ストレンジャー・ザン・パラダイスのレビュー・感想・評価
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ニューヨーク・インディーズ‼️
もともとこの作品は「新世界」という30分の短編作品だったらしいです‼️それが映画祭で高く評価され、資金も集まり、「一年後」と「パラダイス」を撮り足し、三部作として完成したのが本作「ストレンジャー・ザン・パラダイス」‼️ギャンブルでその日暮らしの若者が、ハンガリーからやってきた16歳の従妹エヴァの面倒を見ることになる。一年後、友人と組んでいかさまカードギャンブルで大儲け、エヴァとも再会、三人でフロリダで遊び回る・・・‼️特に事件も物語もなく、野心も目的も持たない現代のフリーター志向やニートの若者たちにも通じる彼らを、淡々とスケッチ風に描いているわけですが、テンポも小気味よく、いたるところにユーモアがにじみ出ていてホントに面白い‼️ベタベタしていない、三人のストレンジャーたちの関係がホントに微笑ましくて、一見、ぶっきらぼうだけど、本当は心優しいウィリーが特に魅力的‼️演じるジョン・ルーリーもカッコいいし、エヴァを演じるエスター・バリントもキュートですよね‼️モノクロ、ワンシーンワンカット、それを黒みの画面でつなぐ手法は今観ても斬新でしょう‼️初見は高校生の頃でしたが、ジム・ジャームッシュ監督やヴィム・ベンダースの作品をレンタルビデオをハシゴながら観ていた時期が懐かしいですね‼️
自分にとってのシブヤ系。
きっと大学以来だと思う。
ミニシアターではなく自宅の小さなテレビでVHSテープ。
当時、ジム作品を観てないってヤツはイケてなかった。シブヤ系も同じぐらいチェケラッチョしておかないといけない領域だった。
あれから30年近く経つ。
シブヤ系と同じぐらい自分にとっては新鮮な作品に思えた。モノクロだけど色褪せないというか。
NY→クリーブランド→フロリダと続くロードムービーに、ハプニングを起点にした物語を期待するのは登場人物もきっと同じだろう。
モノクローム、色をつけてくれ
ダルいのに楽しくなってくる
今さらながらジム・ジャームッシュ監督作品が気になりはじめ「ナイト・オン・ザ・プラネット」「パーマネント・バケーション」に続いて本作も鑑賞。
「パーマネント・バケーション」ほどではないにしろやはり相当独特な世界観。
ストーリーとして意味はじゅうぶんわかる。うん、わかるがなぜこれをテーマに映画を撮ったかがよくわからない。
でも、ダルいやり取りの連続は観ていてなぜか楽しくなってきてクセになる。「ワニを窒息させる」なんてわけわからんのに面白くなってくるから不思議だ。
観はじめは、もういいかな…と思うのに、観終えるとあと1作くらいは観てみようかなと思える。やはりだんだん本監督の魅力にとりつかれてきているのか。
ところで、本作をモノクロで撮った意味はどのあたりだろうか?
むずい
公開当時から話題になっていて気になっていましたが、何となく観てませんでした(ロードムービー系はどうにも苦手で…汗;)。モノクロで描かれるのは、摩天楼のニュー・ヨークではない荒廃した街並みだったり、開放的な夏のフロリダではない寒々とした海岸だったりします。主人公たちもどこか鬱屈していて、やり場のない感情を持て余しながら、どこにもない理想を探しあぐねているような閉塞的な雰囲気が感じられました。本作はコメディとジム・ジャームッシュ監督が語っているようですが、そのおかしさを肌で感じるのは、個人的には容易ではありませんでした。ただ、観賞後にいくつかのネタバレ解説を読んで初めてわかり、本作がさりげなく周到に作られている世界観が理解できると、俄然、面白さを感じることができました。楽園よりストレンジャーを生きる、そんな主人公たちの生き様に少し愛を感じました。
オフビートとは
配信サイトのおすすめに上がってきて、昔見て面白かった気はするけどどんなだったかな、と内容を憶えていなかったので久しぶりに見てみた。
野郎2マドンナ1の関係がラストまで深まりそうで深まらず(というか主人公はむしろ大きくすれ違いw)マドンナはひょっとしたら野郎ども以上にたくましいことが暗示される、なんだか痒いところが痒いままで語りが終わるというか、ずっこけるようなラストが、オフビートなのかな⁈ じゃあ、おもしろくないの?と訊かれたら、そんなこともないよ、独特な味わいはあるよ、と答えるかな…。
