「お伽話そのもの、でもいいじゃないか、幸せな気分になれるのならば!」素晴らしき哉、人生! Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
お伽話そのもの、でもいいじゃないか、幸せな気分になれるのならば!
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まず素晴らしい脚本だ。主人公のジャームズ・スチュアートが自分なんか生まれてなければ良かったのだと天使に訴えたら、自分がいなかった世界を体験させられる。その世界では、自分がいないせいで、善人だったはずの周りの人間達が皆、酷いことになっていて、性格まで歪んでしまっている。子供時代からも含め過去のエピソードの全てが生きてくる展開は、実に上手い。加えて、その対比を映像で見せつけるフランク・キャプラ演出も、流石の職人芸。
天使が羽根も無く、ただのヒトが良さそうな老人というのも、意外性があってとても良かった。本質的には、き真面目に生きてきた人間が絶望的状況で、神に一心に祈って教えを乞うことで、救われるというピューリタン色満点の物語なのだが、堅苦しさをユーモアで打ち消している。そしてラスト、二級から昇格し翼を得た天使からの、友よ翼を有難うとのメッセージも、とても洒落ていて好感が持てた。
金の亡者でこの町を支配し主人公を手段を選ばず捻り潰そうとするライオネル・バリモア演ずる悪役が、リアリティあってとても良い。この映画での最後の感動も、悪役がしっかりとしていることに一要因があると思う。そして、主人公の住宅金融会社のお得意様である貧乏な町の人々が、なけなしのお金なのにありったけ、主人公が好きで恩義も感じている多くの多くの人々が持ち寄ってくれたせいで、お金が山になる映像!これが、見ている人間の予想を大きく超えていて、感動を呼ぶ。こんなことは勿論ファンタジー、だけど幸せな気分になり、前に進む力が与えられる。見事な作りの清教徒オリジンな国の映画!
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