蝉しぐれのレビュー・感想・評価
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美しい藤沢世界、美しい日本
ドラマも観ましたが映画に軍配。
キモになる場面を原作と少し変えてあります。
より効果をあげていて、そりゃあ、忘れられないよね。と共感し映画館で号泣。
子役とお笑いの二人が気にはなりますが。でも殺陣も泥臭く、無敵の剣士じゃないのがまたいい。この映画での木村佳乃の美しいこと…!
ラストの情景も素敵。
藤沢周平の文は本当にきれいで、それを映像化するのは大変だろうなと思うのですが見事にスクリーンに描き出してくれました。
私は大好きです。
「文四郎さまのお子様は?」「未だ・・・」「いまだ・・・とおっしゃいますと?」「今田耕司」
『たそがれ清兵衛』『隠し剣、鬼の爪』と続いた藤沢周平作品の映画化。今回は、山田洋次監督ではなく、黒土三男監督がメガホンをとった。どうしても山田作品と比べてしまうこの映画。短編、長編の違いはあるものの、原作者は同じなので、舞台となる海坂藩、下級武士、剣術に秀でている、父が藩内部の抗争で罪に問われる、嫁さんがいない、等々の設定は似ている。今回の決定的な違いは、庄内言葉を使わず、標準語(江戸ことば?)で通したことであろう。
また、日本の四季を強調した自然の美しさは山田作品よりもこだわりがあるように思えるし、カメラアングルと人物の配置には独特なものを感じました。村人のために真摯な行動で尊敬されるが、家老の陰謀により藩との確執が浮き彫りにされ、切腹を命ぜられる父親。お家断絶は免れるが、辛苦の日々を味わう青年、文四郎。じっと耐え忍んで忠義を尽くす武士の魂と、幼馴染のふくとの想い出、それに幼き頃からの逸平と与之助との友情が交錯して物語は進んでゆく。いずれのシーンにも四季を感じる演出と、日本人が忘れかけている慎ましさと篤き友情が感じられる。
市川染五郎も木村佳乃もいい味を出しているし、意外とよかった今田耕司とふかわりょう。脇を固めるベテラン俳優たちがまた迫真の演技なのです。子役たちの演技さえ良ければ最高の出来となったかもしれない。まるでおしんの幼少時代を思わせるふく役佐津川愛美だが、大人になって木村佳乃になるとは信じられないことも残念だった。
好きなところは「腹が減ったな」が口癖の逸平。あの場面でも聞けたことで、一人で笑ってしまいました。すみません。周りにいたご年配の方々。
最後に、一青窈 (ひとと よう)のイメージソングも聞かせてください!
【2005年10月映画館にて】
印象的だった佐津川愛美
市川染五郎扮する牧文四郎の緒形拳扮する父は義のためにやったと多くを語らず切腹させられ文四郎は遺体を引き取った。親の敵である加藤武扮する里村主席家老から呼び出しがあり旧録に戻すと言われた。ところが木村佳乃扮する幼なじみのふくが殿の子を産みお家騒動のもとになるからさらってこいと言われた。果たして文四郎はどうする?
なかなかスリル溢れる時代劇。悲しい現実があっても幼なじみの間柄は他人を寄せ付けない麗しいもの。ふくの子供時代を演じた佐津川愛美がとても印象的だったね。
良くも悪くも藤沢氏らしい作品
初めての鑑賞
他の方のレビューを読むと小説やドラマに比べて
評価が落ちるようだが
どちらも見たことがなく、予備知識なしで見た
「隠し剣・鬼の爪」「たそがれ清兵衛」と同じ海坂藩の下級武士の物語
主人公の文四郎は下級武士の養子
隣に住む幼馴染のふくのことが好きで、ふくも文四郎のことが好きだった
剣術の稽古に励む文四郎だったが、ある日、父が藩の勢力争いに巻き込まれ切腹させられる
家禄を減らされ、長屋暮らしを強いられる
そのころ、ふくは藩主の正室に奉公することになる
最後に文四郎に会いに来るが、文四郎は外出中で会うことが出来ないまま
江戸に向かうことになる
自分ではどうすることも出来ない、下級武士の恋心という
藤沢作品の定番ストーリーで
嫌いな人は「ワンパターン」と思うかもしれないが
自分は好きだ
藩主の死後、文四郎とふくは再会を果たす
もう進む道は変えられない
ふくは出家し、別々の道を生きることになる
ここにきて、序盤の花火を見に行き
ふくが文四郎の袖を握るシーンなどが良い感じで思い出された
ドラマの再放送があれば是非見たいと思う
ハラスメントの時代
まーほんとにせつないお話。悪徳家老のせいで親も家も恋も奪われ、ひたすら耐えて生きる男。現代の人間は反逆や駆け落ちを考えてしまうが、そうできない時代があったということなんだよなぁ。この「忍ぶ」という感覚が、少しでも日本人のDNAに残り続けないと、時代劇も作られないし、見る人もいなくなってしまう。世の中は変わっていくのが常だけど、エッセンスくらいは受け継がれて欲しい。
