十二人の怒れる男のレビュー・感想・評価
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いつ観ても、何度観ても、恐ろしく面白い
制約の中出来上がった物語 だから余分な仕掛けはない。 少年は父親殺しで裁かれる。 12人の陪審員の評決次第では死刑となる。 人種差別、育った環境への差別、 暑い、早く帰りたい、個人的な気分、 そんな理由で「有罪」は決まっていた。 ただ、ひとりを除いては… 11対1と圧倒的不利な状況。 狭い室内での激論を交わす。 ひとり、またひとり、無罪に変わる。 それが心をグイグイ引きつける。 それぞれの名前は知らなくていい。 それぞれの身の上話はほとんど無い。 評決が出れば二度と会わない男たち。 終わりは何とも言えない気持ちになる。 実にシンプル ※
浮気して、昔過ぎる名作を観賞です。クーラーくらい用意したれよ!
前回に引き続き、この作品も、最初から“コレ!”と決めていたのではなかったのですね。 アマプラで偶然に見つけた『白鯨』を観ようと思って鑑賞スタートさせたのですが。 直後にAmazonからの「最近追加されたおすすめ作品」メールの中にこちらがありまして。 以前から、名作の誉れ高い作品とは聞いていたので、かなり興味をもって鑑賞スタートです。 エイハブ船長ごめんなさい。そして『ザリガニの鳴くところ』いつ観るねん! この作品、議論が白熱するにつれ、発汗の量が尋常じゃなくなってくるんですよね。額も、シャツを濡らせる脇汗も。 クーラーくらい付けたれよ。せめて扇風機のスイッチの扱い方くらい教えといたれよ。と、ずーっと思いながら観ていましたね。 まだ肌寒い春先というのに、観ているこちら側まで暑くなってきましたよ。そして議論と同時にこちらのハートまでもが熱く。 ?だったのが、観たのは吹き替え版だったのに、時々オリジナルの音声が入ってくること。why何故に? 観ていて思ったのは、それぞれのキャラクターのバックボーンが、見えてくるということ。 「この人の為人はこういう感じなんだなぁ」もっと言えば「こんな人生を歩んできたんだろうなぁ」というふうに想像が膨らみました。 お話の中では明確に語られることはありませんでしたけれど、シナリオと演技が何よりもそれを雄弁に語っていたように思えました。 お気に入りのキャラクターは主人公の隣に座っていた9番のお爺さん。突破口を開く鋭い観察力の持ち主の紳士だったので。 調べてみて「えつ!」と思ったのは、本作ってそれぞれのキャラクターに名前がないのですね。全ては陪審員〇番なのですね。普通なら名前のないキャラクターには感情移入しにくいと思うのですが。 本作は、あえてそうすることでリアリズムと臨場感を際立たせる手法の設定だと思いました。 劇伴が全くないことが、緊張感に一層輪をかけていたのは明らかだと思います。 てか、そもそもも現実の陪審員裁判って、「はっ!あんなふうにお互いの名前は明かさないのかな?」と思いつき。←えつ?勘違い? 職業とかの個人情報はダダ漏れでしたけれど。 陪審員裁判いついて、軽~く調べてみると、驚くべき情報が! 人の一生の中で、陪審員に選ばれるのって、約120人に1人なんだって。割と高確率。選ばれても私には耐えきれない重責。8番の人みたいな冷静で聡明な判断なんてムリ。ゼッタイ。 最後の最後に8番・主人公と、9番・お爺さんの名がお互いに明かされ。 雨の上がった屋外へ出た男たちが、やっとのことで重責を全うし、安堵と共に解放されていった晴れ晴れとしたラストシーンが素敵でした。優しく、爽やかなハッピーエンドを飾るに相応しい劇判もやっと流れてきて。 てか、紳士って真夏でもスーツ着なきゃだめなんだ。紳士でなくてよかった。ネクタイの結び方すら危なっかしい私だもの。 もといです。 それぞれの人物の心理描写の交錯が大変面白かったです。そしてディスカッションの中で本来あるべき姿、やっちゃいけないことのお手本となる教科書と言っても過言ではないとも思えました。 ディスカッションは、それ自体が映画向きの題材なのではないかと思いました。 入り乱れる思惑の駆け引き、お互いの主義主張のぶつかり合い、面子という自我の愚かさetc… そして何よりも、私が好きなワンシチュエーションドラマです。 そもそも映画製作とは、試行錯誤のディスカッションによって完成されるものだと思います。←偉そうに そんな現場の中に、本作のアイデアの源があったのではないかと思いを巡らせました。 