劇場公開日 1999年12月18日

海の上のピアニスト : 映画評論・批評

1999年12月15日更新

1999年12月18日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

ティム・ロスの弾きざまにうっとり、“泣かせの巨匠”十八番のドラマ

ニュー・シネマ・パラダイス」の成功以来、J・トルナトーレ監督は、E・モリコーネという作曲家の名前と固く結びついています。いわばトルナトーレという人の映画への立ち位 置は、マカロニウェスタン以来の“巨匠”に学んだと言っても過言ではないでしょう。誰もが共感できる“よい物語”に素直に寄り添うこと。てらいなく予定調和を歌い上げること。“煽り”の大好きな作曲家は、上手にストーリーを話し、客に受けたい若者のステップアップを喜んでサポートしてきたわけです。そしてその到達点とも言える大作「海の上のピアニスト」が完成しました。大西洋を往復する巨大な豪華客船の中で生まれ、生涯その船を下りなかった、ある天才ピアニストの物語。こう記すと、壮大でなかなか深味のある筋立てですが、残念ながらフィルムに接してもそれ以上の細部には決して出会えないでしょう。人生論もどきの平板なタワゴトが、スキのないセットで繰り返されるだけ。「上手に着飾っているのにどうしようもなく退屈な青年」と言えばいいのでしょうか。ああ、でもティム・ロスは違うんです。天才ピアニストのイノセンスや諦念やらを演じつつも、どこか“心ここにあらず”の振る舞いはさすが。森雅之を思わせるボーッと疲れた顔がこの作品の救いです。

(日下部行洋)

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