劇場公開日 1953年12月12日

深夜の告白のレビュー・感想・評価

全14件を表示

5.0ワイルダー先生、初期の大傑作

2024年4月14日
PCから投稿

映画史上、フィルムノワールを代表する作品と言われています。
ヒッチとは別のタッチのスリラーとサスペンス、簡単にいえばヒッチからユーモアやオトボケを削除したような雰囲気、だからこそフルムノワール的と言えましょう。
倒叙的に冒頭に犯人を明示して、犯人の告白と事件の経緯を交互に並行して話を進めるスタイルは無駄なシーンを排除してソリッドな映像表現に徹しています。

探偵作家としてすでに著名だった初老のRチャンドラー先生の初稿に対して、当時30代だったワイルダー先生は「この本はクソですね」と台本を叩き返したそうです。
チャンドラー先生も「ビリーはクレイジーだ」と言い放って半年の脚本作成では終始イライラの絶頂にあったようです。
チャンドラー先生も偏屈ですから、偏屈者同士の神経をすり減らす脚本作りだったようです。

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越後屋

4.0【美しくも恐ろしい人妻に誘惑され、その夫を殺害した保険営業を生業とする男がたどる転落の運命を描いたサスペンス。】

2024年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

■保険会社の営業担当ウォルター・ネフ(フレッド・マクマレイ)はある時、保険の更新に訪れた邸宅で人妻フィリス・ディートリクソン(バーバラ・スタンウィック)と出会う。
 その美貌に魅了されたネフは、夫を亡き者にして高額の保険金を手に入れようとするフィリスのたくらみに協力する事を決め完全犯罪計画を実行するが、彼の思惑を越え、計画は破綻していく。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ネスの同僚の保険調査員キーズ(エドワード・G・ロビンソン)が、”俺の心には小人が居る。”という台詞が前半から度々使われるが、その言葉が同僚のネスに向けられることになる後半の緊迫感が凄い。
ー ネスがキーズに全て見抜かれていると悟った時の表情や、実は彼は全てを見抜いておらず、そこからのネスの行動がハラハラしながらも面白い。
  そして、無実の罪を被せられそうなフィリスの義理の妹ローラの元恋人ニノ(ナント、フィリスは彼にも手を出している。)にキーズが告げた最後の彼の善性在る言葉もグッとくる。

・ディートリクソンの後妻フィリス・ディートリクソンを演じたバーバラ・スタンウィックの、美しいが夫、ディートリクソンの妻をも殺していた事が判るシーンはとても怖い。
ー 悪魔的な、頭のキレる犯罪者であるが、彼女も最後の最後にネスを隠していた拳銃で撃つが、止めを刺せずに泣き崩れるシーンは絶品である。
  愛が、彼女の悪魔的行為を止めたシーンである。-

<今作は、所謂、倒叙形式のサスペンスであるが、作品構成及び前半と後半の雰囲気の違いを音楽で表した演出も素晴らしい作品である。>

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NOBU

5.0フィルム・ノワール最重要古典‼️

2024年1月8日
スマートフォンから投稿

泣ける

怖い

興奮

わが敬愛するビリー・ワイルダー監督、最高傑作の一本‼️この作品はジョン・ヒューストン監督の「マルタの鷹」と並んでフィルム・ノワールの代表作とも言われています‼️保険会社員のネフが保険の更新に出向いた邸宅で、後妻のフィリスに誘惑されて、二人で傷害保険の倍額条項を満たすための計画殺人を実行していくが・・・‼️もう、ホントにワイルダー監督の天才ぶりが全編に満ち溢れていて、一瞬たりとも目が離せません‼️白のバックに松葉杖をついた男のシルエットがこちらに歩いてくるオープニングクレジット‼️ゾクゾクさせられます‼️一転、猛スピードで夜の街を爆走するカーショット‼️そして車から降りたネフが、テープレコーダーに事件の真相を語り始める回想形式でのストーリー展開‼️ウーン、巧み‼️あまりにも魅惑的な台詞「時に殺人はスイカズラの花のような香りがする。俺にどうしてそれがわかっただろう」‼️考えつきませんよ、フツー‼️自己中で冷血なのに、魅力的すぎるバーバラ・スタンウィックのファム・ファタールぶり‼️とんでもない悪女かと思わせといて、最後はネフを本気で愛してしまう‼️何とも言えない、男心を刺激しまくる映画史上サイコーのファム・ファタール‼️ネフが被害者に化けて列車に乗り込むクライマックスも、思わぬ邪魔者というか先客がいたりして、息詰まる緊張感の連続です‼️そして成功したかに見えたところから、破滅のプロセスへ一直線‼️ギャング映画でならしたエドワード・G・ロビンソン扮する調査員キース‼️ただならぬ目つきでネフとフィリスを疑い、経験を活かした推理を展開、二人を追い詰めていくキース‼️ウーン、不安、怖い‼️その不安が頂点に達した時、悲劇が起きる‼️重症を負ったネフ‼️タバコの火が無くいつもネフに火をつけてもらってるキースが、ネフに火をつけてやるラストシーンも唸らせる‼️またブラインド越しに射し込む光による光と影の横縞模様の照明効果‼️ホントにモノクロ映像は美しい‼️そして一番は、暗くじめじめした気分でネフとフィリスを描き、人間の深ーい闇をえぐり出して、リアルな迫力を生み出すワイルダー監督の素晴らしすぎる演出‼️ホントにスゴい‼️尊敬‼️もう、ひれ伏すしかないです‼️

