劇場公開日 2006年8月12日

ユナイテッド93 : 映画評論・批評

2006年8月1日更新

2006年8月12日よりみゆき座ほかにてロードショー

“英雄”として描くことを避ける姿勢が素晴らしい

2001年9月11日の朝にアメリカ東海岸でハイジャックされた4機のなかでただ1機、標的に到達することなく墜落したユナイテッド93便の悲劇的なフライトを再現する。あの朝、何が起きたのか? 本作を見る限り、当日、現在進行形で推移する事件を正確に把握できた者はほぼ皆無だったとわかる。いつものようにその日を迎えた東海岸の各管制センターはみるみる管制不能に陥り、旅客機は次々とレーダーから姿を消していく……。

ユナイテッド93便の乗員乗客こそ、“9・11以降の世界”を最初に生きた人々であると映画の作り手は言う。つまり、彼らは携帯電話などで何が起こっていたかを敏速に把握し、その結果、“反テロ”的な行動を起こした最初の人々であった……と。ただし、この映画の素晴らしさは、そんな彼らを“英雄”として描くことを微妙に回避する姿勢にあると思う。逆にいえば、実行犯を狂信的な“テロリスト”として描くわけでもない。ドキュメンタリー映画のようにカメラが揺れ動き、管制センターなどと機内の状況が慌しく接合される本作を見てると、彼ら双方が事態の推移に翻弄され、勇敢ではあるが運命に身を任せるほかなかった存在に思えてくる。そして僕らは改めて問いたくなるのだ。いったいなぜあのような事件が起きなければならなかったのか?

(北小路隆志)

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