ディベートともなると、刺激と業が強すぎるように思えて。私はディベートは苦手です。 今どきの若い子が憧れているらしい「はい論破」こそ、議論の最も愚かな成れの果てだと思います。←偉そうに そして、監督以下制作スタッフ知識には、とんと疎い私ですが。(本作でも、お名前を耳にしたことのあるキャストはヘンリー・フォンダくらいです)本作が三谷劇場に多大な影響を与えたであろうことは、容易に想像できました。劇判のイメージまでをも含めて。 脇汗どころか、手に汗握る攻防に画面に見入ってしまった100分弱の大変楽素晴らしい体験でした。私の理想の尺の1時間半です。 謎なのがタイトル。そこまで怒ってた男って、3番の人くらいだったのに。私は、3番への皮肉も込めて『十二人の聡明な男』って脳内で勝手に解釈してしまいました。なんか弱っちい… あれぇ、相変わらず“まくら”を置いている点を除けば、今回は全く私らしくないスタイルのレビューだぞ? 簡潔だし。 たまには真面目に書いてみたい時だってあるんです。←それでも、結構ふざけてるよ…
ワンシチュエーション映画の祖
かなり古い映画だけど、今観ても面白い! 完全なワンシチュエーション映画で、みんなで話し合いをしているだけなのに、だんだんと犯行の様子が目に浮かんでくる。 台詞も多いのにワンカットも割と長めなのがすごい。 12人もそれぞれキャラクターがあって、最後あっさり解散していく様もなんかリアル。 「THE GUILTY」が好きな人ならきっと刺さるはず。
裁判、怒りの言い合い。
日本語吹き替えで鑑賞。 動かない扇風機のなかで、みんなが怒っている。 ラスト1。 裁判所の外で、老人がヘンリーフォンダに握手を求め、 番号しか知らなかった互いに名前を告げるものの、 それ以上の会話が生まれない。その余韻。 ラスト2。 野球のチケットを持っていた男は何があったのか、自分が何をしたのか、 すべてを忘れてスタジアムに向かったんだろうな。
改めて鑑賞して気がついたこと
言うまでもなく映画史に残る大傑作なのだが、2024年の今観てみると、昔観た時とは違った部分に目がいく。 ・陪審員は男しかいない。 ・陪審員にアジア系やアフリカ系がいない。 ・女性を揶揄するセリフも普通にある。 ・スラムの人々へのヘイトが思いの外激しい。 ・ヘイトの構造はSNS時代の今も変わらない。 ・移民の国なのに、移民を格下に見てるのか…。 ・喫煙率がバカ高い。 ・ウォーターサーバーがある! ・暑いという言葉通りみんなだんだん汗だくに。 ・机上を片付けずに立ち去るのは文化の違いか。 時代の進んでいるところと、変わらないところが見えてくるのがおもしろい。 「脚本がよければ、シチュエーションを限定しても充分に一本の映画として説得力のあるものがつくれるという見本のような作品」としてだけでなく、リアリティがあるこうした映画には、「その時代を記録した資料的な側面」もあるんだなと思った。 そういえば、日本でも取り入れられた裁判員制度は、今はどうなっているのだろうか?
会話だけなのにひきこまれる
12人の陪審員
蒸し暑い部屋にカギまででかけられ、決定的証言や証拠があり有罪確定で
さっさと結論づけようという始まりから
ある男の有罪とは言い切れないということからスタートし
11人を無罪へと導いていく。
それぞれの陪審員が持つ背景からの発見や意見もとても興味深くつながっていて
面白かった。
周りに流されることなく簡単に決めず、自分の疑問や違和感を冷静に伝えていく
ことの大切さも感じた。
面白い
めっちゃ古い映画だけど、密室劇が見たくてそういや観てなかった今作を鑑賞。とても良い。 全編会話のみ。とある殺人事件の陪審員たちがあーだこーだ言い合うだけなのだが徐々にそれぞれのキャラクターもわかっていくし、裁判でこういう証言があったなどの展開でも回想シーンなどは挟まず会話だけというのも潔い。 考えさせられる系の映画とされがちだと思うけどただ単純に面白かった。
「事実」の裏に隠されたもの
