「陸に住む私たち」海の上のピアニスト グダールさんの映画レビュー(感想・評価)
陸に住む私たち
この上ない現代へのアンチテーゼ。
海の上でしか生きられないピアニストは、現代社会を俯瞰することができた。
限りないビルの高さ、限りない道の本数、限りない金、限りない女、そして限りない戦場。
すべて海の上から音楽を通して、見てしまったのだろう。
そうなったら怖くて陸には降りれない。この映画のピアニストのようにすべてを見てしまったら。。
ピアニストの親友の船酔いの後遺症の残った揺れる目は、現代の私たちの目と同じだ。
限りない選択肢に将来を迷う目、限りない欲望に惑わされる目。
それに対して、ピアニストの目はただ一点を見つめる。
迷わない。人生はピアノだ。
陸に暮らす私もただ一点を見つめていたい。何事にも惑わされず限りある鍵盤の上で無限に生きたい。
限りない鍵盤の上で惑わされて生きるのは嫌だ。
そんな声が爆発する船から聞こえた。
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