今田耕司、ふかわりょう、佐津川愛美、若い! 染五郎(当時)はやはり絵になる。木村佳乃は品の良さ、芯の強さがよく出ていた。だけど、夜中逃げるときに白い着物は目立つでしょ。
からくり人形が笑えると同時に、不気味さも醸していた。
BS日テレにて。
NHKのドラマ版を遥かに下回る駄作。
ドラマ版の高評価を受けて作られた今作品。
キャストを一新して作られたが、最悪の出来でした。
ストーリーが同じでもキャストが違えば全くの別物。
少なくとも真面目な話に芸人をキャストに使うべきではない。
謎に全キャストの棒読み感。
構成のバランスが良くない
下級武士を主人公にした藤沢文学の映画化。期待して観た分落胆も大きい。黒土監督の真面目で丁寧な映像作りは認めるも、映画の表現力に新たな良さを見付けられず。前半の少年時代と後半の藩の抗争に活躍する青年期がほぼ同等に扱われているのが、作品全体の重量感を大きく殺いでいる。少年時代の若手二人の演技が未熟なのは仕方ないとして、演出でカバーしていないので余計に稚拙に見える。細かいカット割りでアップサイズを多用すべき。前半は緒形拳だけで持っているようなもの。後半は染五郎(七代目)と加藤武で何とか観れる。
映画の題材としては最適なものと想像するが、後半のウエイトが弱すぎる。
これはおそらく小説の方を読むべき。 まずはキャスティング。今田耕司...
これはおそらく小説の方を読むべき。
まずはキャスティング。今田耕司にふかわりょう、ふざけてるの?彼らに罪はないのだが。主役まで三文演技に見えてしまいました。緒形拳の息子、なんじゃその剣捌き。この映画、総じて剣術がなってない。
ストーリーもなんか変だぞ。一切出てこないが、この藩の殿ってバカ殿?小説ではどうなってるんだろう?
藤沢周平の一二を争う名作らしい。よって結論。これは小説の方を読むべき。
名作
原作が良く映されている。庄内地方と思われる山野の風景が美しい。まだ、こんな風景があるんだ。
主人公にスポットライトをあてて、とりまく家族や事件を絡めていく展開が素晴らしい。下手くそなら、ちんけなメロドラマになってしまう。脚本が良いね。
ただ、木村佳乃がどうもしっくりこなかった。
何も調べず、見てほしい。
「お世継ぎ問題に、2代に渡って振り回された人々の話」。
以上。
というのも、どんな話で誰が出ているか。知らずに見たらめっちゃツボりました。俳優陣もあんな人こんな人・・・。豪華すぎる!。
びっくり驚きの連続。なのであれこれ書きたくない。
話の前半は、文四郎の青年期の話。やけに引っ張るなあと思ったら。
全部後半に繋がっている、序章だったんです。
後半になって、大人になった文四郎の話。
またもやお世継ぎ問題に巻き込まれ。
側室とそのお子を守るため立ち上がる。
前半で出てきた友人二人も、文四郎の一大事とあらばと同行する。
そんな友情物語もちょっと胸アツ。
殺陣の場面、文四郎は剣の練習はしているけど「人を切ったことがない」。えー!大丈夫なのか。とハラハラドキドキ。
友人も文四郎も、腰抜かしちゃんです。
だけど「大切な人を守るため」。昔からの宿敵を相手の、刀さばき。泣けた・・・。凄いよ、文四郎。
文四郎の「大切な人」。それが誰なのか。ネタバレしたくないので書きません。
そう、私の感想なんて見てないで、作品を見てほしい。
録画した私、グッジョブ!
長い話を省略しすぎて描ききれていないのでは
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
静かに美しくそして物悲しく時が流れ、封建社会の厳しい身分制度の中で儚い愛が綴られる、情景豊かな作品である。そのような雰囲気には魅了される部分もある。日本の昔の風景美も良い。
しかし残念ながら物語があまりに飛び飛びになっており、場面がいきなり切り替わる。そのときには時間もかなり経過しているし、このようなことがあったと劇中で科白で説明するだけで済まされたりする。結果として場面場面のことも説明不足で、人物のことも描ききれていないから、二人の愛の深さに対して観ているこちらの感情移入も控えめとなる。お家騒動の物語に対しても、何が起きていてどのような人物が関わっているのか理解が浅くなる。
原作は未読だが、おそらくは原作の長い話を無理やり映画の時間枠の中に詰め込もうとして失敗しているのでは。せめて前後編にわけて二本制作するくらいの余裕がなければ、この物語を描くことは出来なかったのではないだろうか。
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