海の上のピアニストのレビュー・感想・評価
全58件中、1~20件目を表示
リアルなファンタジー
大好きな作品、久しぶりに観ました。20世紀初頭の雰囲気からしていいですね。豪華客船とエンニオ・モリコーネさんのジャジーな音楽だけで十分に至福の時間でした。でも、一番印象的なのは、1900(ティム・ロス)とマックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)の深い友情ですね。海が荒れたときにピアノを演奏しながら船内を動き回るシーンのなんと幻想的で美しいことか!あり得ないような話なのに、何故かリアルに感じてしまいました。主は回想シーンですが、楽器屋の店主に語るという現在パートの幻のレコードやトランペットのくだりがなかなかいいですね。
船で生まれ、一度も船から降りたことのないピアニスト。 一度は降りる...
船で生まれ、一度も船から降りたことのないピアニスト。
一度は降りる決意をしたものの、無限の外の世界が怖かった。ピアノのさえあればどこでも無限に奏でられるんじゃないかと思うけど、人生の全てを船の中で育って生きた彼だからこその価値観。だからこそ生まれる無限のピアノのなんだなぁと。
ラストは友人マックスと同じくらい無力な気持ちになって切ない。
嵐で揺れる船の中でピアノを奏でるシーンは素敵でした。
13年前の感想
移民船に置き去りにされた赤ん坊が、
船の上で成長していく過程をトランペット吹きのデブ男の語りで進む。
赤ん坊は、1900年に生まれたから名を1900(ナインティーンハンドレット)とする。
ある日、赤ん坊が大きくなり、一人で歩けるようになると、
船内にあるピアノに興味を持つ。そこでプロをも驚く演奏で、
皆が驚愕し、1900の才能が開花する。
一番好きなシーンは、夜、ピアノを弾くところで荒波で
船が揺れているにも関わらず楽しそうに弾く。
一種のショーを見ているかの様にとても輝いている。
あと、自分の曲をレコードに録音するときに、
目の前にいた女性に一目惚れし、自分の感情をピアノで
表現しているところはすごい。見ていても1900が恋をしているのがわかる。
ストーリーの完成度が高すぎて非の打ち所がない。ラストシーンの感動は...
ストーリーの完成度が高すぎて非の打ち所がない。ラストシーンの感動は忘れることができない。海の上で生涯を過ごすというのは全く想像もつかないからこそ難しいテーマだと思うが、見事にまとめきっている。
ピアノの上に置き去りにされていたのはもうその運命だったとしか思えない。自分の才能に胡座をかくこともなく、ひたすら音楽を楽しむ姿勢には学ぶことも多くあり、ジャズの創始者とのピアノ決闘ではまるで連弾しているかのような表現と表情を交互に映し出すこと、さらにその音楽に圧倒された。
最後は船が家の1900にとって、一緒に人生を降りる覚悟はずっと決めていたことのようにも見えた。本人にはそんな気なくても伝説的な人物。
映画館で見てよかった
もともとエンニオ・モリコーネが好きなため音楽自体はよく聴いていました。
ジュゼッペ・トルナトーレ作品はラスト、現実的な描写が多いという勝手なイメージがありますが、この映画は劇的な(ドラマチックな?)描かれ方だったと思います。
何回も聴いていたはずのエンニオ・モリコーネの音楽も映画館で映画と一緒見ると全く受け取り方が変わるんですね、最初のアメリカを見つけたシーンの壮大さ、乗客の希望、興奮、大きな画面で見ると熱が伝わってきました。
ご都合主義とか非現実的というのは意見のひとつとしてあるかもしれませんが、このような誰かの人生のロマンを追体験できるのは幸せなことでした。
そしてラストの爆発シーン、あのシンプルな爆発はジュゼッペ・トルナトーレらしさを感じました。
個人的にジャズが好きでピアノをよく弾くためどハマりしたという部分もあるかと思います。
自由について
最後のマックスに胸が詰まりました。
自分だったらどうするか考えたり...。
最初の船酔いから助ける場面大好きです。
"何かいい物語があって語る相手がいる限り、人生捨てたもんじゃない"
"問題は目に映ったものではなく、映らなかったものだ"
失笑もの
面識の無い女性の寝込みを襲う気持ちの悪い中年ピアニストが主人公。廃船になって荒れ果てて港に打ち捨てられてるのにいるのに、頑なに船を降りなかったって。食料も無く電気水道の止まった船でどうやって生き延びたのか。出て来た時は洗い立てみたいな服着てるし、髪も髭も整ってて無理があるでしょ。
嵐で揺れる船床を障害物を避けて滑るピアノで演奏するとか過剰な演出が辛い。
船を降りなかったってだけで何も展開の無いストーリーだから、語り部の目を左右に揺らす過剰な演技と、めちゃくちゃしつこいバン(絵が落ちた表現=突然の出来事らしい)しか後に残らない映画でした。
肝心のピアノも早弾きなだけでそんなに上手くは無いし、感動ものではなく冗長なコメディだと思う。
小刻みに揺れる黒目。
あらゆる障害や誘惑を乗り越えて、閉所に閉じ籠るツマラナイはずの話しで撮る。
これにトライをして案の定ツマラナかった一本。
