ザ・セル : 映画評論・批評
2001年3月15日更新
2001年3月24日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー
殺人鬼の頭の中はかくも美しく、おぞましい
ヒロインのジェニファー・ロペスが先ほど来日したが、なんか印象が映画の濃さはなく薄く美しくなったような気がした。目をすこし変えたかな、と思ったが化粧法の差かも。ロペスもアナコンダと格闘したりこれまで、いろいろご苦労様だが、今回は連続猟奇殺人犯の脳神経と接続、恐怖の夢世界を体験することに。殺人鬼のアタマのなかはどうなっているのか?
それはこれまでの女性犠牲者を趣向を凝らして陳列し、自分が王として君臨して いるトンデモなくあぶない死の王国だった。猿の惑星のほうがまだましかも、というぐらいだ。ただ、妙に美しい。
監督のターセムはこれがデビュー作だが、ミュージック・ビデオ出だけあってメリハリのきかせかたがさすがにうまい。あとからよみがえってくる不吉で奇妙なショットも大量に投入されていてこれがデミアン・ハースト以降90年代に花開いたアートの流用なのだ。ツイン・ピークスのローラに似た水死体も登場。
お楽しみどころ満載である。
(滝本誠)