フォーン・ブース : 映画評論・批評
2003年11月18日更新
2003年11月22日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
抜群のアイデアに、テンポのある演出
マンハッタンのど真ん中、ガラス張りの電話ボックスだけで展開する密室スリラーというアイデアが抜群だ。犯人の正体も目的も分からないうちに、凶悪な銃乱射犯と誤解され、SWATと脅迫犯の両方から銃口を突きつけられてしまう被害者はパニック状態。警察に、姿の見えない犯人の存在を知らせ、どうやってこの密室から抜け出すのか。ジョエル・シュマッカーのテンポのある演出で、前半はいい調子でサスペンスが盛り上がる。被害者スチュを演じるのはコリン・ファレル。旬の人はやっぱりいいねぇ。犯人との駆け引きの中で本音を剥きだしにされていく難しい役。しかも出ずっぱりなのに、カメラの追求にも堂々と耐えて見せるのだから、この人は本物だ。
ところが、中盤から、この設定のアラがいろいろ見えてきてしまう。例えばこの電話のある8番街は、相当交通量があるから、犯人が通りの向かい側にいる場合は、大きな車が壁になっちゃうとか。ボックスに空いた銃弾の穴を見れば、どちらの方角から撃たれたのか分かるハズってな具合。コリンの熱演にもかかわらず、もっと早く逃げ出せたという結論に達してしまった。あなたはどう見る? 犯人役の俳優の声は素敵だけど。
(森山京子)