「優しく包まれるような浮遊感」千と千尋の神隠し Ghost Writerさんの映画レビュー(感想・評価)
優しく包まれるような浮遊感
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カオナシは千尋に誘われるように社会(湯屋)に入ってくるが、自分の言葉を持たず、金を使わなければ他人と接点を持つことが出来ない。そして徐々に自分を見失っていく。まるでステレオタイプな日本人のようなキャラクターだ。
そんなカオナシも千尋に再び誘われるように銭婆のもとに行き、本来の自分を取り戻していく。銭婆と湯婆は生きている社会環境が違うだけで元々は同一の人物なのではないだろうか?
自分もまた湯婆やカオナシのように欲にまみれ、拝金主義になってしまえば、たちまち自分を見失ってしまうだろう。
ハクもまた千尋との交流で見失っていた自分を取り戻す。彼は自然そのものだったのだ。自分を取り戻したハクと千尋が涙を流し飛翔するシーンは何とも言えず暖かく優しさに包まれたようなシーンだ。
それは千尋の中に、ハクを救えた喜びと、ハクは弱い自分のことを子供のころからずっと見守ってくれていたという喜びが交錯しているからだろう。
自然も人間も普段は忘れていても根っこでは深く繋がっていて、自然は自分達のことを暖かく見守ってくれている。そんな感じがした。
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