言わずと知れた名作中の名作で、今さら解説など必要としない傑作密室劇である。 冒頭、12人の陪審員達はリラックスした中にもどこか審理に対して軽く考えている節が見受けられる。 確かに、蒸し暑い陪審員室で「評決を出して下さい」と言われ、チャッチャと片付けますか!とならない方が不思議だ。 私が「十二人の怒れる男」を観るのは2回目だからかもしれないが、そんな浮わついた男たちのなかで唯一8番(ヘンリー・フォンダ)だけが言葉少なくじっと窓の外を見ている、その事が殊更に強調されているように見える。 彼はこの時、何を考えていたのだろう。この後明かされる彼の行動を考えると、部屋に入った時点からこの後の議論プランを綿密に考えていたのでは、と思ってしまう。 会議でも何でも良いのだが、時として議題とは全く関係のない事柄が議論の大勢を決めてしまう時がある。 時間の制約であったり、関心の薄さであったり、議題に対する知識のなさであったり、その要因は様々だ。 だが確実に、論じられるべき事柄の裏でそれらは大きな影響力を持ち、「事実」など簡単に吹き飛ばしてしまう。 8番は結論ありきの陪審員の姿勢に異議を唱え、「自明の事実」とされている証言を一つ一つ検証する場に残りの陪審員を引き込んでいく。 「議論するまでもない」と思われていたことに「本当にそうだろうか?」と疑問を提示し「明白とは言えない」と結論付けていく様は圧巻のタフさだ。 根拠のない決めつけにNOを突きつける、痛快さ。 しかし忘れてならないのは、彼の考えに同調していくものたちは決して「裏に隠れた余計な事柄」から解き放たれてはいないということだ。 最初に8番に同調する9番の老人は「彼の勇気ある発言に心動かされた」のだし、5番の男が同調したのは10番に対する反発なのではないかと思われる節がある。 単純に「良かった、良かった」とならない脚本の秀逸さが、この作品の大きな魅力だと感じる。 我々が考える「事実」とは、とても脆いものだと痛感させられる映画だ。
映画史に残る傑作法廷劇
説明不要の大傑作ですね。 30年前の初見以来の再見ですが評価は揺らがず、満点です。 ただ、今回改めて感じたのは、平均的な腕を持った監督なら傑作必至の完璧な脚本と話の展開です。 逆説的にいえば、せっかくのルメット先生も腕の見せ所がありません。
議論というアクション‼️
十二人の陪審員が一人の少年の有罪か無罪かをめぐって、白熱の議論を行なう。十一人が有罪に投票する中で、残る一人が無罪を投じる・・・1時間35分の間、十二人の男たちの議論だけで物語が進むのですが、なんでこんなに面白いんでしょう⁉️一分の隙もない構成と素晴らしい脚本、俳優たちの演技力、そしてほぼ陪審員室の中だけという密室劇的シチュエーションで、大長編以上の満足感を観る者に与えてくれますよね‼️ヘンリー・フォンダ扮する8番陪審員が有罪証拠の一つ一つを吟味、そのハンドリングはまるでシャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ、はたまた金田一耕助‼️そして陪審員室を殺人現場に見立てて、被告の行動を再現するところはまるでミステリー映画みたいでゾクゾクさせられます‼️そして繰り広げられるセリフの応酬は、まるでアクション映画のような痛快さです‼️ヘンリー・フォンダはもちろん、特に最後まで折れないリー・J・コッブ、冷静に論理でフォンダに応酬するE・G・マーシャルの2人の演技が圧巻で素晴らしかったです‼️私はこの映画を観るまではデモクラシーというのは多数決なのかなと思っていたのですが、本当は少数派の意見に耳を傾けることであるという事を教えてくれた大切な映画です‼️
いろんな感情が行き交うある意味サスペンス
1室の中で論議するだけの映画なので制作費は安くついたんだろうなと想像できるが中身は素晴らしかった。 1人の冷静沈着な男が入っていたおかげで圧倒的に有罪有利が無罪まで導いてしまう。 感情は時には判断を誤らせてしまう。 色んな個性の集まりの集団の中で感情が勝っていきそうな中で1人の冷静な判断のできる男がいたことといなかったことでは真逆の結果になっていたかもしれず、それが人の命に関わっているとしたら・・・・。 陪審員制度は日本にもあり、自分がその立場になることがあれば冷静さを心がけたいと思った。 ただ、自分は判断力が弱いのが心配だが・・・ 見応えのアル良い映画です。
黒人に対する公民権法制定がまだの頃の話
黒人に対する公民権法制定がまだの頃だから、当然、黒人が陪審員に呼ばれることはないと思う。それで、裁くのだから、この映画以外にも冤罪はあったに違いない。
また、今でも、人種の配分は気を使う様だ。
兎に角、映画はヘンリー・フォンダの正義感満載だが『ウエスタン』の悪役のほうが僕は好きだ。
日本の映画にこの映画をリスペクト、イヤイヤ、パクった映画があるが、きっと版権を買っているに違いない。と思うが、今の旧国営放送の大河ドラマの脚本家とは、日本の映画界も落ちたものだ。
