スティングのレビュー・感想・評価
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最高の、華麗なる仕事師
有名なテーマ曲に乗せて、幾重にも入り混じった糸が見事に交差していく。まるであやとりのように、思いもよらない場面が、次々目の前にさっと提示されたかと思えば、次には別の形をみせる。
初見では、えっ!どういうこと? えっ!そういうこと? ラストには大喝采を送ってしまう。
そして、二度目には仕込みの巧みさに唸り、
それ以降は、各役者の表情や、場面の作りこみを楽しむ。
家の中で回るメリーゴーランド。
ポーカーのたねは何度見てもわからない(笑)。
「ルーサーのために!」
しくじれば、命だって狙われかねない仕掛けに、皆、嬉々として参加する。
エリー・キッドも頑張る。
なんて大掛かりな仕掛けなんだ。
ルーサーの温かさ。
そのルーサーの紹介で、ゴンドーフの元を訪れるが、あのゴンドーフのありさまに怪訝な表情を隠せないフッカー。けれど、だんだんとゴンドーフを見る目が変わり、だのに、ルーサーの妻と引き換えに苦渋の…。
そんなフッカーの表情が…。20代の設定なのだろうが、まるで少年のようなうぶな瞳が愛おしい。(それでいて、胸毛・腕毛もさもさの”男”なんですが(笑))
そんなフッカーに対して、ゴンドーフの、1歩も2歩も先を見通す眼。
それでいて茶目っ気も振りまく。さすがの大勝負の前は緊張して眠れない様子すら素敵。アンダーウェアにサスペンダー姿まで決まる。
脇を占める仲間は、己の仕事を淡々とこなす。そのアンサンブルが心地よい。
そんな彼らが張り巡らせた蜘蛛の巣にからめとられるロネガン。
二人の男を常に従え、たくさんの手下を使い、大物ぶりを見せてくれ、
大物としてなりあがるにふさわしい警戒もみせ、
仕掛けが成功するかと、はらはら…。
そこを切り返す詐欺師グループの手腕が見事で笑える。
慎重なはずのロネガンが、ゴンドーフに手玉に取られ、けしかけられて、負けず嫌いでプライドの高さをくすぐられ、欲にかられ、ますます深入りしていく…。
そんな駆け引きが面白い。
ロネガンの片腕も印象に残る。
そんな筋に、冒頭の事件がらみの面々が絡み、どこで周到なる計画が、蟻の穴から破城するのか、ドキドキ、はらはら…。(フッカー=ケリーとばれたら一貫の終わりだし)
主要な女性二人もクールで「姐さん」とお呼びしたくなるほど魅力的。
筋だけ知って、観た気になると勿体ない。
軽妙なテーマソングに影響されているのか、遊園地に招かれたような心躍るひと時。
楽しまなければ、損。
(蛇足)
ニューマン氏もレッドフォード氏も、私にとっては往年の名俳優としてひとくくりしていたけれど、11歳の差があるんですね。だから、映画の中ではゴンドーフに比してフッカーが小物(弟子)のように描かれているんですね。知らなかった。
粋でセンス抜群なジョージ・ロイ・ヒル監督の最高傑作
作品数は少ないが安定した演出力と粋なセンスの持ち主ジョージ・ロイ・ヒル監督の最高傑作。「明日に向って撃て」「スローターハウス5」「リトル・ロマンス」「ガープの世界」と多彩なジャンルに秀作ばかりで、大好きな監督の一人。騙して大金をせしめる”スティング”ではフィルダー・クック監督作品「テキサスの五人の仲間」があるが、更に大掛かりな仕掛けと時代背景のセンス抜群な美術・衣装、それに音楽で、最高級のエンターテインメントに仕上げられている。1930年代のノスタルジー作品の中でも、演出の巧さと内容の面白さの絶妙なバランス感覚で傑出した作品。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの名コンビが、背景に溶け込んだ演技を見せて、作品の品位を上げる。特に、憎めない愛嬌の良さを醸し出すニューマンの余裕ある演技が素晴らしく、列車内のロバート・ショウとのポーカー対決場面なんて、こちらもニヤリとしてしまう可笑しさに溢れる。贅沢を言えば、女優陣に印象に残るような美女をキャスティングして欲しかった。作品はアカデミー賞の6部門で受賞したが、個人的にはポール・ニューマンに男優賞が与えられるべきと思った。これ以来、アカデミー賞を信用しなくなった。アカデミー賞で客観性が高いものは、外国語映画賞とスタッフの専門的技術の部門に限られる。
ややインパクト不足かな。。
