深夜の告白

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

 ビリー・ワイルダー初期の作品にして、フィルムノワールの傑作といわれるサスペンス映画。保険外交員のウォルターは、訪問先の人妻から夫に内緒で、彼に傷害保険をかけたいと相談される。ただならぬ様子に一旦は拒絶するが、美しい妻の魅力にとらわれ夫殺害の共犯者に堕ちてゆく。殺人シーンでは、現場に居合わせる人物の表情を長くとらえ、間接的なリアリズムを演出。2人を取り巻く脇のキャラクターも秀逸である。

1944年製作/106分/アメリカ
原題または英題:Double indemnity
劇場公開日:1953年12月12日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第17回 アカデミー賞(1945年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 ビリー・ワイルダー
女優賞 バーバラ・スタンウィック
脚色賞 ビリー・ワイルダー レイモンド・チャンドラー
撮影賞(白黒) ジョン・F・サイツ
作曲賞(ドラマ/コメディ) ミクロス・ローザ
音響録音賞  
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フォトギャラリー

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写真:Album/アフロ

映画レビュー

4.0これは間違いなく一級品だ。

2024年12月6日
PCから投稿

不倫相手の人妻から、夫の保険金殺人を持ち掛けられた保険外交員。2人は協力して、列車からの転落事故死を偽装する。しかし、同僚の敏腕調査員キーズが疑いを持つ。

物語は、銃で撃たれた保険外交員が告白する、回想形式で進む。実にスリリングな進行と、引き締まったタイトな演出で、最後まで存分に堪能させるところが凄い。

倒叙ミステリーであり、フィルム・ノワールの最高峰であり、不倫の末の保険金偽装殺人というのも、公開当時(1944年)の社会的な価値観に照らすと、非常に画期的で野心的だったし、それを全てこなし、見事なまでの傑作に仕上げている。

悪女を演じたバーバラ・スタンウィックの熱演が光るし、性格俳優で知られるエドワード・G・ロビンソンの好演も印象深い。極めてよく練られた、冷酷かつ痛烈なスリラーだし、後世に多大な影響を残している。これは間違いなく一級品だ。

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瀬戸口仁

3.0ちょっと不満足だな

2024年7月12日
PCから投稿

99%ぐらい面白かったけど最後の締めにキレがなかったかな。 それに これは Amazon に強く言いたいのだが 映画が終わるか終わらないかの寸前の時に次の映画の ネクストアップっていう宣伝を入れるのやめてほしい。 あそこの数秒間は感慨がこみ上げてくるタイミング、感動している部分なのであって商業主義がそれを台無しにしてしまっている。この作品の点数が低くなったのはそれが とても大きい原因かもしれないよ
ストーリー 全体は サスペンスに満ちていてとても面白かった。 最初は主人公の男が、女たらしっぽくて憎たらしく見えていた。それがだんだん見え方が変わってくるのがいい。 相手役にしてもしかり。そして何と言ってもキーズ役が良かった。この辺を中心に配役ががバッチリはまっていた。ラストの一分前までは非常に良かった って感じかな。

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タンバラライ

5.0ワイルダー先生、初期の大傑作

2024年4月14日
PCから投稿

映画史上、フィルムノワールを代表する作品と言われています。
ヒッチとは別のタッチのスリラーとサスペンス、簡単にいえばヒッチからユーモアやオトボケを削除したような雰囲気、だからこそフルムノワール的と言えましょう。
倒叙的に冒頭に犯人を明示して、犯人の告白と事件の経緯を交互に並行して話を進めるスタイルは無駄なシーンを排除してソリッドな映像表現に徹しています。

探偵作家としてすでに著名だった初老のRチャンドラー先生の初稿に対して、当時30代だったワイルダー先生は「この本はクソですね」と台本を叩き返したそうです。
チャンドラー先生も「ビリーはクレイジーだ」と言い放って半年の脚本作成では終始イライラの絶頂にあったようです。
チャンドラー先生も偏屈ですから、偏屈者同士の神経をすり減らす脚本作りだったようです。

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越後屋

4.0【美しくも恐ろしい人妻に誘惑され、その夫を殺害した保険営業を生業とする男がたどる転落の運命を描いたサスペンス。】

2024年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

■保険会社の営業担当ウォルター・ネフ(フレッド・マクマレイ)はある時、保険の更新に訪れた邸宅で人妻フィリス・ディートリクソン(バーバラ・スタンウィック)と出会う。
 その美貌に魅了されたネフは、夫を亡き者にして高額の保険金を手に入れようとするフィリスのたくらみに協力する事を決め完全犯罪計画を実行するが、彼の思惑を越え、計画は破綻していく。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ネスの同僚の保険調査員キーズ(エドワード・G・ロビンソン)が、”俺の心には小人が居る。”という台詞が前半から度々使われるが、その言葉が同僚のネスに向けられることになる後半の緊迫感が凄い。
ー ネスがキーズに全て見抜かれていると悟った時の表情や、実は彼は全てを見抜いておらず、そこからのネスの行動がハラハラしながらも面白い。
  そして、無実の罪を被せられそうなフィリスの義理の妹ローラの元恋人ニノ(ナント、フィリスは彼にも手を出している。)にキーズが告げた最後の彼の善性在る言葉もグッとくる。

・ディートリクソンの後妻フィリス・ディートリクソンを演じたバーバラ・スタンウィックの、美しいが夫、ディートリクソンの妻をも殺していた事が判るシーンはとても怖い。
ー 悪魔的な、頭のキレる犯罪者であるが、彼女も最後の最後にネスを隠していた拳銃で撃つが、止めを刺せずに泣き崩れるシーンは絶品である。
  愛が、彼女の悪魔的行為を止めたシーンである。-

<今作は、所謂、倒叙形式のサスペンスであるが、作品構成及び前半と後半の雰囲気の違いを音楽で表した演出も素晴らしい作品である。>

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NOBU