劇場公開日 2005年10月1日

蝉しぐれ : 映画評論・批評

2005年9月27日更新

2005年10月1日より日劇2ほか全国東宝系にてロードショー

木村佳乃の存在は嬉しい発見

木村佳乃のことは失礼ながら、よくいるトレンディドラマ女優の1人だと思っていた。だが昨年末、竹中直人の舞台を見て舞台映えする女優だと知った。続いて出演した、蜷川幸雄・演出「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」の将門の恋人・桔梗役の、凛々しさと立ち姿の美しさに目を奪われた。そして本作の、やがて殿の側室となるふく役である。久々に会った幼馴染みの文四郎(市川染五郎)が、後悔するほどの美貌の持ち主であることと同時に、側室に相応しい品が備わった役を演じられる女優はそうはいない。

時代劇の良さが見直されて映画・ドラマでの製作本数が増える中、人材不足は深刻。先日も某巨匠が「テレビの時代劇を見ていたら、主演俳優の、腹の底から出したことがない声を聞いてチャンネルをかえた」と嘆いていた。ゆえに歌舞伎俳優の染五郎が重宝されるのだろう。そんな中、木村佳乃の存在は嬉しい発見だ。

昔懐かしい風景を極力再現した美しい映像の中で繰り広げられる、貧困とお家騒動で叶わなかった幼馴染みの悲恋物語。派手さはないが、スタッフ・キャストがキッチリ自分の仕事を成し遂げていることに好感大。じんわり心に染み入る作品だ。

(中山治美)

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