劇場公開日 2020年8月21日

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「無限の鍵盤」海の上のピアニスト MARさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無限の鍵盤

2020年8月23日
PCから投稿

悲しい

客船の上に置き去りにされていた赤子が、一度も陸に降りたことのないまま天才ピアニストとして育ち、幾多の出来事の末、遂に船を降りることを決心するが…といったストーリー。

1900と名付けられた男と、本作のもう一人の主人公とも呼べるトランペット奏者のマックスが船上で出逢い、物語の本筋が始まっていく。

ストーリーは勿論、随所で聴けるピアノの旋律が素晴らしい。
映画の中の出来事とは言え、ピアノ対決での演奏はかなり興奮してしまった。

また、今は見る影もなくなった船と、華々しかったときとの対比がとても切ない。
誰もがマックスの話を有り得ないと決めつける中、それでも1900が絶対に…と信じて疑わなかったマックス。

最後の二人の会話のシーンはググっときましたね。

マックスをはじめとする、船上で出逢う数々の人物と1900との会話の中に、この物語の結末に至るヒントが散りばめられていたように思う。

ホンモノの芸術家って、固いというか難しいというか、そういう一面があったりするものだけど、彼が何を思い浮かべて天才的な旋律を奏でたのかを思い返せば、成程そうするしかないのかと、ちょっと気持ちがわかったり。
寧ろ彼には、陸の声が聞こえたのかな。

その他、序盤と終盤のマックスの楽器屋での出来事も切なくって良かったし、彼の今後の物語も気になりますね。
本筋ではないけど、欲を言えばお父さん(実父じゃないけど)との話ももっと濃密に見たかったかな。ここだけでも一本映画が作れるのでは(笑)?

何故か誰も起きなかったり、おしりの摩擦が強すぎたり、キレイなままの服装とか、意外とツッコミどころが多かったけど、生涯海の上だけで過ごしたピアニストの生き様や、強い友情の物語が観れてとても素晴らしかった。

惜しむらくは、音楽モノだから敢えてやっているのか、或いは行った劇場がたまたまそうなっているのかわからないけど、普段と比べて明らかに音量が大きく、正直かなりうるさいと感じてしまい…。

もうちょっと集中して観れたらより高得点だったかも。

MAR