少林サッカー : 映画評論・批評
2002年6月1日更新
2002年6月1日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
「炎の喜劇人」チャウ・シンチーの情熱に涙がチョチョ切れる
チャウ・シンチー(周星馳)演じる主人公の「鋼鉄の脚」から放たれたシュートが、火の玉(球)となって、芝を焦がしながらグイ~ンとうなりを上げてゴールポストを直撃すると、鉄のポストにボール分だけめり込んでしまうのだから、開いた口がふさがらない。
この映画の「笑い」はけっして高尚ではないが、こんな調子で「魅せるギャグ」に徹している。香港映画界お得意のワイヤーマジックの賜物か、少林拳の達人たちが広いピッチ上を、また天空高く(!)、マンガチックにボールをポンポン展開する「観たことのない」スペクタクル・シーン(華麗なるパス回し)はガハハッの連続でアゴが外れそうなのだ。
ベタな笑いも強烈で、少林拳の奥義「魔の手」の達人であるゴールキーパーは顔もブルース・リーにクリソツなら、「死亡遊戯」でリーが着ていた黄色に黒の1本線のユニホーム姿で、リー映画でおなじみの手招きする「かかってこい!」ポーズまでするという始末(笑)。
そんなギャグ満載の、究極のおバカ映画だ。
香港李小龍(ブルース・リー)ファンクラブ名誉会長でもあるチャウ・シンチーは1年かけて「彼」の上半身を作り上げたそうな。ド肝を抜かれる「笑撃」に「炎の喜劇人」チャウ・シンチーの情熱を見、涙がチョチョ切れる。笑いも必死に作ればいと可笑し、だ。
(サトウムツオ)