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活動写真愛好家

3.5傑作と言われているが

2021年3月23日
PCから投稿

ビリーワイルダー監督作品の中でも三本指に入るほど有名な本作。
初期の作品らしいが、自分の好きな彼のテイストとはまた違う魅力だった。

始まり方から終わり方まで、細部まで抜け目なく完璧な脚本は
やはり素晴らしい。

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JYARI

3.5一番の悪者は誰?

2021年3月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

保険金目当ての殺人サスペンス。
結局、一番の悪者は誰だったのかというのが見所。
女は怖いですね。

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光陽

4.0傷害保険の魔力

2021年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

フレッドマクマレイ扮するパシフィック保険営業のウォルターネフが殺人の告白をするシーンから始まる。保険の更新をしようと立ち寄った顧客のところで、ご主人が不在のところバーバラスタンウィック扮するフィリス奧さんに更新の案内をしたら傷害保険を聞かれた。同僚のキースは不正請求にならないよう気を付けていた。フィリスに有頂天になったウォルターは、夫に内緒で死亡時に5万ドルが倍額出る保険の話をした。でもウォルターはいきなり殺したいのかとも言った。
男は皆スケベだが、独身のウォルターは美人妻を何とかしたいと思ったんだろうな。さらには夫を殺したい妻の信念を感じ取ったのかな。共通の目標を持ったふたりは実行するために夢中になり、ふたりの絆は深くなる。愚かにもアリバイ作りにも必死で努力する。ここまで危険を犯すのは、やはりバレなければ保険金殺人が如何にうまいかと言う事なんだろうね。なかなか面白かったよ。

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重

4.0「深夜の告白」の進化形が「情婦」か?

2021年2月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

たまたまNHKBS放映があったので、
大好きなビリー・ワイルダー物として
昨年に続いて鑑賞。

因みに私のワイルダー物の一押し作品は
「情婦」と「アパートの鍵貸します」です。

さて、何故この作品が面白いのかは、
様々な解説を読んで、
これまで散々流行った保険金殺人事件物の
元祖ストーリーだったためと理解出来た。

ただ、あえて言えば、
意外な展開を優先し過ぎたか、
フィリスがザケッティを具体的にどういった
役割のために、
どのように仲間に引き入れたか、
また、ローラを裏切っているザケッティを、
ネフは彼に何故温情をかけて
彼女に連絡させようとしたのか解らない等、
説明不足が多々ある。

また、あれだけの感の働くキーズが最後まで
ネフに疑いを持たないのは、
友情が邪魔をしてしまったとしても
不自然と言えば不自然だ。

むしろ、ネフが犯人と推理して、
自首を促そうとして
証人に会わせたりしていた、
との設定の方がラストの友情シーンが
更に生きて来ないだろうか。

ザケッティやローラのようなサブキャスト
を最終盤できっちり生かしてきて、
かつ描写上の不自然要素が無いのが「情婦」
で、「深夜…」からのワイルダーの進化を
感じさせる作品だと思う。
もちろんワイルダー特有のユーモア要素
についての進化は言うまでもない。

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KENZO一級建築士事務所

3.5冒頭、主人公の回想形式でストーリーが始まるところはサンセット大通り...

2021年2月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

冒頭、主人公の回想形式でストーリーが始まるところはサンセット大通りを想起させる。
録音機はどんな仕組みになっているのか。
キースに好感を持った。
終盤、女の言うことが信じられなくなってくる。

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桑畑五十郎

5.0原題の本当の意味は「犯罪は二人でやると、二倍危険」

2020年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これは大傑作!
というかビリー・ワイルダー監督作品に外れ無しです
脚本がまず面白い
撮影も雰囲気が有って気品まであります
タイトルバックの松葉杖の男を逆光でシルエットで写すその映像でもうこれは面白いぞ!と分かります
台詞がスクリューボールコメディばりに応酬されるキーズとの会話はお見事
エドワード・G・ロビンソンは素晴らしい俳優で、彼の出演作品を追いかけたくなりました
社長が上着を着てないと彼に文句を言うと、礼服が必要とは知りませんでしたと口ごたえしたり、部屋から出てきたらタキシードが要るなとか吹き出しそうです
しかし、喜劇風味はそれくらい
あとは徹底してフィルムノワールとファムファタルの世界です

スイカズラの花言葉は「愛の絆」
誰との絆?
ファムファタルたるフィリスではもちろんない
それはキーズだったと思います

キーズの安物の葉巻にウォルターはいつも火を付けてやる側です
もちろん会社の立場は彼が上です
それでも、彼とは仕事で互いに認めあって、尊敬し信頼し友情を感じている強い絆があったのです
だから彼は冒頭で会社に戻り告白をするのです
それはまるで愛の告白のようです
そしてラストシーンでのキーズの胸に抱かれて彼の最期の一服は、キーズが初めて彼に火を付けてやるのです
愛の絆だったと思います

