むのは老若男女みんな関わりなくなのだ。

・ ・

中東イランの迷路の村。
帰る道がわからなくなった認知症の老人も、迷子になった子供も、この蟻の巣の迷路のような村ならば、必ず誰かが窓から顔を出し、ベランダから声を掛け、きっと同行者になって助けてくれるのだろうなぁ。

子供は無邪気にしゃべり、
でも大人は生臭い夫婦喧嘩やリストラや葬儀の因習などを話す。

しかし、それでも
何かの結末があるのかと思ったら、キアロスタミマジック。
やはり「村の中を歩くだけの映画」だったのだ。さすがだ。

でも道ばたには必ず人がいて、
疲れたらいつでも腰を下ろせるためのベンチや椅子や、玄関横の土壁の窪みがあった。
誰でも座って一息つけるように丸木の棒が転がしてあった。
それを見せてくれる映画だったのだ。

技師は死と葬儀を待っていたのに懸命に人の命を助け、
昔覚えた詩を村人と共に歌い、
テヘランに戻りたかったはずの彼が一本の骨を村のオアシスに投げる。
自分の骨をうずめるための天国を、技師べーザードは見つけてしまったようだ。

・ ・

これは、間もなく定年を迎える僕のために、一人暮らしの74歳の親友がこのDVDを送ってきてくれたのものだ。
「四十にして惑わず」などと、いったい何処のどいつが言ったんだよ?
親切な親友は、ちょうど暗中模索の僕の曲がり角を感じてくれて、キアロスタミを呉れたんだろう。優しいプレゼントだ。
・万事手探りで進むこと。
・気を取り直して振り出しに戻ること。
これが僕の人生だった。
だから映画が沁みる。

願いが叶うタージュドラトのスープを僕も飲む。
少年ファザードのおばあちゃんならずとも、生き返って 生気が回復する映画だった。

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きりん

3.5体の中の汚れた血が洗い浄められるような・・

2022年8月22日
iPhoneアプリから投稿

笑える

楽しい

幸せ

電話がかかれば、岩場の家から急坂を降り、オンボロ車で他の高台まで行かなくちゃ圏外という繰り返しが、何ともはや、のんびりして面白い。

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ezu

4.5分かりやすいくて、心に訴える。 兎に角、鳥の鳴き声とか、音の使い方...

2021年12月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

分かりやすいくて、心に訴える。
兎に角、鳥の鳴き声とか、音の使い方が凄く良いと思った。空間に広がりを作っている。

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アンドロイド爺さん♥️

3.5黄金色に輝く景色

2021年12月11日
iPhoneアプリから投稿

なかなか思い通りに行かないイライラとした心情と電話のたびに丘の上まで車で行ったり来たりする様が上手く合っていた。こっちまで何回丘の上行くんだよとちょっと苛立った。
あと、ちょっと淡々と進むから眠くなってしまった(てか寝てしまった)。
黄金色に輝く景色は綺麗だった。

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いたかわ