スワロウテイルのレビュー・感想・評価
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莫名其妙。
非現実的な世界が秀逸な哀愁に満ちた映画
昨日15年ぶりくらいでしょうか?DVDでみました。
148分ってずいぶん長いけど飽きないかなぁ…と心配でしたが、まったく飽きることなく、岩井ワールドにまんまと引き込まれました。
「Once Upon a Time~」からの工場地帯や風景の撮り方のファンタジー感が秀逸で、まずそこで世界に引き込まれ、その後のアゲハのお母さんの遺体をイェンタウンの人々で引き取るシーンの異様さが非常に目を引きました。
話は大枠、前半後半にわかれているのでしょうか。
前半はイェンタウンの人々がバブルがはじけた後でも、円を稼ぐことを夢見て、詐欺まがいのことから体を売って金を稼いでいく中にアゲハがほおり込まれグリコと一緒になり、事件に巻き込まれることでさまざまなストーリーが生まれていく。
グリコを買いに来た男を誤って転落しさせてしまい死体を埋めにいったことで、1万円の磁気データの入ったテープを発見し、それを元に、大金を手にする。始まり方の陰鬱さから、金を手に入れたくらいのシーンのはかないながらも楽しい雰囲気のシーンは何か心がほっとする感じすら覚えました。
後半はフェイフォンがYEN TOWN CLUBをつくり、そこでグリコをスター歌手に押し上げていくところから始まります。
お金を手にした、フェイフォン、グリコ、アゲハは3人で更なる成功を夢見て、クラブを立ち上げるわけですが、その不思議な家族感というのもとてもほほえましく、なんだかほっとしました。
ただ、グリコがスターになることで、3人はグリコを取り巻く環境に翻弄され散り散りに…。愛し合っていた?フェイフォンとグリコは引き離され、アゲハは少年ギャングを頼りに偽札で更なる大金を作り3人で作り上げた幸せを取り戻そうとするのですが…。アゲハが少年ギャングを組織して、金を集めるシーンはまさに圧巻で、何かを成し遂げるのではないかという期待感すら出るくらいの高揚感がとてもよかったですが…。
彼らが大金を手にする元となったテープをめぐり、グリコは追われ、フェイフォンは捕まり殺されてしまい。すべてを失ってしまう。
フェイフォンの遺体を焼くシーンでアゲハは自分でつくった大金をフェイフォンの遺体とともにすべて焼き払ってしまう。
自らの生い立ちに翻弄されながら、一度は現実となった一攫千金…円が虚構でしかないと思い知ったのでしょうか?
とても悲しさに満ちたシーンでした。
どん底の生活から抜け出し、幸せになるためにお金を稼いだわけですが、そのお金では買えない幸せがあり、さらなる幸せを望んだがゆえに、すべてを失ってしまう…そんな悲しい現実をまざまざと見せ付けられた気がしました。
救いのない映画ともいえますが、悲しさ、愛情、そしてお金に執着する人間のサガ…いろんなことを思える、そんな映画です。
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