映像もスタイリッシュ、と当時女性誌で紹介されていた。モノクロ画面(師匠ヴィム・ベンダースにフィルムを貰ったそう)の中で女性の黒いコートがカッコよく目立って、画面を引き締めている感じがした。
私には普通に笑える「ダウンバイロー」のほうが好ましい。^^
今振り返ってみても、ジャームッシュ監督の一貫した作風が実感できる一作
本作は、『ダウン・バイ・ロー』(1986)や『ミステリー・トレイン』(1989)、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)など、いわゆる「ミニシアター系」の映画ファンからの絶大な支持を集め続けているジム・ジャームッシュの、劇場公開長編の初監督作にして、代表作の一つです。
故郷ハンガリーからやってきた親戚のエヴァ(エスター・バリント)を引き受けることになった賭博中毒気味のウィリー(ジョン・ルーリー)、そして彼の友人エディ(リチャード・エドソン)の3人がフロリダへと旅立つ……のが大まかなストーリーです。
賭博好きだが別に強運なわけでもない二人なわけだから、当然十分な資金があるわけでなく、宿泊先も古びた安モーテル。これじゃあエヴァじゃなくても機嫌を損ねるところですが、二人はどこ吹く風。このような展開を見せる物語は、ロードムービーとしても十分面白いんですが、この、心が通っているんだかいないんだかよく分からない関係の描写が、いかにもジャームッシュ監督の作品です。
一見即興的な演技ですが、実は入念な筋立てとリハーサルの裏付けがあるとのことで、演出でこんなとぼけた感じ出してんの?とむしろ感心するほど。
撮影するフィルムが不足していて、無駄な撮影をする余裕がなかったことから編み出した作劇術という点も興味深いです。中盤のあるエピソードは、通常ではかなりありがちな落ちなんですが、本作の雰囲気では笑って受け入れてしまえるところが不思議で、そこから意表を突くラストに至って、急にスピード感がますところも良いです!
人間くさいおかしみを抱えた主人公たちが、心をくすぐる一本
大学4年の秋、のちに妻となる彼女との初デートで鑑賞した作品。37年ぶりで、内容はうろ覚えだったため、新鮮な気持ちで見ることができた。
3人が3人とも、自分勝手さと相手を思う気持ちのアンバランスさを抱えているのだが、それが、なんとも人間くさいおかしみがあって、心をくすぐってくる。
携帯も、ネットもなく、電話は一家に一台で、出かける時は、書き置き必須。それらは、日常生活ではリアルで、かつての自分自身にとっては当たり前だったはずのことなのに、映画を見ているうちに、とても遠い昔の夢をみているような気持ちになった。当時を経験している自分ですらそうなのだから、情報化社会の今にあって、当時とは確実に変わった人間関係が当たり前の人たちにとっては、理解不能な映画かもしれないとも思う。
けれど、決して多くはない登場人物たちの誰もが愛すべき側面を持ち、思わずくすっと笑ってしまうような場面が散りばめられた、やっぱり素敵な映画だった。
「ここは退屈よ」
最初は少し座り心地の良くない椅子に座った感覚。しかし座り方が分かってくると、何とも心地良い椅子に成る。変な喩えをしてしまったが、そんな体験をさせてくれた映画。
アメリカというより東欧の何処かの国といった舞台や衣装。終始だらだらと進むストーリー。おまけに登場人物は上っ面のことしか喋らない。
しかし、ちょっとした仕草や間の取り方、独特なテンポや雰囲気が作る視聴者との絶妙な距離感が心地良い。
居心地の悪さを抱える三人。二人だとバランスが悪いが、三人でいることで何とかバランスを取って非日常へと旅に出る。その中で、自分は何をしているのかとそれぞれに自問したのだろう。一人の脱落を切っ掛けに、そのまま解散となる。
一昔前の映画なら、銀行強盗して銃を撃ちまくりながらパトカーとカーチェイスしそうな設定だが、そんな自分達の閉塞感を発散させるような映画ではない。
暇を持て余していた頃に格好いいと思っていた空気感を思い出しつつ、ラストシーンを見てクスッと笑い、大きく伸びをしてから日常に帰る。
さんざんハンガリー語で捲し立てながら、最後に英語のスラングを吐き捨てるおばさんが良い。
『スクリーミン・ジェイ・ホーキンス』だけて良い。
『スクリーミン・ジェイ・ホーキンス』だけて良い。