ほぼほぼ50年前ぐらいの作品なので、現代の作品との単純比較はできないし、この令和時代の感覚だと筋違いかもしれないけど、作品としてのインパクト不足は否めないかなぁ。。
ストーリーはなかなかワクワクしました。ロネガンを罠に嵌めてお金を騙し取るために、真綿で首を締めていくように徐々に徐々に嵌めていく過程がじっくり見れた。詐欺師vsギャングという悪vs悪の構図だったので、気兼ねなくというか、罪悪感、嫌悪感なくストーリーが楽しめました。
そして、代名詞のどんでん返しですが、サリーノの正体、FBIポークの正体など、驚かされたポイントはいくつかあったけど、見せ方があっさりしていたこともあって、「それだけ??」感が。。。例えば、ニセの場外競馬場の存在自体を伏せて、最後のタイミングでイッキにネタバラシとされたら、ものすごく驚いたと思いますね。まあ、そうすると、ギャングを嵌めるプロセスの楽しさが半減しちゃうし、、ムズカシイデス・・。とにかく、どんでん返し作品としては、インパクト不足と感じました。
キャストの方々では、ポール・ニューマン、アイリーン・ブレナンあたりがいい感じで、存在感ありましたね。ロバート・レッドフォードはブラッド・ピットと見紛うほどのカッコよさでした!
騙し騙され。
おうち-196
おしゃれのごちそう。
実家に帰ったら、「『スティング』もやってたから、録画しといた」と母。ほんと神ですか?
というわけで、インディ祭りに挟んでみました。
ちなみに過去2回くらい見ています。
初めてこの映画を観たのは小学生のとき。
もちろん録画なのですが、そのときに印象に残っていたシーンがスパイの女。
当時はこの映画のタイトルすら知らずに見ていたのですが、何年か経って、『ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル』を観た時。
冒頭で、イーサンの仲間のエージェントが、路地裏で女スパイ(レア・セドゥ)にサイレンサー付きのハンドガンで暗殺されるシーンがあって、このシーン、デジャヴだ!と何年か越しに感じました。
幼いながらに初めて「裏切り」を学んだのだと思います。
渋すぎるポール・ニューマンと美しすぎるロバート・レッドフォード(若い頃美しすぎ選手権では、アラン・ドロンといつもいい勝負しています、私の中で)。
どんだけスクリーンに映えるんだろう、この二人。
そして演出に脚本、セットやファッション、音楽、そのすべてがほんとにおしゃれ。
あのテーマ曲をバックに、各チャプターのタイトルが登場人物たちの絵とともに映し出されるのが、絵本のようにクラシカル、かつ粋な演出ですごく好き。
そして何度見ても飽きないストーリー。
何度見ても新鮮だし、さすが!と言ってしまうのはなぜ?
欲を言うなら、公開当時に生きていて見たかった。『オーシャンズ11』など、同じジャンルの映画を見てしまっていたりして目が肥えている分、当時ならもっと楽しめると思う。
リアルタイムで劇場で観た方がうらやましいです。
It's close. もう一捻り欲しかった。
超有名なコンゲーム作品。「午前10時の映画祭」に行こうと思ってたら寝過ごしたのでamazonでレンタルして観賞しました。うーん、現代の視点で言えばもう一捻り欲しかった所ですね。いや、多分公開当時は「おおっ!」ってなったのかも知れませんが、正直今観ると普通ではなかろうか?と思ってしまいます。
往年の名作ってやっぱ不利だと思うんですよ。だってそこから色んな映画が色んなアレンジしてもっと面白い作品作ってしまっているんですし。当時は画期的だったのかも知れませんが観てて「すっげー、騙された」ってなるかと言うとそんな事はなく。
コンゲームというとこれがトリックかも知れないと考えながら観てしまう訳じゃないですか?しかも評判が高ければ高いほどハードルは上がってしまう訳です。そういう視点で観てしまうと最後のドッキリも既に「もしかしたら・・・」って頭の隅で考えてしまってる訳です。で、それ通りにストーリーが進むと評価が高い分「その程度か・・・」とガックリしてしまうんですよね。
若かりし頃のロバート・レッドフォードは間違いなくカッコいいです。ポール・ニューマンも渋いなっと思いました。ただ作品自体が時代を越えて楽しめるか?というと、そこまでではなかったなぁっという感想でした。
文句なしに面白い!!