フィリス役の悪女ぶりは凄い演技力で、目の色だけで背筋が凍りました

ザケッティとウォルターを互いに憎しみ合わせて、殺し合いをさせる目論見であったはずですが、結局不発に終わります
最終的にはどちらか生き残った方を、自分が殺す算段だったのでしょう

スーパーで落ち合う際に、彼女が店に入った直後にザケッティが通り過ぎます
フイリスがなにかしら理由をつけて彼を呼びだして、スーパーでウォルターと落ち合っているのをわざと見せる作戦だったのも知れません
しかし不発に終わったのでしょう

犯罪の綻びは、ウォルターの完全犯罪だけでなく
フイリスの犯罪にも綻びが生じていたのです
彼女の殺人計画はこのスーパーのところから綻び始めていたわけです

キーズの言うように、犯罪は二人でやると、二倍安全でなく、二倍危険だったのです

倍額補償特約という原題は、じつはこれに掛かっていたのだと思います

グレンデール駅からパロアルトまでは、約500キロ
東京大阪間ぐらいの距離感です
いまでも鉄道が走っていて、調べると所用時間9時間とありました

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あき240

4.5何だこれ、めちゃくちゃ面白い。 ある男が自分の罪を告白するというス...

2020年5月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

何だこれ、めちゃくちゃ面白い。
ある男が自分の罪を告白するというスタイル。つまり犯人は最初から分かっています。不倫絡みの保険金殺人、これもまあありきたり(当時は相当衝撃だったようです)。
なのにめちゃくちゃ面白い。如何にこの犯罪が暴かれていくか。そして徐々に判明していく登場人物の真相。友人と愛人のニアミス等、ドキドキする場面も多数。
ウディ・アレンが「史上最高の映画」と評す本作、古いですが絶対見るべき作品です。

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はむひろみ

4.0年代物の頁が少し色褪せた小説のような作品

2020年5月15日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

モノクロの映像で、具体的な場面が省略される
事で、よりイマジネーションが膨らんだ。

無駄のない会話劇に魅力を感じた。

終盤、女性が密談の為にスーパーを訪れた
場面で、車を降りた女性の後ろを通過した
男性が、娘の恋人役の俳優さんと激似 👀
通行人としても出演??

NHKBSを録画にて鑑賞

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こころ

3.0昔の映画にしてはハラハラドキドキさせられる場面があり、公開当時はき...

2020年5月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昔の映画にしてはハラハラドキドキさせられる場面があり、公開当時はきっと賛否両論巷を騒がせたんじゃないかと思う。

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原っぱ

3.0保険金殺人

2020年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 邦題にあるように独白調の犯罪もの。原題の方が興味深いものがある。保険金殺人という考えがこんなに古くから存在していたことにも驚きだ。事故、自殺、殺人と推理するのが面白いだけで、スタンウィックの悪女ぶりもイマイチ。娘ローラ役のジーン・ヘザーが綺麗だ。

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kossy

4.0保険外交員が共犯の斬新な犯罪映画に観るワイルダー監督の卓越した作劇術

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

バーバラ・スタインウィックが悪女を演じ切る犯罪映画。ジョン・ヒューストンの「マルタの鷹」と並びフィルム・ノワールの最初期を代表するビリー・ワイルダーの傑作。

若い後妻フィリスから保険殺人を持ち掛けられた保険外交員ウォルターの回想で描かれる殺人トリックの、その中に先妻の娘ローラとその恋人ニノを絡ませる欲望渦巻く愛憎劇の不道徳な興味を煽りながら、最期はエドワード・G・ロビンソン演じる保険調査員バートンとの友情で閉めるという、脚本兼演出家ワイルダーの才覚が冴えわたる作劇術の素晴らしさ。保険会社の内部から構想されたジェームズ・M・ケイン原作の斬新さは、倍額保険の為の列車事故に装うサスペンスを生み、信頼熱い保険調査員の同僚がウォルターに事件の推理を語るスリルを増幅させる。共犯がバレるのを恐れてウォルターがフィリスを避ける時間経過に、バートンがフィリスを尾行してニノに行き着く展開もいい。

太平洋戦争中の有事の世相から題材は不謹慎と受け取られ、制作には幾多の困難が発生したという。脚本では共作のレイモンド・チャンドラーと衝突したとあるが、作品の完成度からは想像できない。フィルのスタインウィックが堂々とした演技力で悪女を熟したのに対して、ウォルター役のフレッド・マクマレイの個性が弱いのが惜しいと思ったが、悪女に翻弄されるだらしない男を誰も演じたがらなかったとある。それをカバーして余りあるのが、名脇役ロビンソンの優しさを秘めた強面の表情演技の深みであろう。「マルタの鷹」とこの「深夜の告白」はもっと評価されてしかるべきと思う。

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Gustav