海の上のピアニストのレビュー・感想・評価
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失笑もの
面識の無い女性の寝込みを襲う気持ちの悪い中年ピアニストが主人公。廃船になって荒れ果てて港に打ち捨てられてるのにいるのに、頑なに船を降りなかったって。食料も無く電気水道の止まった船でどうやって生き延びたのか。出て来た時は洗い立てみたいな服着てるし、髪も髭も整ってて無理があるでしょ。
嵐で揺れる船床を障害物を避けて滑るピアノで演奏するとか過剰な演出が辛い。
船を降りなかったってだけで何も展開の無いストーリーだから、語り部の目を左右に揺らす過剰な演技と、めちゃくちゃしつこいバン(絵が落ちた表現=突然の出来事らしい)しか後に残らない映画でした。
肝心のピアノも早弾きなだけでそんなに上手くは無いし、感動ものではなく冗長なコメディだと思う。
小刻みに揺れる黒目。
船を下りなかった男
名作
音楽が沁みてくる
涙無しには…
【人が人であること】
久しぶりに観て、懐かしさの他に「幸福のラザロ」にも通じる感覚を覚える。
世の中は便利になる一方だし、情報の量も、取捨選択するのが大変なほど莫大だ。
だが、実は個人の自由で豊かな想像力の入り込む余地は少なくなり、窮屈になって、閉塞感さえ感じられらる。
それだけじゃなく、ネットの中は繋がるどころか、罵詈雑言が飛び交い、攻撃的な空間が存在したりする。
地上に降り立ったことのない1900は、摩天楼の街並みに違和感を覚える。
航海の度に出会った人々の数は、実は大変な多さで、それぞれに様々なドラマや人生があったのだ。
そして、1900の人生も出会いという意味では、地上に生活する人達と。何ら劣ったところはなかったはずだ。
人が、それぞれ人らしくあることに、住む場所や育った場所が、絶対的な影響力を持つとは信じたくない。
周りの人間の言うことに正しいところがあるかもしれない。
でも、自分の声にも耳を傾けることも大切だ。
それは、分かってはいる。
しかし、ラザロが現代社会に存在する意味を見出すことなく去ってしまったように、1900の運命も切なく悲しい。
ぎすぎすした現代には寓話は不要なのだろうか?
寓話的なストーリーの主人公は消えるしかないのだろうか?
改めて、この作品を観て、いや、そんなことはないのだと感じた。
ラザロも1900も、実は、僕達の心の中に住んでいるはずだ。
ジーンと感動
問題は、見えることより見えないこと。
やられた。
まず、子役に。そしてティムに。あんな美しい人だったんだ。
あの眼。
そして、唇の端。
スクリーンに入って、止めたかった。船から降りて欲しかった。
時代が違うんだと思った。彼らに残されたのは生き方を選ぶこと。
その選択は間違っていると思う現代は幸福なのか?
まつエク直後なのに泣けました。ああ。取れちゃう。
それにしても女子部屋、忍び込んじゃダメでしょ。
あれだけはやめて欲しかった。泣
メラニーもほんとに美しかった。
感動が薄れるのが怖くて言語化できません。
完全版楽しみ!
[追記]
2024年午前10時の映画祭にて再び鑑賞。
二度観るのって大事。てか私が歳をとったからなのか。
下りなかった選択について深く考えながら見ることができた。
無限の鍵盤
客船の上に置き去りにされていた赤子が、一度も陸に降りたことのないまま天才ピアニストとして育ち、幾多の出来事の末、遂に船を降りることを決心するが…といったストーリー。
1900と名付けられた男と、本作のもう一人の主人公とも呼べるトランペット奏者のマックスが船上で出逢い、物語の本筋が始まっていく。
ストーリーは勿論、随所で聴けるピアノの旋律が素晴らしい。
映画の中の出来事とは言え、ピアノ対決での演奏はかなり興奮してしまった。
また、今は見る影もなくなった船と、華々しかったときとの対比がとても切ない。
誰もがマックスの話を有り得ないと決めつける中、それでも1900が絶対に…と信じて疑わなかったマックス。
最後の二人の会話のシーンはググっときましたね。
マックスをはじめとする、船上で出逢う数々の人物と1900との会話の中に、この物語の結末に至るヒントが散りばめられていたように思う。
ホンモノの芸術家って、固いというか難しいというか、そういう一面があったりするものだけど、彼が何を思い浮かべて天才的な旋律を奏でたのかを思い返せば、成程そうするしかないのかと、ちょっと気持ちがわかったり。
寧ろ彼には、陸の声が聞こえたのかな。
その他、序盤と終盤のマックスの楽器屋での出来事も切なくって良かったし、彼の今後の物語も気になりますね。
本筋ではないけど、欲を言えばお父さん(実父じゃないけど)との話ももっと濃密に見たかったかな。ここだけでも一本映画が作れるのでは(笑)?
