モンスター(2003)
劇場公開日:2004年9月25日
解説
86年のフロリダを舞台に、アメリカ史上初の女性連続殺人犯となったアイリーン・ウォーノスの実話を映画化。監督・脚本は撮影助手出身でこれが長編デビューとなるパティ・ジェンキンズ。貧しい家庭で虐待されて育ち、娼婦をして暮らすアイリーンは、同性愛の少女セルビーと出会い、彼女との生活費を稼ぐために殺人を重ねていく。主演のシャーリーズ・セロンは13キロ肥って特殊メイクで熱演、アカデミー主演女優賞を獲得。
2003年製作/109分/R15+/アメリカ
原題:Monster
配給:ギャガ・コミニュケーションズ
スタッフ・キャスト
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2022年8月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
全て個人の妄想の域を出ないが…、セロンは自由自在に顔が変えられたらいいのに、くらいは思っているではないかな。これだけなのは嫌、誰にでもなりたい、というか誰にでもなれるようでありたい、みたいな。
どこかでそうならないための選択はできただろうか。性別、容姿、家庭環境、年齢など自分ではどうしようもないことの咎は自分で負うべきなのだろうか。
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人は育った環境によってモンスターにもなるし、シャーリーズセロンにもなりうるという事か。
少女が求めていたのはただ依存できる相手で、最初から愛など、救いなどなく、全ては幻想だったというあまりに救いのないラストが強烈。
2022年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
2022年2月24日が悲しい日になりました。この作品を観ながら、ふと、プーチンのことが思い出されました。実在したアイリーン・ウォーノス(シャーリーズ・セロン)は、どう考えても不幸な境遇で、同情の余地もなくはないのですが、思考回路に大きな問題がありますよね。いつか有名な女優になるとか、弁護士になって大邸宅を建てるとか…。楽観的なのはいいけど、楽天家はいけないと何かの本で読んだことがありますが、そういうレベルを遙かに超えて、とても危険で、実際にモンスター化してしまいます。「自分は被害者」、「防衛のための攻撃」という身勝手な理屈で自己完結していて、相手を受け入れる余力が完全に欠失してしまっています。その結末は悲劇にならざるを得ないという物語は、とてもリアルで見応えがありました。
2021年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
体重を13キロも増やして体当たり演技で殺人鬼アイリーン役に臨んだC・セロン。同性愛のために家族から、社会から疎外感を感じている孤独な女性を演ずるC・リッチ。ともに演技は最高でした。説明調の前置きも少なく、実際の事件についても予備知識がほとんどないという状況においても、二人の演技(特に表情)が運命的な出会いを見事に演出していました。“娼婦”であることにたじろがず、職業への貴賎に対しては全く純粋なセルビーに心を開く様子。最初の殺人の後にセルビーを呼び出したシーンもよかった。堅気の職業に就こうとする彼女に対しても「そんな受け答えじゃダメだよ」とスクリーンに向かって叫びたくなったほどです。
セロンの演技は随所に光りました。特に印象的なのは第2の殺人を犯すときの表情です。金のため、女を買う男への憎しみ、“変態野郎!”と叫びたくなる心境、そして殺人が快楽へと変わる瞬間の殺人鬼特有の目に変化する過程なのです。一度人を殺すと、歯止めがきかなくなるということをも表現できていました。
ラストでの電話~法廷シーンも奥が深かったです。途中で、声のトーンを変えながらもセルビーは関係がないんだということを伝えたくなるほど機転が利く彼女。このくらい感性が鋭いもの持ってるんだから、堅気の商売でも通用したはずだ(決して生まれながらの落伍者なんていないということも伝わった)。その才能は、セルビーへの愛を貫いてセルビーに迷惑のかからないように自分一人で罪を償うことに注がれました。これほどまでにセルビーへの愛を信じて涙するアイリーンに対し、セルビーが徐々に甘えん坊みたいに演じ、最期には冷たく指差す行為も対照的に描かれていましたので、余計アイリーンに対して泣けてくるんですよね。
エンドロールに再度流れるジャーニーの“ドント・ストップ・ビリーヴィンDon'tStopBelievin'”がアイリーンの台詞に使われていることに感動し、また涙が溢れてきた。
【2004年10月映画館にて】
シャーリーズ・セロンが演じてるからこそ泣ける(のだと思う)