ティム・ロスの指芸は、真田広之の積み込みに似てスリリングではあるが。
助演のポチャ男の小刻みに揺れる黒目だけが印象的。
なんじゃこりゃ。
伝説のピアニスト
音楽・映像・ストーリーどれもが素晴らしいです。
音楽はどの場面のものも好きです。曲の種類もジャズやワルツやバラード、壮大なオーケストラ風のものまで幅広く、そのどれもがそれぞれの場面にぴったり合っていて心に残っています。特に好きなのが、ナインティーンハンドレット(以降1900)とマックスが嵐の夜に2人で波に揺れながらピアノにのる場面のワルツです。(サントラに入ってなかったのがとても残念です。) 船上で会った少女を想いながら弾く曲も心に染みます。
映像も幻想的でとても美しいです。豪華客船の煌めきとか、そこから眺める海の白波とか一場面一場面をこだわって作られているのが伝わってきます。
主人公の1900自身も魅力的です。見た目は大人だけど、中身は純粋な少年のようであり、それでいて人智を超え、誰もが魅了する音楽を紡ぎ出す。つかみ所の無い不思議なオーラを持った1900を見事に演じきったティムロスの演技も素晴らしいです。
原作も読んだのですが、私にはいまいちピンときませんでした。ですが、その原作からこの映画を創り上げたトルナトーレ監督のイマジネーションと創造力には脱帽です。
好きな場面は色々ありますが、ジャズ対決シーンは圧巻です。音楽ももちろん素晴らしいのですが、「煙草」で両者の心境が表現されているのが面白いです。対決を申し込んだジェリーロールモートンは初めは余裕綽々であり、煙草の灰が全く落ちないという所からもその心境が窺えます。しかし、最後の曲で自身の敗北が明らかになると、煙草の灰がホロリと落ちてピカピカに磨かれた靴に降りかかる。ジェリーロールモートンの渾身の最後の一曲に対する1900の煙草返し(?)の演出は笑えたし、スカッとしました。
初めてこの映画を観た頃はラストが悲しくてモヤモヤしました。しかし、20年以上経った今観ると、これ以外のラストは考えられないなと思っています。上手く言葉で表現できませんが、1900がマックスと一緒に陸で楽しくピアノを弾くラストってなんとなく違うなという気がします。
「陸(=無限に続く鍵盤)のピアノは自分には弾けない。ピアノの鍵盤は88と決まっていて、そこ(=海の上)から生み出される音楽は無限だ、そこが好きだ。」という1900の言葉は好きですが、それが彼が死を選ぶ理由になるのかは今もわかりません。が、マックスが辛い決断をしたのは、1900の気持ちを真に理解したからこそなのだという事はわかるような気がします。
船を下りなかった男
一生を船上でピアノを弾いて暮らした男の映画
下りなかった、、、船と心中した、、、
そして最後まで見届けたトランペッター
キャスターのロックを外したピアノを弾きながら
波に任せて揺れる船上のホールで
フィギュアスケートさながらのシーンが最高!
名作
劇場で観て良かったと思う名作でした。
ジャズもかっこよかったし
女性のファッションも素敵でした。
廃墟になった船と豪華客船だった頃の対比もよかった。
1900が感じる
無限で落ち着く先の分からない陸に
生きている私たちは
そこで生きているだけで頑張ってるんだなと
1900に逆に教えられ
そんな自分たちのことが愛おしく感じられました。
音楽が沁みてくる
ニューシネマパラダイスと同じ監督だからなのか、音楽がすごく印象的でした。なんだか、沁みた。心が洗われるような。主人公の浮世離れしたかんじが、なんだか存在していないような、幻みたいに思えて、それが儚くて、美しいなと思いました。
涙無しには…
約20年前には映画館で観ることができずDVDで我慢していたのですが、遂に映画館で鑑賞することができました。DVDは10回ほどは観てましたが映画館で観ると涙が出る場面がDVDより増えていることに気付きより深い感動を覚えました。後世に語り継ぎたい名画だと思います。
【人が人であること】
久しぶりに観て、懐かしさの他に「幸福のラザロ」にも通じる感覚を覚える。
世の中は便利になる一方だし、情報の量も、取捨選択するのが大変なほど莫大だ。
だが、実は個人の自由で豊かな想像力の入り込む余地は少なくなり、窮屈になって、閉塞感さえ感じられらる。
それだけじゃなく、ネットの中は繋がるどころか、罵詈雑言が飛び交い、攻撃的な空間が存在したりする。
地上に降り立ったことのない1900は、摩天楼の街並みに違和感を覚える。
航海の度に出会った人々の数は、実は大変な多さで、それぞれに様々なドラマや人生があったのだ。
そして、1900の人生も出会いという意味では、地上に生活する人達と。何ら劣ったところはなかったはずだ。
人が、それぞれ人らしくあることに、住む場所や育った場所が、絶対的な影響力を持つとは信じたくない。
周りの人間の言うことに正しいところがあるかもしれない。
でも、自分の声にも耳を傾けることも大切だ。
それは、分かってはいる。
しかし、ラザロが現代社会に存在する意味を見出すことなく去ってしまったように、1900の運命も切なく悲しい。
ぎすぎすした現代には寓話は不要なのだろうか?