フロリダが『パラダイスと言うよりも奇妙な所さ』って訳せば良いのだろう。私自身は、フロリダへは行った事がないが、我が亡き親爺は、ヘミングウェイの夢を追って、キーウエストへ行っている。
親父いわく。『奇妙な場所』と言う話だ。
私は奇妙な理由分からない映画は、基本的に好きではないが、音楽が頭に残ると評価を上げる傾向がある。この映画は正にその映画。初見はどこで見たかも覚えていない。二回目と3回目は吉祥寺で見た。この時は二回目が寝てしまったので、3回目を見に行ったと記憶する。今日は四回目。やっぱり、音楽が良いね。
カッコよかった
確か高校生の時に一度鑑賞していて、約30年ぶりに再鑑賞しました。当時は映画の鑑賞数もたかが知れていたので映画の見方も意味も分からなかったのですが、カッコ良さだけは分かりました。サブカル雑誌でも良く紹介されてましたし。
映画鑑賞もそこそこ重ねてきたこの歳で再鑑賞したら、やはりユニークな作品であり、ユニークな監督だなと。淡々としてますが、どこか非日常的なカメラなんですよね。日常に小さな物語があって、それを切り取って、貼ってみたいな。それに、ワンカットワンカットが画になる。そりゃあ、ポスターもポストカードも売れるわけですね。
アメリカでは移民が混じり合って生活してますが、日本で報道されるアメリカカルチャーはベタなものが多いので、本作の様な作品は貴重だと思います。ニューシネマの様にアンチヒーローを描いてはいませんが、本作はヒーローが不在でありハンガリー人が主役だったので、ある意味ニューシネマっぽくもあり影響受けているのかもしれませんね。もっともニューシネマの影響を受けていない監督はいないとは思いますが。
いとこ
いとこ
ハンガリーからニューヨークの いとこウィリーを頼って転がり込んできたエヴァ。
1年後その従兄妹を探してクリーブランドまで旅をするウィリーのお話し。
+ + +
従兄妹、いますか?
どこに? 何人?
従兄弟・従兄妹って、特別に不思議な関係だと思う。
あれは、僕らに近すぎる親きょうだいでもないし、遠すぎる友達でもない。
ただの親友とかいうのでもないし、もちろん恋人になることなどありえない。
なんだかふわふわした宙ぶらりんな関係。
でも血がつながってるという。
小さい頃、いとことは夏休みに何度か会ってはいても特別な用事=お葬式とか結婚式とか=でなければ滅多に顔を合わせることもないね。
でも、どれだけ遠くにあっても忘れたりすることなど決してない、いとこは独特の存在だ。
なぜなら
どんな親に育てられて、どんなふうに育ってきたのか、そしてたぶんどんなふうにその親に苦労して大きくなってきたのか、僕らは彼らを知っている・・
「同じにおいがする」から。
いとこ同士は、言葉無用で、お互いの境遇を感じ取ってくれる=わかってくれる特別な存在なんだ。
「同じにおいがする」んだよ。
エヴァは髪はくしゃくしゃ。愛想は悪い。変てこなミュージック・テープをかける。気に入らないよね。でも音楽の趣味は違っていても、ずっと気になる存在なんだよ。
目で追う、心で追う、
幸せであってほしいと
いとこの姿を追いかけてしまうのさ。
従兄妹の不遇を救うために人生のかなりの部分を費やして援助しちまったアホな男(=僕のことなんですけど)には、それがよくわかる。
ウィリーは馬鹿な兄貴だ。
でもエヴァは嬉しくって幸せだったのではないだろうか。
短いシーンごとに画面が暗転する、
どこで THE END の文字が出ても違和感なく味わい深い。
これは、どれだけ盛り上がっても不思議ではない各エピソードでも、すべて毎度一旦暗転させながら物語を”賢者タイム“に戻させている。鎮静作用。性愛には発展させない。
監督は映画全体を地味で、しかし滋味あふれる静かなロード・ムービーに仕上げた。
「初めて来たのに同じ景色だ」
「どこかで見たような部屋ね」
ドラマチックでない日常と既視感がこの「いとこの映画」を僕のものにしてくれる。
あと、
ジム・ジャームッシュの配役にはいつも気のいい友だちがついてくる。
そこがまたとてもいいんだ。
やさぐれた余韻がいいんだよ。
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ふと劇中の、
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