ピンクパンサー : 映画評論・批評
2006年5月16日更新
2006年5月13日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ベタベタなギャグ、苦笑の連続こそ、本来の味
英国の怪優ピーター・セラーズ畢生の当たり役であるクルーゾー警部を、米国の怪優スティーブ・マーティンが襲名(アラン・アーキンも演ってたから実は3代目)。これでシリーズ仕切り直しなるか?……が試されることになるが、のっけから洗練とはほど遠い、ベタベタなギャグで苦笑の連続。しかしこれぞ本来の味、非難するには当たらない。60年代回顧の潮流で、洒落たコメディと誤解されているキライのあるオリジナル・シリーズだが、「3」以降などいささか辟易するほどの泥臭さだったもんなぁ。
ピーター・セラーズ風のボケまくり技を基本的に踏襲しながらも、マーティン自身のエキセントリック味を加えたキャラ設計は予想以上に成功。ニューヨーク出張に備えて「米語発音」を練習するシーン(なぜか語彙は「ハンバーガー」)は、マーティンとしても最高度にアバンギャルドなギャグといえる。終始コケにされるフランス人の面目を一身に背負ったような(?)ジャン・レノのおとぼけもイイが、特筆すべきはクルーゾーの秘書役エミリー・モーティマーの可愛さ。カメオ出演にしては出番の多いクライブ・オーウェン(なんとエージェント006!)も笑える。さらに「ピンク・パンサー」といえばヘンリー・マンシーニの音楽とタイトル・アニメ、今回も原典のパターンを踏襲した楽しい仕上がりだ。ラスト、実写合成でもう1度登場するというお約束が守られていないのはガッカリだけどさ。
(ミルクマン斉藤)