寓話的なストーリーの主人公は消えるしかないのだろうか?
改めて、この作品を観て、いや、そんなことはないのだと感じた。
ラザロも1900も、実は、僕達の心の中に住んでいるはずだ。
ジーンと感動
特に涙があふれてという感じではないけれど、ジーンと心に重く響いた。
人生は自分の手で終わりにするのも、それはしょうがないのかと…
これからの人生をどうしたらいいのか、考えてる大人に是非ささる映画です。
それにしても音楽が最高に良かった。
当時もそうだったんじゃないかと思うが今見ると厳しいよ
一瞬にしてスリラーになって本当に怖かった。当時見た人は気にならなかったのか?よくあのシナリオ通ったな。
切なさの残る作品・・・全編を通して楽曲が美しい
当時のニューヨークへ向かう人々の熱気が印象的に描かれていました。
主人公とトランペット奏者マックスとの出会い( 揺れる豪華客船のホールで、グランドピアノを演奏するシーンは、かなりインパクトがありました 。 )と友情、才能溢れる即興演奏、ある日淡い恋心を抱く女性が現れますが・・・。
豪華客船と運命を共にした主人公の生き様が切なかった。
エンドロールで流れた弦楽器の旋律がいい。
映画館での鑑賞
問題は、見えることより見えないこと。
この話は、現代の寓話だという。
昨年対比をもとに
もっと もっと もっと
企業は、もっと もっとを求め、
終わりなき拡大を続けようとする。
そこに何を求めているんだろう。
彼は、2000人だったら、全て把握できる。
でも、それ以上になったら、自分の手には負えない。と言っていた。
この言葉こそが、答えなんだと思う。
自分の手に負える範囲で生きていくことこそが、無限の可能性を引き出せるということ。
今の時代に観るべき、1本だと思う。
現実的であり、ファンタジー的でもある。
4Kデジタル修復版を鑑賞。
監督、ジュゼッペ・トルナトーレ。作曲、エンニオ・モリコーネ。名作「ニュー・シネマ・パラダイス」のコンビですが、このふたりが組むと何故こうも美しい作品が生まれるのでしょうか…。流麗な映像に、魅惑的な音楽が合わさって、唯一無二の魅力が醸し出される…。思わずうっとりとして、否応無しに感動のスイッチがONになってしまう…(笑)
現実的でありながら、ファンタジー的でもある…。不思議な作風だなと思いました。1900の存在を知るのはマックスしかいない…。しかしマックスは常に目が泳いでいて、話の信憑性が薄れてしまう…。どう捉えたらいいんだろう…?
船の上で育ったからこそ、陸を知っている人間とは違う視点で物事を見つめ、感じることが出来たんだろうなぁ、と思いました。だからこそ、誰も聴いたことの無い楽曲を奏でることが出来たのだろうし、最後の決断に繋がっていったのかも…。
※リライト(2020/09/01)
「曲名は?」「知らない」
このやりとりがたまらない!正しくjazz improvisation ですね。ドキドキさせるほどのインプロビゼーションには唸らされます。全く音楽教育を受けてない(想像)にも関わらず天才的な旋律を奏でるのは、音楽家の湧き出るまでの心を感じさせます。JAZZ対決もスリル満点でした。でも、どうやって判定してるのかはわかりません。対決の最後に速いクロマチックのスケールライクな演奏は、聴衆の心に訴えるというよりテクニックと勢いだけという感じでしたけど、タバコに火が点くほど熱い運指でした。
魚屋の娘に対する恋心と一度セッションした父親への思い。1900の葛藤と陸に降り立とうとする気持ちが絶妙で、その後の彼の言う「神の領域」が唐突ではあるけど、まさしく無限に広がるという神の言葉でした。88鍵がよこにすると∞になる瞬間だ・・・
結局、船を降りることが出来ない1900なのですが、気持ちは伝わりますし、実際に地上に立ってしまったら普通の人に成り下がるような気もします。それでも一緒にバンドを組もうと言うトランペッター・マックスの友情に乾杯!
もし陸に降り立ち、少女の元へと行ったのなら、無限が無限でなくなり、平凡なピアニストになったかもしれません。色んな想像ができてしまう味わい深い作品でした。それにしてもマックスの眼球が泳ぎすぎ、ホラ話と言われても違和感がないほどでした。
全58件中、1~20件目を表示