我が親父もリー・ジェイ・トンプソンみたいな奴だったが、 ヘンリー・フォンダが好きで、VHSビデオにとってよく見ていた。
暑苦しい密室での白熱する議論。目が離せないスリリングな展開。
和田誠さんと三谷幸喜さんが対談した「それはまた別の話」という本にこの映画が載っており、何度も観たはずなのにまた観たくなり視聴。 個人的に大好きなこの映画。黒澤監督の「七人の侍」で好きな侍ができるのと同じく、ヘンリー・フォンダ以外の陪審員にも注目するようになっていた(ちなみに、三谷さんは気が弱いながらも次第に自分の考えを持つようになっていく2番陪審員(ジョン・フィードラー)がお気に入りらしい)。 父親殺しの容疑で逮捕された少年の裁判が終わり、12人の陪審員は評決を出すべく、この世から隔離されたかのような蒸し暑い部屋に入っていく。 タイトルバック。錆びた扇風機の上に据えられたカメラ(丁度部屋の全景を見渡せる位置である)は流れるように動いて皆を長回しで映し、我々はこの小さな世界へと引き込まれてゆく。 彼らは挙手制で採決をとり、12人のうち11人が当然の如く有罪に手を挙げる。しかし、ただ1人8番陪審員(ヘンリー・フォンダ)だけが無罪を主張し、この手に汗握る"話し合いのみ"で構成されたクライムドラマが始まる・・・。 カメラワークは文字通り完璧で、実は12人全員が画面に収まるショットは数える程しかなく(その全てが計算し尽くされた見事な構図である)、ほとんどが ・発言している人物のクローズアップ ・机を挟んだ数人のショット ・机を離れた場所でのショット で成り立っているのだ。 意識しなければそれに気づかせないプロの技が全編通して光っている。 ご存知の通り本編95分間のうち93分がこの密室での議論に費やされているため、最後の裁判所から出ていく場面は身体的、心理的な開放感が見事に描写されており、爽快だ。 陪審員たちは名前さえ明かされないのにも関わらず、キャラクター性が確立しており、議論が進むにつれて彼らの性格、考え方が徐々に露わになってゆく。 偏見の塊のような10番陪審員(エド・べグリー)、 常に冷静で論理的な4番陪審員(E・G・マーシャル)、 被告人を絶縁した息子と重ね、有罪一点張りの頑固な3番陪審員(リー・J・コッブ) などといった極めて個性的な男たちを相手に8番陪審員はただ1人立ち向かう。 また、効果音が全くと言っていいほど使用されていないのも見どころの1つだ。本編中音楽が流れてくるシーンは(確か)たったの4回で、特に印象的な場面ばかりである。すなわち、 ・8番陪審員が自分を除く11人で無記名投票してほしいと持ちかけるシーン ・休憩時間中、8番がトイレで6番陪審員(エドワード・ビンズ)に説得された後のクローズアップ ・10番陪審員が皆からそっぽを向かれるシーン ・ラスト、全員が部屋から退出するシーン で、そのうち3回は短いながらもオープニング、エンディングで流れてくる静かなテーマ曲と同じもので、感情が揺さぶられる。 同調圧力に負けず、間違っていたとしても自分の考えを持つ事の大切さを、どれだけの人がこの映画から学んだことだろう。 当たり前を疑い、批判を恐れず発言する8番陪審員は偉大なヒーローであり、この映画を見る度に勇気づけられる。
本気で悩んでいる誰かにアドバイスするとき、親身になればなるほど、言...
本気で悩んでいる誰かにアドバイスするとき、親身になればなるほど、言葉を選ぶし、自分の助言が少しでも相手に影響を及ぼすのだと考えると、果たしてなんと言ってあげればいいかと途方に暮れることがある。アドバイスをするときでさえ悩むのだから、人の命運を選択するなんて、とてもじゃないが身が重すぎる。人間の要領を超えた域である。 しかしそんな損な役回りを与えられたのが、今作の男たちである。 男たちの議論を通して浮かび上がる性格や倫理観。情緒。 95分というコンパクトな尺の中に詰め込んだのが本当に凄い。 一人の男によって状況が一変するというシチュエーションも、今作に限っては当然の成り行きだと思うかもしれないが、ここまで重要な問題が誰か一人の思惑が伝染し、ガラッと変わってしまうのは本当に怖い展開だ。
細かな違和感にこだわることで見える真実と、それぞれが信じたいと思う...
細かな違和感にこだわることで見える真実と、それぞれが信じたいと思う都合。映画の結末の爽やかさとは別に、本当に人は話し合いで理解し合えるのか?というぎもんも残る。
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