善き人のためのソナタのレビュー・感想・評価
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夜中に一人でじっくり観たい名作
夜中にひとりでじっくり…とは言ったものの、
実は最初に見始めたときは前半で眠気に負けてしまいました。
全体を通して冷戦最中だった旧東ドイツの暗い色調で淡々と進むストーリー。
序盤での掴み所もポイントというポイントが少なく、入り込めるまでには多少時間が掛かる印象です。(疲れて帰った真夜中だったのもありますが…)
数日後の昼間に改めて観始めると、今度はしっかりと入り込んで観ることができ、
タイトルでもあり、物語のポイントとなる中盤の「善き人のためのソナタ」辺りからはすっかり主人公に感情移入。序盤~中盤~ラストへの主人公の表情の変化に共感を覚えます。
特に衝撃のシーンからラストに至る終盤ではここでの評価の高さにも納得。
最後の1シーンは素直にいいシーンだなーと自然にニッコリ顔になっていました。
エンターテイメント好きには退屈なのかも知れない作品ですが
個人的にこういうシリアスな題材を基にした人間ドラマが好物なので、見事ストライクです。
幼い頃の記憶にあるベルリンの壁崩壊のニュース。
その裏には数え切れないドラマがあったんだろうなーと、当時は全く意識せずに同じ世の中に生きたいた事を少し考えさせられました。
※他サイトより転載(投稿日:2008/01/26)
人が作る共産主義国家の限界
最後のさりげなさがいいですね
イタリアの名匠ヴィスコンティによる「ルードヴィヒ」は、音楽で人生をダメした人物を描きましたが、この映画の場合は、音楽によって人が「善き人」に変わります。ただし、「善き人」=「幸せ」に必ずしも繋がらないのがこの映画のミソ。そして、とてもヨーロッパ映画らしい。
共産主義体制下の国家保安官なんて主人公ですから、イメージとおりほとんど表情を崩さない。しかし、音楽をとおしてその見えない心に繊細な変化が生じる過程がさりげなく描かれていきます。そして、それがとんでもない行動へとつながっていく。
一回しか見てないのですが、その行動までの伏線がいささか弱く感じたぶん、説得力に欠けるのが、この作品の強いて言うならばの欠点。でも、全体を通して重心の低い良質の作品だと思いますよ。見終わった後、心が満たされます。
ドイツの名優、Ulrich Müheの遺作
この映画はドイツの映画で2006年ドイツで公開され、アカデミー賞でVolverとPan's Labyrinthを押しのけ最優秀外国語映画賞を受賞しました。(僕の中ではPan'sに勝つなんて思っていませんでした。)
どんな映画なんだろうと興味津々だったわけです。今週末、隣のラボのポーランドからの移民のA君が「実はポーランドもこの映画と同じ状況だったので、非常に見たい」ということで一緒に見に行ってきました。
内容はベルリンの壁崩壊前の東ドイツにて、国民が西ドイツ寄りに傾いていないかを監視する、政府機関のウィースラーという冷酷非道な主人公が、ある劇作家の部屋を盗聴しているうちに・・・という映画です。このウィースラー役の俳優Ulrich Mühe素晴らしいです。(ファニーゲームのオリジナルもこの方が主演。この映画が遺作に・・・)アメリカの映画だったら間違いなく、主演男優賞です。いや、まじで。一度見てください。本当にいい映画です。ストーリー、シナリオ、俳優たちの演技、撮影から編集まで、本当に素晴らしい映画です。最近のアメリカ映画の、ゲームのようなバイオレンスに飽きてきたところで、非常にいい映画に出会えました。
ちなみにこの映画のタイトルは直訳するとドイツ語でも英語でも「他人の生活」です。実際盗聴する映画なので間違いではないのですが、風情もへったくれもありません。今回、邦題の勝ちです。「善き人のためのソナタ」。これは劇中に出てくる曲のタイトルで、非常に重要なキーワードになっています。邦題つけた人偉いよ!
暗い。けど何となくいい感じ。
すばらしい。心に残る一本!
30代前半の才人監督
監督のフローリアン・ヘンケル~(以下略 本名はこれでもカットしているようで。長え名前!)の齢は30代の前半。ぶっちゃけ私と同い年であるが、同世代の人という感情が欠片も持てないほど深い知性と洞察力を以て脚本を書き、抑制された重みのある演出を見せる。長きに渡り活躍が見込める才人だ。
惜しむらくは、主人公(U.ミューエ、ご冥福を祈る)が『善き人のためのソナタ』で変わるシーンがあまりに唐突な感があること。映画のキーとなるシーンなので、その違和感がかなり惜しい。
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