「ドキュメンタル色が強め」ユナイテッド93 Croさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタル色が強め
最初に断っておくと、どんなに内容がよくても"映画として"の評価を基準としているのであしからず。そういう意味で個人的な評価は高いけど星3.5止まり、といったレビューは結構多く投稿している。
この映画も同様で、まさに胸がしめつけられるような、その場にいるような臨場感や深く考えさせられるような内容で映像としてのクオリティはとても高い。9.11をリアルタイムで追っているような、ドキュメンタリーのような映画。最後の10〜15分ほどがこの映画の本編で、それまではジェットコースターで上がっていく段階のような……語弊を恐れず言うと退屈感がある。この退屈で鬱屈した時間からジェットコースターのように一気に駆け抜けるようなカタルシスを感じる構成の映画が一番好きなのだが、この退屈部分にもう少しドラマがあればなぁ……とも思うのだ。
良くも悪くもリアルなドキュメンタリーの域をでず、映画ならではという観点で見るとイマイチ。アンビリーバボーとか世界仰天ニュースの神回、みたいな感覚。この退屈で厳かな時間に、映画ならではの時間の流れをどれだけ表現できるかが名作との分かれ道だと思っているので、内容としては100点だけど映画の魅せ方としてはそこまでではない。
星3.5とした理由にはまだあって、そもそもの乗員たちが抵抗した、という事実自体は不明瞭な点。その可能性は高い、とした上で確定した事実ではないのである種"その可能性を題材にした"映画なので、そこを題材にしている以上リアリティは必要最低限にしてドラマ性がもっとあってもよかった気がする。でもまぁ、このあくまでもドキュメンタリーな色を通しているからこそこの映画の良さが輝くようにも思えるのでこの形が一番にも思う。思うけど、どうしても個人的な映画の基準にそぐわない。
ただ内容はほんとに素晴らしい。色々と考えさせられる。見て損はない。