「会わずして」善き人のためのソナタ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
会わずして
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大好きな作品で十数年ぶりに再鑑賞しました。
全体主義国家、監視社会であっても、国家は人々の気持ちまでを機械化することはできないのです。なぜなら、人間には他者の心を感じる力があるから。
社会主義国家の中で秘密警察として粛々と反体制派の監視をこなし、変わり映えのしない日常を淡々と送るヴィースラー大尉の心を動かしたもの。それが、芸術であり劇作家ドライマンと女優クリスタのパッションだったのだと思います。人の心が動くことに理屈はないんですよね。
ヴィースラー大尉とドライマンはお互い一度も会ったことはありませんが、最終的に心を通わせました。ドライマンが小説に込めたことがヴィースラー大尉に届いたラスト。例え会ったことがなくても、人を助けることができる。例え会ったことがなくても、私は誰かに助けられている。人間って素晴らしいし映画って素晴らしいと思わされた瞬間です。
人はパンのみでも生きていけますが、パンだけでは人生に喜びを感じることはできないんですね。だから、芸術や小説が生まれたのではないでしょうか。
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