何故か誰も起きなかったり、おしりの摩擦が強すぎたり、キレイなままの服装とか、意外とツッコミどころが多かったけど、生涯海の上だけで過ごしたピアニストの生き様や、強い友情の物語が観れてとても素晴らしかった。
惜しむらくは、音楽モノだから敢えてやっているのか、或いは行った劇場がたまたまそうなっているのかわからないけど、普段と比べて明らかに音量が大きく、正直かなりうるさいと感じてしまい…。
もうちょっと集中して観れたらより高得点だったかも。
合掌、モリコーネ節を聴く作品
やっぱり、モリコーネは素晴らしい。もう世界は、この人の新作のメロディを聴くことができないのが悲しいです。お話しは、数奇なピアニストの物語です。船の乗客のイメージから様々な曲が即興で紡ぎ出されるのが面白く、船窓越しに一目惚れした女性への感情をピアノ曲で表現するあたりは、とてもロマンチックです。とは言え、客船が舞台の割には、空間も登場人物も非常に限定的で、映画作品としての奥行きも広がりもないように感じました。主人公の扱い方も作り話っぽく、イマイチ共感しにくかったです。部分的にはいい所もあるんだけど、あの名作『ニューシネマ・パラダイス』の監督、音楽のコンビだったので、私的ハードルが高くなってたかも。
井の中の蛙、大陸を知らず
船上編「汚れなき悪戯」
「ひとりの捨て子が、素敵なおじさんたちに拾われて、うんと可愛がられて、そして死んでいく」。
マルセリーノ。そしてこの1900。
貧しい、定められた境遇に生きる船員と修道士たちに与えられた、
この幼子は神からのギフトだ。
今作「海の上のピアニスト」は、物語の展開的には1900の成長後に重点が置かれているけれど、冒頭描かれていた「船員たちと幼子が一緒に暮らした船倉でのシーン」が、心に深く残る。
つまり、世から隔絶された海の上の、船の中の、そのまた隠された窓のない船倉での、彼らの共生のシーン。
「船」を舞台にした数々の名画は、その不安定性と閉所性のゆえに、なにか独特の物語世界が醸されていて、
だから実に面白い。
170分のイタリア版、これ観てみたいです。
イタリア映画って、人々がささやかに暮らして、そして少しだけ幸せになったのに 破壊で終わるの。
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僕は何度か台風の客船を体験しています。
下船したあと四つん這いになって、ペタペタと港のコンクリの地面を叩いて確かめる「動かぬ大地」の、どれだけ頼もしく、嬉しく思えたことか!
そしてあの「眼振」って、実験・再現出来るんですよ、ぐるぐる回って目を回した人の眼を覗きこんで見て下さいね。
不朽の名作
「自由」の定義
お金はある程度ある。仕事を変えてもいいし、何なら家族を捨てて世界中どこへでも行ける。
私たちは「自由」の世界に生きている。
でも誰も人生を変えようとしない。その先が良くなるか、悪くなるか、やってみないと分からないのに。
人は真っ白な未来に無限の選択肢を与えられると、どうしたらいいのか全く身動きが取れなくなってしまうのは何とも皮肉なこと。
四角切り取られたcanvasや88鍵の銀盤のように、あえて制約下におかれることで人は無限の力を発揮する。
1900はなぜ船を降りなかったのか。
彼の話を聞いてもまだ納得できないこともあるが、船の上は彼の人生すべて。彼の無限のイマジネーションは地平の彼方と天空の先まで駆け抜ける。
生前に日本の外に一歩も出ることはなかった坂本龍馬は、世界のなかでの日本という存在を頭の中で理解できていたらしい。
自分の目でみえる「世界」だけがすべてではない。
作品の細かい点はツッコミどころはあるが、そこは目をつぶって作品のファンタジーをめいっぱい楽しみたい。音楽はどんなに優秀なプレゼンテーターよりも能弁だということをあらためて教えてくれる。
廃墟好きの自分としては、用済みになった客船の姿が往年の華やかなりし頃をフラッシュバックさせるような佇まいを静かにみせてくれる。
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