タイトルだけでは内容がわかりにくいのですが
映画全体はいわゆるコンゲーム!
騙し騙されるやり取りの応酬です。
若い人に解りやすい例としては
今年前半にヒットした「コンフィデンスマンJP」みたいに
大掛かりな仕掛けと絶妙の芝居で
ターゲットを罠に嵌めていく〜
そういうめっちゃ面白い脚本を
超カッコいい若かりし頃のロバート・レッドフォードと
最高に渋いポール・ニューマンが仕掛ける映画!!
それも1930年代の男のスーツ姿がおしゃれでカッコ良い時代!
面白くない訳がない!!
絶対、観ましょう!
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
ポール・ニューマンの
いかさまポーカーのシーンがあまりに有名なので
すっかり賭博場の映画だと思ってました(苦笑)
お恥ずかしい〜〜
ポール・ニューマンといえば私的には「タワーリング・インフェルノ」
しかちゃんと観てなかったので
「スティング」が観られたことは本当に良かった。
コンゲームの仕掛けにあたり、キャストの面接シーンがある。
「イギリス紳士専門だ」なんていう
ちょっとした役のオジさんまで、なりきってて面白い!
本当にいい映画って、ちょっとした役の人まで輝いてるんだよね〜
いい映画観られて良かった!
「午前十時の映画祭」ありがとう!!
@お勧めの鑑賞方法は?
こんな教科書的な映画は劇場で見ておきましょう。
いろんな映画に絶対にオマージュされてます。
観てよかった‼
【20世紀の映画遺産】どんでん返しは、こうやりな。
三回は見ていると思いますが劇場では初。午前十時の映画祭で。
面白いわぁ。ほんとに面白い。フェイント、オフサイドトラップ、仕掛けて嵌めて揺さぶりまくって、ラス前に大物トラップ。後はハラハラドキドキかよ!と思わせといて、最後の最後に全部載せ卓袱台返し。この痛快さが、どれだけの人を虜にした事か。今の映画人のバイブルの一本である事は間違いないって、自信を持って言える。
詐欺師のターゲットは冷酷なマフィアのボス。詐欺は犯罪なのに、ココロに響くのは懲悪への応援歌。行け行け気分であっという間の129分。最高だった!
でもね、フッカーの最後のセリフの字幕には一言。
字幕では「やっつけただけで十分さ」が、最後のフッカーの台詞になってましたが、原文は "Nah. I'd only blow it."
「イヤ、どうせするだけだから」が直訳。
「俺は復讐出来ただけで満足。分け前なんか貰っても、どうせ賭博でするだけだから」がフッカーの気持ちなんでしょうけど、ここは正確に訳して欲しい所でした。
黒人の仲間の復讐の為に命懸けのトラップに挑んだフッカー。人種問題的にも良い感じの設定だった事がオスカー7本の背景にあった事もリマインド。
詐欺師映画の金字塔
すごいオシャレ
なんと粋な映画でしょう!
初めて見たのは、テレビで一度きり。
若い頃は、この手の映画に興味があまりなく、
ラストが面白くてビックリした、ぐらいの印象でした。
今回、午前十時の映画祭で何十年ぶりかで見て、
そのオシャレな作りに惚れ惚れしました。
チャプターごとにレトロな絵がめくられていき、
次々と詐欺が繰り出され、
流れるスコットジョップリンのメロディー。
どれもこれもが上質な仕上がりになっていました。
数少ない女優さんも、この手にありがちな、単なる添え物じゃなく、
そのシブい人選に唸りました。
今回の機会がなければ、見逃していたところでした。
本当によくできた映画でした。
午前10時の映画祭にて
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